もはやトロイカとかそういう問題ではない

　首位攻防戦、レギュラーシーズン最後の直接対決、1つも落とせない天王山。そんなところで推しが登板するのを見たいか見たくないか、どちらかといえば見たくない。耐えられない。私は弱い。しかし私の都合とは関係なくその時はやってきた。

　第1Rは小島くんが8回までがんばり、第2Rは石川歩さんが完投し、ここまで唐川さんというかまっすー以外のリリーフ陣自体出番がなかった。1勝1分で迎えた6点リードの第3R・7回裏、佐々木朗希くんの後を受けてついに唐川さんが京セラドームのマウンドに舞い降りた。あの美しさは「舞い降りた」でいいと思う。間違ってない。

　朗希くんVS宮城くんなんだから死ぬほど投手戦だろうとみんな予想していたのに話を聞いていなかったのか、そんなの関係ねえとばかりに野手陣が6点も取っていたので余裕を持って見られる……ということでもない。この世に永遠も絶対もセーフティリードもない。1点許せばそこからどんどん勢いがついていつのまにか追い越されるという展開もあり得る。まだこないだのことを忘れたわけではない。さあ気合いを入れて令和の怪物が渡してくれた0のバトンを……いや初球打つんかーい！！ で次フォアボールかーい！！ と極めてツッコミどころの多い展開となった。さすが京セラドーム大阪と言わざるを得ない。

　そこで登場するのがまたT-岡田さんである。どう考えてもノセてはいけないバッターである。そこで唐川さんは見事見逃し三振を奪った。判定がギリギリじゃないかとかいろいろあったはあったが、ストライクスリーはストライクスリーである。

　ただ1人アウトに取っただけでホッとできる打線はプロ野球界に存在せず、特にオリックスはサプライズ度が高めの打線(個人の感想です)のため、まだ全然油断できない。それにしてもランナー1、2塁はものすごく嫌だ。ここで誰かにホームランでも打たれたら一気に3点差になってしまう。

　というようなことを考えている間に福田周平さんの打球はレフトへ飛び、あーヒットだと思ったら荻野さんがキャッチしていた。唐川さんは荻野さんに何かおごるべきだと思う。うなぎとか(成田山新勝寺といえば……)。というかむしろ私がおごりたい。ありがとうございました。

　最大のピンチを味方に救ってもらった唐川さんは次の宗くんを魔球カットボールでサードフライに打ち取り、ノーアウト1、2塁のピンチを無失点で切り抜けた。唐川さんはかつて「僕、楽しそうに野球やってるときがいいときなんで」と語っており、楽しそうも何も常にえびふらいのしっぽ(※ヘッダー)みたいな顔してるんだから楽しいかどうかわからないじゃないか……と思っていたが、今日の唐川さんはちょっと楽しそうに見えた。「ツーアウト」のサインがちょっとチャラくてかわいかった。だから調子云々とかよりもそっちの方が大事なのかもしれない。メンタルがパフォーマンスに影響しがちな役職としては。

　かくして「モンスター・オブ・レイワ」朗希くんはこの超大事な試合で勝ち投手となり、ついでに51年ぶりにマジックを点けた。51年間マジックが点かなかったのはロッテに佐々木朗希がいなかったからだったのかもしれない。ちなみにロッテで19歳の投手が3勝以上したのは12年ぶりらしい。その12年前の19歳は、誰あろう唐川侑己さんである。新旧化け物10代が継投してマジックに導く、これも巡り合わせか。

　そんな32歳になっても19歳みたいな唐川さんは翌日もマウンドに上がった。この時は1-1だった。昨日の試合から4点くらい持ってこれなかったのか？ と思うところではあったが、唐川さんを含め最強で最高のリリーフ陣が0リレーを見せ、そして最後の最後にMr.9回2アウトこと岡大海さんがサヨナラ2ランを叩き込んだのでこれのために1-1でやってきたのだと思えた。今日がヒロミナイト2なら理論上その前の日は大野無双2じゃないとおかしくないだろうか。大野ももう一回8回3安打無失点(うち6イニング三者凡退)しよう。ヒロミナイト2開催されちゃったから。

　藤原くんはそのヒロミナイト2会場でみんなと一緒にベンチの最前列から生えてきたような感じになって打席を見つめていて可愛らしかったが、そんな藤原くんの元同僚でありライバルでありニコイチの根尾さんが3か月ぶりに1軍に上がってしかもプロ初のショートスタメンで同点タイムリーを打っていたのが何気に今週の私的トップニュースである。変な話だが、「根尾さんて中日の子なんだなぁ……」としみじみ感じた。根尾さんと大野という見ていて飽きない系男子を擁する中日ドラゴンズ、豪華だ。こっちも藤原くんと唐川さんというプリンスたちを擁しているので豪華だが。だから早く大野を守備とバッティングで救う根尾さんをもっと見たい。