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大野・オン・ザ・レディオ
大野が登板する日、私はマリンに行っていた。マリンには行かなければならないが大野も気になる。でもこんな時に限って配信がない。そこで登場するのがラジオである。
ラジオの野球中継をこうやって真剣にちゃんと聴くのは初めてだった。今まではBGMのように車の中などで流れているものという認識で、プロ野球を観るようになってからもラジオで聴く機会はなかった。パ・リーグだけ観ていたらこれからも永遠になかったかもしれない。大野は新しい扉を開けてくれる男ということである。ミスター・ネクストドアとお呼びしたい。
しかし、私は自慢じゃないがとてもラジオに向いていない。絶望的に向いていない。聴覚より視覚のウエイトの方が大きい体質なのか、何か見始めるとすぐ耳に入ってくるだけの音声は追いやられてしまう。聴くのに集中しようと思っても目を開けている限りすぐ意識がそっちに行ってしまう。電話も同様で、1対1で話をしているというのに話を聞き逃す時すらある。別に私に向かって語りかけているわけではないラジオだともう聞き流すとかいうレベルではなく、1時間聴いていたのに内容をうっすらとしか覚えていなかったりする。
だがライブの大野雄大を余すところなくお伝えしてくれるのはラジオだけなので、今はラジオに向いてないとか言ってる場合ではない。たまに今どっちの攻撃中かわからなくなったり今何アウトかわからなくなったりしたことはあったもののなんとか大野の堂々たるピッチングを把握することはできた。さすが大野である。
それにしても1-0で勝つ大野が一番大野っぽい。その1点も内野ゴロの間にもぎ取ったかなり渋いものだったが、それだけあれば十分だとばかりに腕を振り三振の山を築いていく大野はたくましくまぶしい。ラジオなので実際まぶしかったかどうかは定かではないが、私の想像の中では太陽のようにまぶしかった。まばゆすぎて大野が見えない。
大野がいつもの大野だったため試合は8時頃に終わってしまい、ニッポン放送は残り時間でヤクルト-DeNAと阪神-広島も放送することができ、私もつい最後まで聴いてしまった。大野さまさまと言わざるを得ない。
ラジオ不得意人間がこんなことを言うのもあれだが、ラジオで聴く野球には独特の味わいがある。表示が使えない分実況の言葉に情報がぎゅうぎゅうに詰め込まれ、テンポが上がったように感じられる。高揚感を煽られる。ただやはりラジオにも伝えられないことがあり、例えば今日も大野のズボンは短かったのかどうかというようなことがそれにあたるが、後でチェックしたらちゃんと短かった。大野的には流行の最先端を行きたくてこうしたらしい。エース兼宴会部長兼ファッションリーダーにでもなるつもりなのだろうか。
一方マリンの方はnoteで書いた通りまあ、あんなことになり、ぶっちゃけトロイカ的にもわりと今週は大野が7勝目を大野らしい形で挙げてくれたことぐらいしかめぼしいトピックスがないのだが、みんな怪我などしないで元気でいてくれればそれだけで及第点である。それにしても唐川さんが打たれるのにはいつになったら慣れるのだろうか。慣れちゃダメな気もするが。なんとか「王子さまの球を打てるなんてバッターがすごい」とかいう方向に持っていけないだろうか。藤原くんが打ったならそう思えるかもしれないが。これもピッチャーにハマった者の宿命なのかもしれない。
いろいろあるけれども、泣いても笑っても今シーズンはあとわずかである。大野はあと2~3試合くらいだろうか。登板間隔が決まっているのは先発のいいところであり、あと何試合出られるかどうかが読めて寂しいところでもある。
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