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#おかしさ
藪から棒に文学論 おかしみ論1
塾講師と詩人が話している。どうやら詩論のようだ。
「君は詩を書いていると言っていたね」
「まあ、そうだ。いまはマルセルとブーバーについて書いているよ」
「マサルとバーブー‥ 誰だい」
「何を言っているのやら。どちらも実存主義者さ。いまじゃ、枯れ尾花みないたものかな。わび・さびだね」
「君こそ、何を言っているのやら‥ そういえば、わび・さびといえば、関係しているのかわからないが、先日堀口大学の『月
藪から棒に文学論 おかしみ論2
「ま、失敬なのはお互い様さ‥ 閑話休題。僕が君に聞きたかったのはだね、ある詩のよさがサッパリわからないんだ。マックス・ジャコブの『ナポリの女乞食』だ。これはどこがおもしろいんだい」
ナポリの女乞食
ナポリに住んでゐた時のこと、私の住居(すまひ)の入口に一人の女乞食がゐた、毎日私は外出の馬車に乘る前に、かの女に小錢を投げてやつた。 或る日、かつて一度も感謝の言葉
藪から棒に文学論 おかしみ論3
「おかしみは人間存在の根源さ。対象なり自分なりを持ち上げて、それから落とす。そこに生じる感情がおかしみ、さ。寂しさにちょっとした滑稽味をまぶしたものさ。」
「持ち上げて落とす、のかい」
「そうだね。それが自分の人生に深いかかわりを持つんだったら、おかしみじゃすまない。深刻な喪失感を抱くだろうね」
「喪失感、かい」
「そうさ。でも、自分の人生にさほど影響を及ぼさないような、実に些細なことだったら、さ