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藤原恭大と唐川侑己が(中略)帰れま10 #9:野球シックス・センス(F-M)

(ハッピーバースデー)

 こじつけだと言われてしまえばそれまでなのだが、なんとなく球場に行くのに気が重い日ほどいいことが起きるような気がする。

 去年ついにナマ唐川侑己のピッチングを見たこの日もそうだった。

 今日は強めの雨が降り出すという予報だったせいもある。なにしろマリンまでは1時間半くらいかかるので、そこまで行って中止と言われたら悲しすぎる。降るならいっそ試合前に降ってバシッと中止になってくれないかな、と思いながら電車に乗り、結局そのまま海浜幕張に着いた。席についてもまだ雨は降っていなかった。


 空も静かだったけれどもグラウンド内も静かだった。0-1で投手戦といえば投手戦なのだが、投手戦らしくヒリヒリした展開というよりなんだか淡々と進んでいる試合のように見えた。このまま終わったらなんかよくわかんないけど「さほど見どころもない平凡な試合だった」とか言われそうだな……と思ったりした(こないだ神宮で中日-ヤクルトを観て、私は楽しい試合だったなあと思いながら帰ったのに後で某所のコラムに「平凡な試合だった」的なことが書いてあったのを未だに引きずっている。一応その後にフォローあったけど)。

 しかしそんな私の緩んだ気分を8回裏のとしくんの爆裂ホームランが一気に引き締めてくれた。やった!これで見どころできた!

 そのまま延長戦に突入し迎えた10回裏、ロッテは先頭のぐっさんが「スッパーーーン」という擬音が似合いそうな鮮やかなヒットを放った。そして鮮やかに和田くんと交代し、(交代の時にちょっとボールボーイをはさんでしまい)、その和田くんが鮮やかに盗塁を決めた。

 それから小川くんがあわやセーフティーかというような完璧なバントを決め、1アウトランナー三塁(+そのランナーは和田康士朗)バッター荻野さん、というこれ以上望むべくもないような理想的な構図ができあがった。

 ふと、ここでサヨナラするか次の11回表に勝ち越されて負けるかのどっちかだな、と思った。今年はサヨナラのチャンスで決めきれず、その次のイニングで勝ち越される試合を何回か見てきたからかもしれない。だからもう何が何でも荻野さんにはやってもらわねばならんのである。バットに当てて外野に飛ばすだけでいいのである。お前が打たなきゃ誰が打つ。まさに。

 そして荻野さんは願い通りボールをバットに当てて外野に飛ばしてくれた。私はてっきり一・二塁間を抜けていったと思っていたが、後で見たらレフト方向だった。何も見ていなさすぎる。


 荻野さん曰く「いいアイシングになった」らしいウォーターシャワーを見ながら(ついでになぜか角中さんに水を浴びせているまっすーも見ながら)思った。やっぱり気が重い日ほどいいことがある。こじつけと言われてしまえばそれまでなのだが。


(この人たちいいわー)


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