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雨の日は嫌いじゃない


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もう梅雨入りしてるんじゃないかと思うようなここ数日の天気、関東の梅雨入りはこれかららしい。

雨の日は中々起きる気になれないし
髪型もイマイチ決まらないし
洗濯物も太陽に当てられないし
午前と午後の区別もつかないし
なんだか元気が出ない

これらは事実なんだけど、私は雨の日が嫌いじゃない、というか、結構好きかもしれない

ただそれには一つの条件がある。

"雨を五感を使って感じること"。

外にいても中にいても。
雨の音を聴くこと。
雨の匂いを嗅ぐこと。
雨粒を観ること。
雨の日の空気を吸い込むこと。
あの濡れた空気を肌に触れさせること。

一瞬でもいい。雨を感じること。

お気に入りの傘をさせることも嬉しい。

雨の日に聴く音楽が好き。
晴れの日には聴かないような曲を聴くのも好き。
晴れの日に聴くような曲を雨の日に聴くとまた違った受け取り方になる感情の変化を知ることも好き。

雨の日にキッチンで静かに料理をするのが好き。
何を作ろうかなってゆっくり考えるあの時間も、冷蔵庫を開け閉めする音も、洗う音も、切る音も、焼く音も、煮込む音も、普段当たり前に流してる作業一つひとつと向き合える気がするあの空間が大好き。
自分ひとりの為にゆっくり時間をかけて料理することも、誰かに美味しいを届けたくて、誰かと食べる時間を共有したくて、その為に静かに料理ができるのは、私自身は晴れの日よりも雨の日な気がする。

雨が何かに当たる音も好き。
雨で濡れた道路を走る車の音も好き。


今日、地元のカフェのテラス席で本を読んでいた。
その席にはタープテントが付いていて、途中から降り出した雨がタープテントに当たる音がとても心地良かった。

産まれた時から毎年家族キャンプをしていた為か、テントの中で聴いた雨の音を思い出す。
家族みんなでテントの中でトランプやらジェンガやらUNOやらをして過ごした、あの時間を簡単に思い出す。

雨の音には「1/f(エフぶんのいち)ゆらぎ」という科学的に説明されるリラックス効果があって、これは炎の揺れや木漏れ日などにも似た現象があるらしい。
ああ、だからキャンプファイヤーもキャンドルで揺れる火も、木漏れ日も、ずっと見ていられるんだなー、納得。

私は名前が「泉」だからか、海、川、噴水、雨、水関連の場所に身を置くと、なんだか自分の中のエネルギー数値みたいなものが充電されていくような気分になる。
生まれた時から名前が持つパワーというものを私は信じている。
と言うより、信じざるを得ないような体感がある。

過去の記憶たちも、晴れの日よりも雨の日の記憶の方が鮮明に残っていたりする。
無意識に五感が雨の情報を感じ取ってくれていて、私の身体全部がリンクして記憶に色濃く結びついてるのかと思わされるぐらいに、雨の日の記憶ばかり。
過去の記憶の中の雨の日、あの瞬間、多分、私は晴れの日以上に心を静かにしてその瞬間、"誰か"を想っていて、嬉しいなとか、幸せだなとか、ああ、好きだな、とか、悲しい、切ない、辛い、とか、色んな感情をその瞬間しっかり受け止めてあげてるんだろうなと思う。

自分の感情を素直に、"うんうん、嬉しかったよね"とか、"うん、あれは悲しかったんだよね"とか。そういうことを許せるのが、雨の中なんだと思う。
私にとっては、雨の日があるから救われていることが多くあるんだろうと思う。

水の音は色んなノイズを一時的に消してくれるから、自分の中の色んなものがリセットされるような、洗い流されるような、一瞬でも抱えてしまってる多くのものを手放せるような感覚になる。あの感覚がなんとも好きで。

これは私だけかもしれないけど、冬と、夜と、雨の日。
どちらかというと「暗」や「静」をイメージされる時間。
この時間帯に思い浮かべる人や、思い浮かぶ気持ちというのは、普段自分でも気付けないような大事な、とても特別なそれな気がしてならなくて。

ましてや、雨の日を自分ひとりではなく"誰か"と一緒に過ごせることは、いつにも増してその人と自分の間に流れる時間が凄く特別に思えて、目の前にいる相手と出逢えたこととか、ここまで繋がってこれたこととか、その日の"今日"を共有できることとか、全部が大袈裟に幸せに感じられて、どこか儚さも知ってしまっていて、この瞬間をずっとぎゅっとしていたいと思うような、子供みたいにワガママに簡単にバイバイが出来なくて、この時間がずっと続けばいいのにって、良く思う。

人生における、暗く、落ち込む日々。
この時ほど日常に感謝できることはなく、"その瞬間の自分"にとって本当に必要な人やモノがシンプルに浮かんでくる時はない、と思う。

だからだろう。
雨の日が好きなのは、日常の中で自然と起こってくれる「リセット時間」、その与えられた時間に自分が何を感じるか、何を思うか、誰を想うか、毎回楽しみな自分がいる。

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