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第9回・ライター業とプロンプトとの親和性

いろいろと縁があって、1年ほど前からプロンプトエンジニアリングをしている。
それってライターなんですか、と言われるかもしれないが、実践してきた結果、ライター業との親和性が高いことに確信が持てたので記事にしようと思う。

ご存知の方が多いと思うので簡略化するが、プロンプトというのは生成AIへの指示文のことで、プロンプトエンジニアリングというのはプロンプトを作成することだ。
ここですでに「指示文」という表現を使っているが、要するにプロンプトエンジニアがすべきことは、文章を書くことなのである。

どういうプロンプトがいいのか、具体例はどういうものか、なんていうものは検索すればすぐに出てくるし、ここで詳細は取り扱わない。こんなところで長々と書くよりも、目的別に探した方がずっと早い。
私が言いたいのは、プロンプトが指示文であるということだ。
たとえば「6月1日生まれの有名人は誰ですか」と入力したとする。答えは返ってくる。この感覚は、AIに「聞く」に近い。しかし実際は、6月1日生まれの有名人を出力するように指示している、というのが正しい。
もちろん、対話形式でAIを用いるのであれば、そんなことをいちいち深く考える必要はない。ただし、ある程度の実用性を持たせようとすると、たんに問いかけているばかりでは時間の無駄になる。

文章を書くという職業にはさまざまな種類があるが、いずれにせよ受け手に伝わるように意識して書いているはずだ。ひとりよがりな文章がメッセージ性を持つはずがないし(個人の意見という意味では重要なので無碍にするつもりはない)、日記にするなりブログにするなりすればいいことだ。そのかわり、そこには対価は生まれない。
相手に伝わるように意識するという癖がついている、あるいは、意識すればそういった文章を書くことができるというスキルがあれば、生成AIにも適切な指示文を書きやすくなる。相手が人間か人工知能か、それだけの違いだ。
もちろん、プロンプトにはそれなりの技術が必要なのは事実で、それなくして指示文を書くことができるわけではない。ただし、その技術もやはり言語にかかわるものであり、文章を書き慣れていればコツは掴みやすいというのが所感だ。
エンジニア、という名はついているが、プログラミングのコードで埋め尽くされたプロンプトの説明はない。日本語で情報を得ようとすれば、ちゃんと日本語で解説されている。(やっていることを説明するたびに響きがなんだか技術の最先端を行くひとのようで、非ITである私はやや臆しているというのが現実である。)

生成AIはツールであるし、何度同じ指示文を書いても「それ、さっきも言ったよね」とは言わない。ありがたい話だ。
だが、だれかになにかを伝えようという考えは、プロンプトエンジニアリングにおいて有用だ。
どうやったら生成AIに、自分が求めている情報がなにかを理解してもらえるのか。どうやったら、適切なアイディアを提案してもらえるのか、あるいは、困っていることを正確に理解してもらえるのか。
「してもらう」というのが目的であることが多いために忘れがちなのだが、指示しているのは使う側の人間なのだ。
だからこそ、便利で簡単に使える生成AIだが、実用レベルになると、表現力が試されるようになると考えている。ライター業とプロンプトとの親和性は、ここにあるのではないだろうか。

蛇足だが、今やすっかりサーバー負荷も減ったので、気軽に使えるものだと書いたが、私が触れたときのChat GPTはびっくりするくらい重かったし、サーバーもよく落ちていた。
今はストレスフリーで使えるようになったし、周囲でも試しに無料版でも使ってみようかなというひとも増えている。たった1年でずいぶん身近な存在になった、そんな気がする。

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