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月報:2023年6月

 石坂浩二とサザンオールスターズを生んだ6月。梅雨はどこに行ったんでしょう。ヘッダーは青山学院大学。


✅今月したこと

・石坂浩二誕生祭

 82歳になられました。何度数え直しても82歳です。犬神佐兵衛と同い年になってしまった。信じられない。おめでとうございます。
最初はあんまりケーキ買うつもりなかったけど、夢でケーキを買いに行ってたのでこれは買えってことだな……ということで買いました。

アンリ・シャルパンティエのザ・ショートケーキ。


・サザンオールスターズ45周年

 45周年を迎えてもまだ3か月連続で新曲をリリースするとか新人のようなことを言っているサザンとかいうバンド。ありがとうございます。おめでとうございます。

 せっかくの記念日なのだから何かしなければ、と思いサザン生誕の地のひとつである青学に行ったわけです。渋谷久しぶりに行った。(あんなところにスタバあったっけ……)みたいなことになった。

 そして夜はYouTubeの45曲ライブ映像生配信。冷静に考えてこれを無料で流してるのがやばい。ふざけるなツアーのイエローマンが好きすぎる。実にライブ映えのする曲だ。

・こまねこ公開撮影展

 青学に行ったついでというわけではないんですけど、この日が最終日だったので。なんといってもタイトルにある通り会場でこまねこ新作の撮影風景が見られるのが売り。あの屋根裏部屋がすぐ目の前にあって興奮しました。こまちゃんかわいい。

じーんとした。


🛍今月買った重要なもの

・阪神タイガースTHE MOVIE~猛虎神話集~

 石坂さんのナレーションがどうしてもどうしてもどうしても聴きたくて買っちゃった。石坂ボイスで野球語りを浴びられるということで私のためにあるようなコンテンツだなと思いましたが、私はロッテファンなのでよく考えたらお呼びじゃなかった。でもいいんだ……。江夏豊×石坂浩二は豪華すぎてちょっとわけがわからなかった。

 それと、この作品で今まで甲子園で2000本安打を達成した選手3人は全員背番号「1」だという(王さん、若松さん、鳥様)知識を得ました。背番号1といえばそう、藤原恭大。ということはつまり……。

・イワタ明朝体オールド

 角川文庫のフォント。買っちゃった。これで有料フォントは二つ目(最初のはトリビアの泉のテロップのフォント)。縦書きにすると一気に「これ見たことある!!」ってなる。特にカタカナにそれっぽさが出る気がします。


📖今月読んだ本

・象は世界最大の昆虫である ガレッティ先生失言録/池内紀

 ギムナジウムの教師をしながらたくさんの本を著したけどそれらは一切今日では残っておらず、代わりに授業中の失言によって現在までその名を残すことになったヨハン・ゲオルク・アウグスト・ガレッティ先生(1750-1828)の失言まとめ。失言といっても「知恵を出さないやつは助けないぞ」とかそういう炎上系ではありません。誰も傷つかないやつ。

 「ヴェルギリウスはアテネからの帰途、ちょっとした災難に見舞われた。というのも、彼は死んだのだ」はずるい。「ちょっとした災難」というレベルではない。「死ぬこと以外かすり傷」という言葉が流行りましたが、ガレッティ先生にとっては死ぬことすらもかすり傷なのかもしれない。格が違う。あと「イギリスでは、女王はたいてい女であった」も好き。

 この本の最初の版がガレッティ先生が亡くなってすぐに出たことについて、死者を笑いものにしようとしたわけではなく先生を偲び在りし日の面影を伝えようとしたのだろうと言われていたのにじーんときました。私も母親の言い間違いを収集していますが、これもいつか思い出になるんだろうな。

・ロゴ・ライフ 有名ロゴ100の変遷/ロン・ファン・デル・フルーフト

 歴代のロゴがずらっと並んでいるだけで壮観。見ているとロゴに添えられたイラストがどんどん簡略化されていって図形のようになるパターンと社名が省略されていくパターン(ナイキとか)がけっこうある。どちらもそれだけロゴが浸透してわざわざ細かく描くまでもなくなったり、社名を併用する必要がなくなったりしたということですよね。

 ロゴに使われているフォントの解説をしてくれたりするのもうれしいポイント。

・ブーリン家の姉妹1(上)(下)/フィリッパ・グレゴリー、加藤洋子訳

 アン・ブーリンのことをエリザベス1世のお母さんでロンドン塔に幽閉されて処刑されたぐらいしか知らなかったんですけど、心の奥底では違うものを欲しているのに自分は権力や名誉しか求めていないと思い込んで悪女になろうとしたのになりきれずどんどんひずみが生じて破滅していく女が何よりも大好きなので最高でした。フィクション入ってるんでしょうけど。

