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「歳入庁」創設案を復活してほしい~次元異なる少子化対策にむけて

「次元異なる少子化対策」の財源は社会保険料上乗せ、という政府の案が報道されました。

これに対して、財源が社会保険料だと、現役世代、まさに支援されるべき子育て世帯の負担が重くなる、支援対象から徴収してまた給付することに意味はあるのか、という反論が巻き起こっています。

子育て支援をするなら、財源はどこかで確保するしかありません。
その方法は、家計改善と同じで、収入を増やすか支出を減らすかです。

岸田首相は24日の国会答弁で
「国民の実質的な負担を最大限抑制するために、まずは歳出改革の取り組みを徹底する。まさに議論をいただいているところであり、私が結論を言うわけにはいかない」
と、「まずは歳出改革」=支出を減らすことが大事だと述べています。

この「歳出改革」について、成し遂げるのは大変だが成果は大きいとずっと言われ続け、かつて法案として提出されたこともあるのが、「歳入庁」創設。
つまりは、国へ入ってくるお金を一元管理する案です。
よく、「税と社会保障」とこの2本は並べ立てられており、日本では、税金は財務省・国税庁、社会保険料は厚生労働省・日本年金機構と管轄が別れていますが、諸外国では「歳入庁」として一本化されているのが一般的です。

かつて歳入庁創設について検討されていたころの資料を見ると、このときに導入されていれば、もう今年2023年には一本化されている姿になっているはずでした。

https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/syakaihosyou/5daijin/240612/siryou.pdf

これがずっと議論され続けながら、なぜ実現しないのかは、以下の記事を読むとわかります。

税金や各種の社会保険料を集める役人さんたちや、彼らに影響力を行使できることが存在意義である政治家にとっては、自分たちの仕事と権限を取り上げられる可能性が大きい歳入庁設立による徴収業務の効率化は「論外の構想」なのだろう。

個人的にも、この「歳入庁」は大賛成です。
理由はふたつあります。

ひとつめは、今回の少子化対策の財源についてもそうですが、現在の状況は、財源問題のつど、
「消費税を上げる等の増税は国民の反対が強いが、社会保険料であればそこまでではない」
というような、不毛なごまかしに利用されがちだからです。

国民がしっかり金融リテラシーをつけ、増税と社会保険料値上げの影響をきちんと把握して反対できればよいのかもしれませんが、そもそも政府が国民に対してそういったごまかしができてしまう状況であるということは解消すべきと思います。

ふたつめは、あらゆる事務が重複している非効率です。

企業は、毎月、日本年金機構に健康保険料と厚生年金保険料を納めます。
毎月、管轄の税務署に所得税を納めます。
毎月、社員の住民票のある各市町村に、個人住民税を納めます。

そして、それを受け取った各組織には、受け取る事務作業があります。
また、支払わない企業や個人があった場合には、それぞれに督促や差し押さえなどの事務を行ないます。

このあたりの重複をすべて統合したら、かなりの財源となるのではないでしょうか。
会社側も事務の軽減にもなりますし、個人としても、支払先が一本化されたり、年金や税金の滞納でそれぞれから差し押さえの連絡があったりする面倒から開放されます。

さいきんはあまりマスコミも大きく取り上げることがなくなっている「歳入庁創設」問題。

今後の労働力不足、人口減少にむけても、ぜひ早めに再度まないたの上にのせ、取り組んでほしい政策です。


アイキャッチは画像生成AILeonardAIで作成しました。

プロンプト:social insurance,tax


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