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その着せ替え人形は恋をする、知っていますか

こんばんは、真夜中です。

1月より始まりましたね、福田晋一先生の「その着せ替え人形(ビスクドール)は恋をする」のアニメ。

実はこの着せ恋(で「びすこい」と読む)を僕はそれなりに前から読んでまして、アニメはなんとなく乗り気になれなくてしばらく見てなかったんですが、最近見ました。

要はアニメがめっちゃ良くて再熱したので、今回は着せ恋についての怪文書を書きたいと思います。

■ギャルのこと、どう思う?

まずはギャルをgoogle検索することからはじめよう


まず着せ恋を語るにおいて外すことができないのは「ギャル」という存在です。

いかにギャルが男性にとっていかに大きい存在であるかをお話しします。

恐竜が嫌いな男の子なんていますか?

みなさん、この文章を知っていますか?

中にはギャルに造詣が深い方もいらっしゃるかと思いますので、ご承知の方もいらっしゃるかもしれませんね。


ご存じでない方のために説明をしておきますと、この言葉はインターネット上のとある掲示板にて「絶滅してるのに黒ギャル好きなんてバカみたいじゃないですか」というタイトルのスレッドが立てられた際、5分で返信された文章です。


これは黒ギャルに対して言及された文章ではあり、黒ギャルという存在は絶滅したのかもしれませんが、「ギャル」はこの令和の世にも存在していることは確かであり、この文章が証明している通り、この世の大体の男の子はギャルが好きということです。


その輪から漏れず、僕もギャルが好きです。
自認し始めたのは3年くらい前からかと思いますが、実質的には物心ついた時から好きだったのだろうと思います。なぜなら男の子なので。


まあ昔からオタクであり、今もオタクなので、ギャルというオタクと対極の存在には何か惹かれるものがあったのでしょう。

何より、ギャルという存在は男の本能を掻き立てます。
残念ながら、その理由は現代科学においても証明できていません。


彼女らにとっては「かわいさ」の表現の一つであるだろう、明るい髪色(当然黒髪ギャルも存在する)から始まり、自分の好みを勉強して最適化されたメイク、エロかわいいでもなんでもこいのこの世の善悪全てを受け入れるかのような開いた胸元、見ることが許されるのであれば永久に見続けることができる見せてもいい(?)下着、暴力的なまでに健康的な肌(黒でも白でも)、その寛容さと奥ゆかしさをも感じさせるゆるりと結ばれたネクタイ、短い・もはや薄いという領域に辿り着いているスカート、観測者からは原点回帰を感じさせるルーズソックス、そして変哲もない茶色のローファーですらギャルを構成する一部となり、もはや上から下まで一部の隙も残さず固められたギャルという存在は男を狂わせます。


しかし、このギャルという存在はファジーな定義であり「〇〇だからギャルの要件を満たす」とはなりません。

「だがそれがいい」と花の慶次も言っていたように、我々が観測して「ギャルだ」と認識できればそれはもうギャルたり得る存在なのです。


また、アダルトビデオ界における「ギャルもの」の占有率は凄まじい(と思われます)。これはただ僕の趣向の問題でしょうか(一度ギャルものを購入すると無限にギャルものがオススメされるため)。


それにしたってめちゃくちゃ根強い人気なのでしょう。気になる方は、是非お近くのTSUTAYAに立ち寄り、AVコーナーに踏み入れて頂きたいと思います。


総じて、ギャルはそれくらい男性からの支持を集める存在なのだということです。

■ギャルとオタクの(面倒な)思考

真実は君の目で確かめよう!


さて、先ほどお話しした通り、ギャルとオタクは光と闇、水と油の如く決して交わらない関係性であり、敢えて優劣をつけるにしても、劣勢側は当然オタクくんでした。


ギャルを見ようものなら「何オタク見てんだよキメえな」と椅子を蹴られたり、休み時間に携帯を見ようものなら「オタクきもっw」と遠巻きに悪口を言われていることを恐れながらも携帯を触る、という経験(あくまで主観のみであり現実ではない)はTwitterを生業とする人々はもちろん、世の中の「どちらかというと陰キャ寄り」であったと自認している方は多少なりとも覚えがある経験ではないでしょうか(そうか?)。


しかし、時代は変わりました。
そう、オタクが虐げられてきた暗黒時代に光が差し、言うなれば現代は「オタク確変時代」。オタクくんの地位がめきめき向上しているのです。

昔からあるジャンルではありますが、最近特によく見かけるのは「オタクとギャル」のカップリング。


それは、ギャルのその学生時代でも振り切れているであろう対人スキルを持って、クラス内の日陰ものであるオタクくんにちょっかいをかけ、その童貞っぷりをからかわれ、かつ翻弄されながら幸せな時間を過ごすという、きっと作者はこういう理想を描いて暗黒の学生時代を過ごしてきたのだな…「わかるわ───その気持ち───」と思わず目頭が熱くなってしまう欲深きジャンル。