 語り手の妹メアリーは王の愛人としては挫折したけどその代わりに最愛の子どもを手に入れて愛で結ばれた結婚をし、アンは王妃になった自分の方が上だと思い込みたかったんだろうけど思えなくてメアリーに嫉妬してたんだろうなと思うとますます最高だなという感情が沸き上がってきます。

 産まれた時からライバルでお互い自分に嫉妬させることを快感だと思い、それでもどこかでお互いを愛している姉妹の一筋縄ではいかない絆。そこに陽気でいろいろなことを割り切っている兄ジョージが加わって、この三兄妹だけのシーンは毎回好きでした。きっとこんな家に生まれてなければお調子者のジョージ、毒舌家のアン、おっとりしたメアリーで平和な時間がもっと長く続いていたのかなと思えて切ない。

・ブラウン神父の童心/G・K・チェスタトン、中村保男訳

 相棒S21最終回で登場した木の葉を隠すなら森にでおなじみのミステリー。「アポロの眼」が一番面白かった。序盤なめられ系探偵が好きですね。金田一耕助とか。

・真贋の森/松本清張

 表題作は読んだことある。「黒地の絵」か何かに入ってなかった?クライムサスペンスの緊迫感を最高潮まで高めておきながらラストあっさりと幕を引くのがなんだかリアルで清張っぽくて好き。「空白の意匠」(これも読んだことあるな)はある意味どんでん返しかもしれない。会社員にとっては一番怖いオチ。

 初読のものだと「愛と空白の共謀」がよかった。不倫とかそういうものを謎に仕立てあげるのがうまい。こういうのも「人が死なないミステリ」に入るんだろうか。いやこの作品では夫死んでるけど、殺人事件じゃないし。清張の書く夫を失った女性主人公好きだな。「ゼロの焦点」とか。

・仮面舞踏会/横溝正史(再読)

 家にあるってことは読んだってことなんだろうなあと思いつつあんまり覚えてなかったので初読のつもりで読んだら、樋口操みたいな強烈なキャラを読んでおいて忘れるとはどういうことだよとなった。同じ職場にはいてほしくないけど同じフロアに入居してる別の会社にいる人とかぐらいの距離感で一方的に観察していたい人だ。樋口操。

 それと「悪魔の降誕祭」同様犯人の属性が好き。

・のほほん絵日記/さくらももこ

 意外と読んでなかった。息子さんに熱帯魚の名前を「ウルトラマンダイナ」にされた話が好き。「私からエサをもらっているウルトラマンダイナなんて、いざという時人類のためにぜんぜん役立ちそうもない」。

 あと「暴れん坊将軍」を「馬にのってな、大さわぎしてな、こうアレだよあいつ、高倉健だか誰かが大あばれ。さむらいみてぇなよォ」と言うヒロシ。「あのころ」だったかに収録されていた「喝采」(ちあきなおみ)の歌詞のひどいうろ覚えぶりもそうですが、ヒロシのこの適当な理解が好き。大さわぎ……。

・世界でいちばん透きとおった物語/杉井光

 「ネタバレ厳禁」「紙の本でしかできない仕掛け」と計題になりまくっていたのでネタバレされる前に。でもこれはネタバレというより仕掛けバレというか……。萩原浩の「噂」みたいなどんでん返しだったらどうしようとビビっていましたが、そういうのではなかったです。いやストーリーのどんでん返しは好きなんですけど、「噂」は怖かった。唐突すぎるし。途中ちょっと「読点少ないところあるな?」と引っかかった部分があったんですけど、それがヒントだったんだなぁ。

・翔ぶ夢、生きる力 俳優・石坂浩二自伝/石坂浩二

 聖典その2。自伝です。タイトルに書いてあることをもう一度言ってしまった。どうしても6月に読んでおかなければならない気がしましたので。電車の中で読んでいたのですが(基本的に私は電車に乗っている時に本を読む)HOWマッチの話に差し掛かったあたりで目的地に着いてしまい、「待って!!HOWマッチ!!」と焦りまくった。世界まるごとHOWマッチ、石坂浩二の教養と毒舌を頭から浴びられる素晴らしいコンテンツですね。

 それとタイガースファンなのは別当薫が慶應の人だったからだったんですね。別当さんがきっかけだったのはどこかの記事で読んだ気がするけど。別当薫の時代からプロ野球を観てる人に勝てるわけがない。勝負しようとも思ってないけど。そして3分の1くらい(もっと?)が飛行機の話で石坂さんらしいなと思いました。何が好きかで自分を語れる人は素敵です。

🎵今月の一曲

♪innocent world/Mr.Children

 物憂げな6月の雨に打たれて。


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