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なぜ資産運用が重要なのか?トマ・ピケティの「r>g」から考える。

こんにちは、こおるかもです。

この記事では、資産運用マガジンの最初の一歩として、「なぜ資産運用が重要なのか」についてぼくの考えをお話したいと思います。

資産運用と聞くと、「楽してお金を増やして人生を楽しもう!」的な感じで受け止められることがあります。日本では未だに、銀行預金が当たり前、資産運用は胡散臭い、なんだか悪いことをしている気がする、という雰囲気があります。

結論から言うと、資産運用(=現金を経済的な資産に変えて、経済成長と連動させる行為)は、資本主義社会において、やらないと一方的に貧しくなる強制参加ゲームです、ということをお伝えしたいと思います。

それではいってみましょう。

現金の価値は不変ではない?

みなさんは主に労働による対価をお金でもらっていると思います。より正確には、仕事をしている現地の通貨としてもらって、多くの人はそのまま銀行預金にしていると思います。

さてここで、現金の価値は不変ではない、とはどういうことでしょうか?
それは、現金の価値とは、常に相対的であるということです。

通貨の価値は、主に2つの相対性を持っています。

ひとつは、他国通貨との相対性です。
これは、最近の大幅な円安(1ドル150円)などのニュースを見聞きして、実際に輸入品の値段が上がったり、海外旅行の費用が高かったりすることですぐに気づくと思います。

そしてもうひとつは、商品価値との相対性です。
こちらの方が今回は重要な意味を持ちます。

商品とは、おにぎりとか、ラーメンとか、焼肉とかのことです。(食いしん坊か)

これらの商品の値段は、原材料や加工費や人件費や利益率など、様々な要因で決定されます。そのため、いつもおにぎりが100円であるとは限らず、様々な要因で変動します。このことも、昨今の原料高騰による様々な商品の値上げによって、実感がある方も多いと思います。

もし、おにぎりの値段が100円から200円に、つまり2倍になったとしたら、それは逆に言うと、おにぎりに対して日本円の価値が半分になった、ということと同じです。

このように、現金の価値は、「他国の通貨」「商品の価値」に対して、相対的で、不変ではありません。

したがって、「労働によって得た自国通貨の現金を、そのまま保有する」という行為は、決してその価値を保存していることにはならないのです。

これが、資産運用が重要な理由のひとつです。

資本主義のルール

しかし、変動するからと言ったって、逆に言えば通貨の価値が上がる可能性だってあるわけだから、資産運用をする積極的な理由にはならないじゃないか?という考えもあります。

しかし、そうではないのです

なぜなら、資本主義に社会おいては、健全な経済成長のために、インフレを2~3%に維持することが望ましい、とされているからです。

どういうことでしょうか?

まずインフレとは、商品の値段が上がることを意味します。2~3%のインフレということは、毎年おにぎりの値段が2~3円上がるということです。

なぜインフレがいいのかというと、商品の値段が時間とともに上がるということは、通貨の価値が相対的にどんどん下がるということなので、みんな現金を保有せず、どんどん使った方がお得、ということなり、経済が回ります。

消費者だけでなく、企業も同様に、現金を持つよりは、将来に向けた設備投資をしようとします。銀行も、現金をどんどん貸し付けた方が良い、ということになり、経済が成長します。

これが資本主義のルールです。国も、日銀などの各国の中央銀行も、すべてこれを目標に貨幣の流通量や自国通貨の政策金利を調整しています。

ちょうど、今の欧米が政策金利を上げて上がりすぎたインフレを抑えようとしたり、日本は逆に安定したインフレを起こすためにできるだけゼロ金利政策を維持しようとしたり。

毎年2~3%と聞くとだいぶ緩やかに思えるでしょう。しかし実際に計算してみると、24年で2倍55年で5倍になります。逆に言えば通貨の価値は半分5分の1、になるということです。昔のサザエさんで、10円のお小遣いで大喜びするカツオくんを見ればきっと実感が湧くと思います。

自分が生きているたった数十年の間に、これほど通貨の価値を下げようとしているのが資本主義なのです。

これが資産運用をする積極的な理由のひとつです。

最後のとどめ:r>gとは?


しかしながら、もうひとつの反論も生じえます。それは、原理的に言えば、インフレが起きて経済が成長するということは、給料の額面も増えるはずなのです。なので、実際にはひとびとは貧乏になることはなく、その時その時の物価にあった給料がもらえるはずです。

だから、資産運用などしなくてもよいのだと。

しかし、残念ながらそうではない、ということを証明したのが、かの有名なトマ・ピケティの不等式です。

r>g

ここで、r=資本回収率、g=経済成長率、を意味します。それだけだとよくわからないですよね。

資本回収率とは、資本家がある会社に投資して(あるいは個人が株を買って)、その会社が成長することによって得られる(あるいは株を売る)ときの利益率のことです。

経済成長率とは、端的に言えば、労働者の給料の増加率です。

つまり、上記の不等式は、「資本家の利益の増加率が、労働者の給料の増加率よりも常に高い」という意味です。

で?

という方もいるかもしないのでもうちょっと説明します。

世界の富が、資本家の持っている資本と、労働者の給料の合計だとします。そして時間の経過とともに、どちらも健全なインフレに従ってその量が増えていくのは良いのですが、資本家の資本は毎年4%ずつ増えていくのに、給料は2%ずつしか増えていかない。(平均すると約3%になるとする)

すると、世界のインフレは3%で、おにぎりの値段も3%上がっているのに、給料は2%しか上がらない。その差である1%分、労働者にとっておにぎりが手の届かない高級品になっていきます

一方で、資本家は、毎年4%の利益がでるのに、商品の値段は3%しか上がらない。だから毎年、資本家にとってはおにぎりがちょっとずつ安くなっていく

最終的に、資本家はなんでも買えるが、労働者は何も買えなくなっていきます。これが世にいう経済格差であり、トマ・ピケティが指摘していることそのものになります。さらに最終的に労働者が革命を起こすと、マルクスの予言の成就ということになります。

そして、現在はまさにその過程を進んでいると言えます。

コロナ禍、ウクライナ問題で、より一層資本家は儲かり、労働者は物価が上がるのに給料が上がらないという二重の苦しみを味わっています。

だから、労働者こそ、資産運用が必要なのです

結論

いかがでしたでしょうか?この記事の論旨を要約します。

  • お金の価値は商品価値に対して相対的である

  • 資本主義社会においては、お金の価値はインフレによって下がっていく

  • 経済成長による給料アップよりも、投資によるリターンの方が高いことが証明されている(r>g)

  • したがって、労働しているだけでは、貧しくなる一方である

  • なので資産を運用しましょう

資産運用とは、「楽してお金を増やして人生を楽しもう!」というレベルの話ではなく、やらないと一方的に貧しくなる強制参加ゲームだからやるのです。

ちなみに、ぼくは決して資本主義が良い社会だと言っているわけではなく、むしろ、いつかこれを打倒する必要があると思っています。しかし、好むと好まざるとにかかわらず、この時代に生まれてしまった以上、我々は資本主義社会のプレイヤーであり、強制参加させられているのです。

どうでしょうか?資産運用の重要性について理解が進み、資産運用を始めたくなったでしょうか?

もちろん、資産運用を始めるからには、できるだけ楽しく、かつきちんと結果も出したいですよね?そのためには、やはりある程度の勉強や経験は避けては通れません。

今後、このマガジンは、ぼくの資産運用の考え方、株式資産のポートフォリオなどをどんどん公開していきます。もちろん損をしている時期も包み隠さずさらけ出していきます。ぜひみなさんの参考になれば幸いです。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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