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別居母親というマイノリティ

いまの日本では、ひとり親といってイメージされるのは母親だ。実際、未成年の子どもがいる夫婦が離婚すると、多くの場合、子どもは母親に引き取られる。

令和2年度の司法統計のデータによると、離婚調停や調停に代わる審判で親権者を決めたケースのうち、母親が親権を取得している割合は90%以上。
つまり、子どもの親権をもたない母親、子どもと暮らしていない母親は、全体の10%にも満たないマイノリティということになる。

マイノリティである別居母親は、偏見の目で見られがちだ。
「子どもは母親が引き取るもの」と決めつけられ、よほど悪いことをしたから、よほど母性がないから、別居母親になったのだと糾弾される。

タレントの離婚報道を見れば、いかに世間の目が冷たいかがよくわかる。
中山美穂、篠原涼子、あびる優etc。離婚後、子どもと暮らさないことを選んだ(あるいはそうせざるを得なかった)彼女たちが、どんな言われようをしているか。男性でそれを言われている人を、ほとんど見たことがない。

前の記事で「子どもと会えない親がいる」と書いた。そして、それは父親だけでなく、母親でも、そういう状況になっている人が増えていると書いた。

自ら別居親の立場を選んだのではなく、無理やり子どもと引き離された別居母親は、子どもと会えないつらさと、世間の偏見、二重の苦しみを負って生きている

別居母親の記事を書くと、「父親でも同様につらい」という声をいただく。
つらさを比べて、どちらがどうの、と勝ち負けを争うつもりはない。

それでも、あえて。
別居母親は、生きづらい

専業主婦などアイデンテティのほとんどを「母親」として生きてきた人が、子どもと引き離されるケースもある。仕事もなく、友だちや知り合いも子どもを通してのママ友がメインだったりする彼女たちが、子どもを失うとどうなるか。実親でさえ「子どもと引き離されるなんてみっともない」と、味方になってくれないこともある。

本当に何もかも、すべてを失ってしまうのだ。

DVから逃げる母親を守ることも大切だが、無理やり子どもと引き離された母親を守ることも大切だと、社会は気づくべきだと思う

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