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障がい者雇用の除外率「どうすればできるかを考える」~第118回労働政策審議会障害者雇用分科会 #0056/1000

今日は厚労省メルマガの「第118回労働政策審議会障害者雇用分科会」内容で「おおっ」と思った障がい者雇用の除外率について。

従業員が一定数以上いる会社は、障害者雇用促進法という法律で、障がい者を一定割合雇わなければいけないと決められています。

ですが、障がい者には危険の大きい業務内容の会社などは、その割合が少し調整され、法律で決められている割合よりも低くていいですよ、というのが「除外率」です。

ではどんな業種の「除外率」が大きいか、どんな業種が障がい者が働くのが難しいと思われているかというと、こんな業種です。

厚労省資料より

教育現場や、薬品を使ったり船舶など、事故が起こるとその規模が大きそうな業種が除外率が高めになっています。

それはしかたない、となりそうですが、実はこの除外率という制度自体、廃止されることが決まっています。

つまり、こういった業種を特別扱いすることは近い将来しません、ということです。

廃止は決まっていますが、いまは暫定措置として、だんだんに除外率が引き下げられている状況です。

今回は、その引き下げかたも手ぬるいのでは…というような意見が出ていました。

ですが、肝心なのは除外率を下げることではなく、その、障がい者が働くにはちょっと難しめの業種で、障がい者のかたがいかに活き活きと働けるようになるか、ということです。

資料には、その好事例も紹介されていました。

たとえば医療であれば、外来業務。
外来業務は病棟業務と異なり、患者の容体の急変、緊急の手術など、突発的
に対応しなければならないことが少なく、また業務手順の見通しがつけやすいからとのこと。

また、児童福祉施設では、身体的負担が軽くなるよう担当クラスを配慮し、身体に負担がかかる業務が発生した際は同僚の保育士がサポートしたりして、昼食の補助、寝かしつけ、保護者対応等を行うなど。

でもこうして具体例を見ていくと、なにも、障害者手帳をもった人ばかりの問題じゃない、と思えてきます。

だれでも、調整なしに元気で働けるときもあれば、病気であまり働けないときもあります。だから、長いスパンで見れば、全員の問題です。

でもなかなか人間、いまが大丈夫だと先のことを考えにくいものです。

依然として「障がい者雇用は難しい」という声が聞かれる除外率設定業種で障がい者雇用の取り組みを加速化することを目的にした施策も、国は考えています。

それが「除外率設定業種企業における障害者雇用モデルの構築事業」。

経営コンサルティングのノウハウをもつ民間業者にも協力をあおげるそうです。

つまり、「できない」「難しい」ではなく、「どうしたらできるか」を考える。

この障害者雇用率制度という視点からの取り組みにも、じわじわと皆が働きやすくなる芽生えがあるように思います。

このプロジェクトの募集はもう終わっていますが、来年3月で終わった後、どんな目からうろこの「できる」がうまれたか、発表が楽しみです。

《つけたし》障害者雇用率制度をもっとくわしく

従業員が一定数以上の規模の事業主は、従業員に占める身体障害者・知的障害者・精神障害者の割合を「法定雇用率」以上にする義務があります。(43条第1項)

民間企業の法定雇用率は2.3%です。従業員を43.5人以上雇用している事業主は、障害者を1人以上雇用しなければなりません。

雇用義務を履行しない事業主に対しては、ハローワークから行政指導を行います。
厚労省HP

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