後半戦だよ！ 今週の野球場トロイカ
スポーツだと野球の次にF1が好きだったりするのだが、今シーズンからF1に参戦している久々の日本人ドライバーの角田くん(アルファタウリ)って2000 年生まれだし、名前ユウキだし、しかもカーナンバーが22なのでトロイカの要素が全部入っている。まあ、だから何なんだよという感じであるし野球に1ミリも関係ない。この件は以上である。
まずは22をエースナンバーにしてみせた沢村賞で金メダリストで来月誕生日でココイチが好きな情報量の多い大野雄大の凱旋登板である。6回1失点。何も悪くない。いつもながらちゃんとゲームは作れている。なのに敗戦投手である。どこが？ なにが敗戦投手？ いやなにがなのかはわかってるけどわかりたくない。8敗目と言われても大野は負けてない気がするし解説陣も口を揃えて「大野は悪くない」みたいなことを言っているしほらみんなこう言っているでしょう大野のせいじゃないんだ、と言いたくなる。でも記録は記録である。いつものモヤモヤ。また一週間「……でも大野は悪くなかったと思うんだけどなぁ……」とか言いながら暮らすことになる。「大野は悪くない」が流行語大賞を取る勢いである。
ちょうど甲子園の作新学院-高松商業の試合と時間がかぶっていたため、テレビの横にパソコンを置いて同時並行で観ていたが、こちらは序盤で高松商が6点リードしたものの作新が中盤じわじわと追い上げ、8回についに同点としたと思ったらその裏に高松商が4点入れてすぐに勝ち越し、9回に作新が1点返したもののそのまま逃げ切って7-10で勝利したというエキサイティングゲームだった。両チームともに2桁安打という打撃戦で、ナイターの甲子園で高校球児たちが打って打って打ちまくっているのと広島の欄にぽつんと「1」があるだけのバンテリンドームのスコアボードを見比べながら、作新と高松商が1点ずつくれたら大野は勝てるのにな……となってしまった。大野のためなら高校生に点をタカる、それが私である。あまり堂々と言うことではない。バンテリンドームでも魔曲プリティフライを流してはどうか。
作新も高松商も点をくれずプリティフライも流れなかったため(当たり前だ)、大野はたかが1点、されど1点で敗戦投手になった。野球ってつらい。7回無失点でその後の先制点を呼び込むヒットも打った大瀬良さんがうらやましい。大野雄大VS大瀬良大地って「大」が多すぎるだろ。それはどうでもいいが、これならまだボコボコに打たれて負けた方がスッキリするのではないだろうか。というか今シーズンは勝った時はむしろそれなりに打たれて点も取られているように思う。もっと言うと今のところ勝った試合では必ずホームランを浴びている(サトテルくん、ソト、佐野さん、山川穂高さん)。なぜなのか。ホームラン打たれた方がいいのか。そんなことある？
私が大野に悶々としている間に、裏では藤原くんがいつのまにかマルチヒットしていた。マルチヒットだったしひどくかわいかった。
大野は悪くないが藤原くんは悪くないどころか良すぎる。なんといってもこの一週間でまたホームランをぶち込んでいる。派手さだけではなく安定感もあり、15試合連続安打を記録中でもある。打って走って守ってコケて、いろんな意味で大活躍。良さが止まらない。ちなみに二塁を回ったあたりでコケて戻る藤原くんどこかで見たことあるな、と思っていたら2017年センバツの(たぶん)1回戦だった。あのときは2年生で初めての甲子園で緊張していて転んでしまったらしいが(かわいい)、ZOZOマリンは別に初めてじゃないだろう。むしろそろそろ庭になってくる頃だろう。プレイバックあの頃の藤原恭大ということなのかもしれない。
彼がプロに入ってからずっと思っていることだが、ヒットを打ったぐらいでは喜ばなくなりたい。打てるのがむしろ普通、打てなくなってきてもなんだかんだで戻してきてまた打つようになる、レギュラークラスの選手にはそういう揺るぎない安定感があると思う。藤原くんが打っても「まあ、今日もいつも通りだね」とか言いながらテラスでワイングラス片手に余裕の笑みを浮かべたい。
余談だがソフトバンク戦だったかどこだったかで、藤原くんの打席で解説の方が「でも低めの球打つのうまいですよ」みたいなことを言い、それがなぜかわからないがちょっと嬉しかった。なんというか、プロのバッターとして認めてもらえているような。もちろん年俸をもらって背番号をつけて選手登録されている時点で誰に認められようがられなかろうがプロのバッターなのだが、「プロのボールに対応できるか？ ついていけるか？」とピヨピヨのひよっこを見守る目からひとつ脱して、少し一人前に近づいたように感じてキュンとしてしまった。ゆくゆくは「藤原を抑えるにはどこにどのボールを投げればいいんだ」と嘆かれるようなバッターになってほしいが、まずは未来のことより来週も目の前の試合にくらいついて一歩ずつ進んでいくところを見ていたい。日々反省、日々成長することは前に進むこと(©神保マオ)。
(P.S.この記事が素敵だったのでモヤモヤは水に流したけどそれはそれとして来週はマジで勝ってくださいお願いします)
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