エロでもこのジャンルは数が多い(と思う)。

なんせ冒頭1ページ1コマ目で「オタクくんってさー…童貞なの?w」というセリフをギャルが言うだけで、ギャルは領域展開しているも同然です。これがギャルの""力""。


そしてエロ方面以外でも、書店で漫画コーナーを眺めているとギャルに限らず「コミュニケーション強めの女性(≒陽キャジャンルの女性)がオタク(≒悪く言えばヒエラルキー低めの男性)と仲良くなる」という作品は目立ちつつあります。


話題になっているのは「僕の心のヤバいやつ」とか「からかい上手の高木さん」とかその辺でしょうか。ギャルかどうかはともかくとしても方面は似てますね。
この手のジャンルが書店で目につくレベルには認知度を得ていることは間違いないでしょう。


しかし、僕は昔から一抹の疑問を感じていました。
いいえ、正確にはその疑問に気がつかないように目を背けていたんです。

確かにギャルが好きだ。
元々オタクであるし、かわいくいやらしいギャルにエロく誘惑されるのは良い。とても良い。

しかし同時に「なぜこんなにもかわいいギャルが俺みたいなものに興味を持ってくれるのか?」と思わずにはいられないのです。


僕はそれなりにギャルものの作品(とか女の子が男にちょっかい出す系)には触れてきましたが、ハイパー根暗系感情もうまく出すことができません系主人公が、ハイパーコミュニケーション爆高胸元がっつり開いています系最高オブ最高ギャルがわざわざ時間を割いて、いやらし誘惑をオタクくんに行使している状況を読むと「読んでるオタクくん達はこういうのが好きなんだろ?w」と薄ら笑いを浮かべたマーケティング担当者に言われているような気がして、目の前のギャルに全く集中できなくなってしまうことが往々にしてあります。


いやそれもうなんかお金発生してるんだろ?とか、実はオタクくんには遺産を抱えたじいちゃんがいてそれを狙ってんだろ?とか壺だろ?としか思えなくなってくるわけで。


まあ基本的には学生だし一目惚れとかそういうこともあるよな?うんうんわかるわかる。わかるわ───
だがしかし、いくら目を瞑っても、心の目は誤魔化せない。やはり違和感がある。

目を瞑り心で読めば読むほど、「こんなにいい子がなんでここまでしてくれる??」と心が泣いてしまう。男は心でギャルを見ているんです。


そんな感情を抱きながら、ギャルものを読んできた。
「この漫画ももしかしたら一緒かもしれない」「いやこれは違うかもしれない」と吟味し、心で読み、心で泣きながらギャルを見続けてきた。


そしてついに巡り合ったのです。「その着せ替え人形は恋をする」に。

■その着せ替え人形は恋をする、めっちゃ面白い

©福田晋一/SQUARE ENIX·「着せ恋」製作委員会 ※以下同作品・同サイトより引用

というわけで本題の「その着せ替え人形は恋をする」の話です。

あらすじを簡単に。

主人公は老舗雛人形店の息子である「五条 新菜(ごじょう わかな)」くん。

早くに両親を亡くし、職人であるおじいさんと2人暮らしだが、幼い頃に雛人形の美しさに魅入られ、夢は雛人形の頭を作る「頭師(かしらし)」になること。

そのため、雛人形作りの練習に励むが、頭作りまでは至らず、服作りの特訓中。

練習に没頭してきたため、周りの高校生とは話が合わず、さらに新菜の強く言わず、和を乱さない性格から友達ができていないことが悩み。

新菜のクラスにはイケてるグループの1人「喜多川 海夢(きたがわ まりん)」がいた。

新菜は、海夢の奔放ながらも自分らしさを失わない振る舞いを見て「ありのままの自分を受け入れてもらえる世界はきっと生きやすいだろうな」と、半ば諦めにも似た感情を持つのだった。

そんな時、新菜は掃除当番で一緒になった海夢から「自分の気持ちは自分のために言わなきゃだめだよ」と指摘を受ける。
これは、バイトで掃除ができない本来掃除当番であるクラスメイトからその役割を押し付けられ、それを良しとしていた新菜に対する一言だった。

その言葉が忘れられず、海夢のことを意識し始めた新菜だったが、数日後また海夢と接触することになる。

そこで偶然にも、海夢は新菜が服作りができることを知り、海夢が愛するキャラクター「黒江雫(くろえ しずく)」のコスプレをするための「衣装作り」を新菜に依頼するのだった。

