見出し画像

カナダ生活10年の私が今でも気をつけている人間関係の罠

それは私がまだカナダにカレッジ留学をして間もない頃のことでした。

当時少し恋心を抱いていた香港からの留学生J君に連れられて私はある
同好会の食事会に参加することになりました。名前は忘れてしまったのですが、その同好会は留学生との交流を深めることを目的に活動していて、様々な国から留学生がやってくるたびに積極的に勧誘活動をしていました。

大人数での集まりはあまり得意でない私は最初あまり乗り気ではなかったのですが、私は「まっ友達を増やすにはいい機会かな」と思い参加することになりました。

食事の席ではありきたりに自己紹介を兼ねたゲームや、お互いの国の言葉を教えあったりと期待通りの展開。私は美味しい中華料理を食べながら楽しい時間を過ごし、そこで2、3人ほど気の合いそうなカナディアンの友達を作ることができました。彼らはとても優しく、カナダに来たばかりの私に積極的に手を差し伸べてくれました。

そして2回目の食事会。みんなとまた楽しく食事が出来るとワクワクしながら出席したその日、同好会の会長が宴の席で妙なことを言い出しました。

「さあ、みんな今日は聖書を朗読し合う日だよ!ちゃんと一部ずつ持ってきたかな?」と。

「えっこれってまさか!?」

私は混乱しトイレに行くふりをしてその場から逃げ去りました。(もちろんお代はこっそりテーブルに置いていきましたが)

後日J君に話を聞いてみると、その同好会は宗教団体が基金を出して運営している出先機関だったということが分かりました。

「何でそんなところに私を誘ったの?」と聞くとJ君から一言:

「僕は君に1日でもカナダの暮らしに慣れて欲しいんだ、だからこうやってカナダ人と友達になる機会を君に掴んで欲しかったんだ」と言われました。

「宗教が絡んでいることを何で言ってくれなかったのか」と聞くと、「特に言う必要があるとは思わなかった」とのこと。後から知ったのですが、J君はその同好会のトップから『勧誘をする際に、自分たちが宗教団体と絡んでいることを言うな』というお達しが来ていたそうです。

 私はその後J君や、同好会で出来た「友達」とも疎遠になりましたが、あの日にトイレに行くふりをして逃げ去らなかったら、きっと後々とても面倒なことになっていたと思います。

新しい国に来てとにかく友達を早く作りたいとか、一人の寂しさを紛らわすために人が集まっているところへ行きたいとか、その気持ちは痛いほど分かります。そこで無条件に手を差し伸べてくる人たちがあなたの前に現れた時にその人の手を取る前に一回立ち止まってみてください。

もちろん本当に優しい心を持っていて純粋にあなたを助けたいと思っている人もいるかもしれません。でも一方ではあなたがまだ「新人外国人」であることを利用して、自分(たち)の目的を達成させようとする人たちが存在するのも事実です。

私の場合も完全に「早くカナダで友達を作りたい」という焦りや何かにすがりたい依存心から気の乗らない食事会に行ってしまったんだと思います。

私は宗教そのものについて批判したいという訳ではありません。何の宗教を信じようが信じまいが全くもってその人の自由です。でも私は人間関係は常にイコールであるべきだと思っています。人から何かをしてもらったら、その人に何かを与える。外国人留学生は社会的立場が弱く、どうしてもそういった「与えてもらう」立場(例えば食事会に行って友達を作ろう!とか)であることが多くなってしまいがちですが、本当に信頼できる人間関係を気づいていきたいのであればどうやって「与える」立場であることができるかを考えて行動すれば人間関係も自然と出来てゆくんじゃないかと思います。

えらそうな文章になってしまいました。これから留学されたり、今留学中のみなさまにとって少しでもお役に立てますように><

Photo by mentatdgt from Pexels



 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?