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「愛しあってるかい!」と甲斐拓実の話

[ShortNote:2020.3.3]

(画像:甲斐拓実が住んでるところ)

 今フジテレビTWOで再放送してるので「愛しあってるかい!」(1989年)の話をします。ざっと概略を説明するとこれはいわゆる「トレンディドラマ」ど真ん中の作品であり、表参道にある女子高・表参道女子高校と男子高・南青山高校の先生たちが恋愛したりエリート校と対決したり赤ちゃんのお世話したり走ったり飛んだり跳ねたりして場合によっては生徒たちより青春する話です。

 そしてこのドラマで柳葉敏郎(28歳)が演じているのが体育の先生である甲斐拓実先生なのですが、もうギバちゃんがやった役の中でトップテンに入ると言っても過言ではない。ちなみに室井さんは殿堂入りです。室井さんはギバちゃんに関するありとあらゆる殿堂に入っています。


 まず甲斐拓実の何がいいかというと顔です。いきなり身も蓋もない上にどっちかというと柳葉敏郎の話で申し訳ありませんが、本当に男前。精悍。凛々しい。28歳だけど18歳でも十分通りそう。リアルで10代後半の藤原恭大くんと並べてみても(主観ですけど)遜色ありません。

 第1話でいきなり胸をはだけた剣道着で現れたり第4話で温泉に入ったり浴衣もはだけていたり(これはすべての年代で当てはまりますが、ギバちゃんが浴衣を着ると高確率ではだけます)80’sギバらしく露出が多いですが、身体の方も引き締まっていて無駄がありません。ギバちゃんて人生で太ったことあるんですかね。

 そんなビジュアルなのでモテます。ドタバタラブコメなので見逃しがちかもしれませんが、冷静になって数えてみてください。メイン格の南青山高校教師トリオの中で一番女性に好意を持たれているのは甲斐拓実です。まず最終的にカップルになる里美先生、表参道女子高校の恵ちゃん、ついでにスペシャルで会ったスキー場の女子大生、さらに第4話で彼が間違えてプロポーズした南青山高のおばちゃん先生もまったくまんざらではないどころかめちゃくちゃ嬉しそうでした。個人的におばちゃん先生のリアクションが衝撃的でした。お前……好きだったのか! いつもトリオに苦言呈してるのに! 新手のツンデレか?という感じです。

 それはともかくとして甲斐拓実にはいろいろな方向から矢印が向いているわけです。しかし大事なのは彼自身の矢印の向きです。「自分の好きな人には好かれない」という性質です。いくら女性から好かれても自分の想い人に振り向いてもらえない時点でプラマイゼロなわけです。むしろちょっとマイナスかもしれない。

 甲斐拓実はずっと一途に表参道女子高校の吹雪先生に想いを寄せ続けています。吹雪先生も嫌いではないだろうけどどうにも男女の仲が成立しそうにありません。吹雪先生の親友であり同僚である里美先生が自分のことを好きなのもわかっていて、とうとう彼は自ら身を引きます。すっぱり自分から諦められるの男らしいけど切ない。

 一本気でまっすぐで明るく爽やかで永遠の男子高校生のような甲斐拓実がそんな切なさを隠し持っているとかなりキュンとします。泣くんだったら誰もいないところでひっそり泣いて、みんなの前で人生は一度も泣いたことないかのようにふるまうタイプ。里美先生もどちらかというと好きな人になかなか振り向いてもらえないタイプみたいだし似たもの同士何か思うところがあったのかもしれません。吹雪先生への気持ちを断ち切って里美先生の方に向き直って、しっかりその気持ちを受け止めたことが最終回のクリスマスパーティーでのあの事実上のプロポーズにつながっていくのが美しい。あれはシチュエーションといい流れといい何もかもが甲斐拓実らしい最高峰のプロポーズだと思います。

 このように甲斐拓実の存在だけでも十分素晴らしいのですが、「愛しあってるかい!」自体も素晴らしいです。キャラが素敵だし全員応援したくなってしまう。

 主人公であるところの一平ちゃんと吹雪先生のケンカばかりなのにだんだん惹かれあってしまう感じとか、先生のことが好きなJKのお手本みたいな純ちゃんとか、甲斐拓実推しな時点で120点の天真爛漫な恵ちゃんとか、「先生と生徒の恋愛」という学園ものでは王道だけど取り扱いが難しすぎるテーマはなぞりつつ露骨な描写をせずに上手に着地する不破先生と忍ちゃんとか。

 余談ですが不破先生と忍ちゃんを観た後にテレビで「高校教師」の映像が流れてて一瞬不吉か?ってなりましたけどよくよく考えたら脚本同じ人ですね。振り幅がすごい。温度差で風邪ひくやつ。とにかく全員キャラが立ってて見てるだけで幸せになる。一言でいうと多幸感。スペシャルなんてオープニング前の時点で既にハッピーすぎてちょっと泣きそうになりました。

 ストーリーでいうと、おしゃれなマンションだったり行きつけのお店があったりトレンディドラマのベースも押さえつつちゃんと学園ドラマしてる。
先生が率先して恋愛したり何かに一生懸命になったりする姿を見せることによって生徒も「熱くなるってカッコいいな」とか思うじゃないですか。南青山トリオはやることがむちゃくちゃ(特に、というかほぼ一平ちゃんが)ですが、しっかり「先生」なんですよね。生徒と目線も合わせてるし、先生と生徒の間でなんだかんだ信頼関係がちゃんとできてるのは見ていてぐっときます。

 あとこれだけは言わせていただきたい。キョンキョンが可愛い。鬼のように可愛い。気が強くてツンデレっぽさもありつつ可愛げのある猫みたいな吹雪先生を吹雪先生たらしめている。全シーン可愛いけど個人的に大好きなのは最終回のドレスとスペシャルの卒業式での袴です。キョンキョンが歌うオープニングの「学園天国」も含めて「愛しあってるかい!」だなぁと思います。そして吹雪先生と甲斐拓実が絡むシーンを観た後にすかさず踊る大捜査線 THE MOVIE 3の警察庁地下の護送車のシーンを観るとジェットコースターのような落差を味わうことができます。

ということで明るくて爽やかでやんちゃで硬派ででもちょっとスケベなところがなくもなくて切なさを持っていて腹筋が割れてて男前で朝下北から表参道まで5キロ走るくらい体力があり余っててスキーがうまくてバック宙ができる体育教師・甲斐拓実をよろしくお願いします。

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