はい。完璧なあらすじですね。ちなみにアニメ1話はここまで放送されます。今すぐNetflixとかで見てください。
そっから五条新菜くんと喜多川海夢さんの関係がスタートするわけですね。


そこからラブコメらしいラブコメが展開されていくわけですが、僕がビス恋を見ていて良いなと思うのは以下。

①主人公若菜くんとヒロイン海夢さんが良い
②「コスプレ」の勉強になる
③絵がめちゃくちゃ上手い、アニメがとても丁寧

順番にお話ししましょう。

①主人公若菜くんとヒロイン海夢さんが良い


人は何故ラブコメを読むのか。それは関係性に萌えるからです。


ビス恋に限らず、ラブコメは昔から人気のジャンルです。


先ほどの「関係性に萌える」を、もう少し砕いて言えば「主人公とヒロインが徐々に惹かれあっていく過程に読者は感情を動かされる」ということだと僕は思います。

そのためには「キャラクター」が「どういう過程」で惹かれあっていくのかが重要となり、そこが曖昧だったり雑になっていると、読み進める中で違和感になってしまうんですよね。

というわけでまずキャラクターの話ですが、主人公:五条新菜くんがまあ好感度の高いキャラです。

個人的には作務衣着用が好き

服作り・コスプレ(②でお話しします)というテーマで話が展開されるので、海夢の採寸をやるシーンがあるんですが、最初は女性の体を測ることに戸惑うものの、職人気質なので、採寸の途中からは「ものづくり」に対して真摯に取り組む表情が見られたり、コスキャラの題材であるエロゲーをじっくり観察していたり、服の素材について作品のバックグラウンドを理解した上で選んだりと、物作りに対して若菜くんはとても真摯です。男から見てもとても魅力的に映ります。


また創作物を見るにおいて、物語の観測者である主人公の動きは読者の感情を大きく作用しますよね。


要は主人公にストレスを感じると物語自体を読み進めるのがかなりキツいんです。ビス恋はそれが限りなく少ないということです。



誠実かつ実直な若菜くんを見てると「ええ男や」となるので、これはかなり作品を読む上で助かります。
高1なのでスケベなイベントには慣れていないのは当然かつ読者サービスとしてなのですが、その純朴さと職人気質の塩梅がめっちゃ良い感じです。



そして、ヒロイン海夢(まりん)が良い。みなさん今のうちに「まりん」で単語登録しておきましょう。

ギャルの「にやっ」とした顔が好き

海夢はギャルですが「自分の意見を強くまっすぐに持てている」というのが最大の魅力です。


「それがあるから私なんだ」「他人は他人じゃない?」という強いメッセージを感じられるので、オタク思考としてある「好きなものだけど、世間的評価がよくないから好きだと堂々と言えない」という気持ちを「だいじょうぶだいじょうぶ!」と強く背中を叩いてくれます。


新菜くん自身もそういう面で悩んでいたのを、海夢に救われているので、そういう悩みがある(あった)人は共感しやすいと思われます。


あとはまあなんせかわいいですね。
なんだろう…かわいいって言葉は本当に多岐に渡ると自分でもわかってるんですけど、もうこれ以外に表現する言葉を僕は持ち合わせていません。

普段はあっけらかんというか、男性をからかい気味な対応をするんですが、若菜くんと接しているうちに女性的な面が見え隠れしてくるというか…なんというかギャル好きの暗殺がうまいって感じですね。

「え?」と思ったかもしれませんが、作者の福田晋一先生はきっとギャル好き専門の暗殺一族の末裔か何かだと思います。


ラブコメなので、当然恋愛っぽい要素が時々出てくるのですが、出すタイミングが凄まじく良い。

Fate/zeroでキャスターが誘拐した子供を普通に逃すフリをしてめちゃくちゃズタズタにアレするみたいなシーンがありますが、あんな感じです。マジで?って。例えとして適切ではないですがほんとそんな感じです。


長くオタクをやってきていますが、本当に何十年かぶりに「アッそこでそういう表情を・・・(死そして笑顔」と古き良きオタクになってしまうシーンが急にきます。

ギャルを心の目で見てきましたが、喜多川海夢さんはギャル界広しといえど、七武海に入るレベルのギャルであることに異論はないでしょう。


ビジュアル・服装も完全に全ての栄養素をバランスよく配合して地球にも優しく仕立てましたというような容姿です。ご安心ください。

この2名が徐々に惹かれあっていくというのがストーリーの主軸となりますが「こういうところが良いからお互い好きになるんだね(涙)」と納得できるのはラブコメにおいてめちゃくちゃ強みだと僕は思います。

②「コスプレ」の勉強になる


ハロウィンの急激な普及により「コスプレ(コスチュームプレイ)」という言葉や行動自体はかなりメジャーになり、やってみたい!と思う人は増えたように感じます。


ビス恋は、海夢が様々なコスプレに挑戦し、若菜がサポートするという話で進行していくので、新たな技術を学ぶという描かれ方でコスプレの技術が説明されます。これが普通に勉強になります。


もちろん漫画・アニメなのである程度見栄えしたりメジャーな技術が優先されているのだと思いますが、コスプレをやってみたいと考えている方がこれを見て「こうやってやればいいんだ!」と取っ掛かりになるレベルなのではないでしょうか。


特にいいな〜と思うのは「コスプレに対する姿勢」がとても大事にされているところ。

序盤で海夢が「なぜコスプレをする(したい)のか?」という動機が「空想上のキャラクターへの憧れを具現化したものの一つ」と明確化されています。


まあ僕も創作をしているので、ネット上で創作に対する姿勢のあれこれを見るとちょっともやっとすることがあるんですが、賛否が分かれそうな部分についてきっちりスタンスを決められているので、そこは本当にいいな、と。

ビス恋からコスプレとか創作に触れる方はもちろんこの黄金の精神を持ってもらいたいなと思いますし、創作に触れてきているという方もこの気持ちを思い返す、という意味でおすすめです。

③絵がめちゃくちゃ上手い、アニメが丁寧


漫画なのでそりゃそうだろって感じだと思われるかもしれませんが、絵がめちゃくちゃ上手いです(2回目)。


え?このクオリティずっと続くの??ってちょっと不安になるんですが、続くんです。

そしてアニメが現在3話まで放映されましたが、アニメの作りが丁寧で驚きました。


基本的には原作漫画のストーリーを崩さない流れで構成されていますが、時々アニメオリジナルの表現が追加されていますが、原作を知っているファンとしては「遊び心〜」となるエッセンス程度なので、漫画から入っても見てて楽しい。

あとはやはり絵・作画。マジで福田晋一先生の絵そのままでアニメになってんな?!?!!?って驚きました。

「その着せ替え人形は恋をする 第1巻より」・©福田晋一/SQUARE ENIX·「着せ恋」製作委員会

マジですごくない???


いや当然漫画には漫画の、アニメにはアニメの表現ってのがあると思っているんですが、ここまで再現度高くアニメ絵にしている作品は本当にそうそうないと思います。すげえ。


加えてアニメ版の話ですが、声優さんの演技がめっちゃいいなと思いました。というか僕のイメージ通りの声。

若菜って身長とか結構高めで見た目としては「男」って感じですけど、精神的な経験値が少なかったり自分に自信があるタイプでないので、声が高い感じかなと思ってたんですが、五条若菜役の石毛翔弥さんはまさにそんな感じの声。

またギャグパートで声を低く出すようなシーンもあるんですが、そこもきっちりハマってて、すげ〜いいな〜となりました。


また、喜多川海夢役の直田姫奈さんですが、なんだ、なんていうんだ。海夢はギャルなんだけど、めちゃくちゃギャルギャルしい声じゃなくて、ちょっと低めというか、ギャルのテイストがありながらも声はちょっと低い感じというか…という僕の要望を聞いてくれたかのような声で演じて下さっていて「海夢の声…解釈一致!!!!!!!!」となりました。

特に僕が思ったのは若菜の家で採寸するシーンがあって、そこで海夢が若菜の布団に寝転んで「ぜんっぜんヨユーなんだけど。いえい」と言うシーンがあるんですが、これが…めちゃくちゃよかった………「いえい」のテンションがなんかちょっと艶っぽくて……確かにギャルっぽい言い回しなんだけど、そこには確かに艶が…艶があって…(一筋の涙が頬を伝う)

■最後に


というわけでいかがでしたでしょうか。怪文書。


本日アニメ3話の放映日ということで、予想ではスワローテイルの買い出しまでやって、次回からジュジュが登場…という感じじゃないかなと思っています(この記事は3話の前に書いています)。


現在ビス恋は漫画8巻まで発売されています。今放映中のアニメ版から興味を持たれる方が多いと思いますが、この怪文書によってビス恋に興味を持たれる方が増えると嬉しいです。


実はってほどではないですが、この記事は以前に書いたもののリメイクです。リメイクするに当たってかなり構成は変えましたが…。

当時はまだアニメ化など決まっておらず、1巻を読んだ時点での感想だったので、当時は最後にこんな感想を書いていました。

願わくば、いつか新菜くんの「綺麗」という言葉が海夢に向けた言葉になることを。

アニメ化とともに当時の気持ちを思い出し、この怪文書を作成した次第です。

以上、ここまで読んでいただいてありがとうございました。またの機会に。

今日ビス恋8巻買ってきて読んで最高でした………ぜひアニメはここまでやってほしい………

真夜中

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