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年末調整、国民年金保険料前払は支払った年にまとめて申告がおすすめ

引き続き、年末調整のお話です。

年末調整で、収入から、税金の対象として外してくれるのが「控除」。

そのうち社会保険料控除は、国による保険料制度(健康保険など)についてのもので、民間の生命保険料のような上限もなく、優遇されている控除です。

たとえば、今年転職した場合で、転職する前に国民年金保険料や国民健康保険を払っている場合や、子で、20歳になったがまだ学生で、その国民年金保険料を払った場合など家族の社会保険料を支払った場合は、かならず、申告しましょう。

なお、申告の裏付けとして、国民健康保険や介護保険料はなぜか裏付け不要ということになっていますが、国民年金については裏付けが必要ということになっています。

令和5年「年末調整のしかた」

そこで問題になるのが、「国民年金保険料つって、前払いできたよね?」ということ。

納付推進のため、国民年金保険料は未来の分まで前払いすると割引があります。

どうせ払うなら、と前納を選ぶ人もそれなりにいます。

では、その前納で支払った保険料は、いつの分の社会保険料控除にできるのでしょうか?

年金といえばの総本山、日本年金機構には、以下のQ&Aがあります。

ここでは、支払った年に全額社会保険料の対象にする方法と、支払った対象の月で月割して、今年分だけを対象とする方法と、ふたつありますよ、と紹介されています。

ですが、皆様知りたいのは、「じゃあ、どっちがおトクなの?ラクなの?」ということではないでしょうか。

ここで、大きな問題があります。

国民年金保険料を、社会保険料控除として申告するには、裏付けが必要だということです。

その裏付けは、大きくふたつ。

日本年金機構から10月頃に送られてくる「保険料控除証明書」か、ご自身でコンビニや郵便局で納付したときの控えか。

どちらかというと、前者の「保険料控除証明書」が来ると、「年末調整のためにとっておかなきゃ」という気持ちになる人が多いと思います。

ここが、ポイントです。

保険料控除証明書は、あくまで、「その年に支払ったぶんについて証明する」ものです。

たとえば、2023年10月に、2024年3月分まで前納したとしましょう。

2023年の保険料控除証明書に掲載される内容は、すでに締め切られています。

では、その分は2024年の保険料控除証明書に載ってくるのでしょうか?

実は、載ってこないのです。

この2023年10月に納付した場合で、月割で2023年12月までは今年申告して、のこりは来年にしよう、と思ったとします。

その作戦自体は「あり」です。

来年収入が増えて、税率が上がる場合などは有効な手だと思います。

ですが、今回月割により外した、2024年1月から3月までの支払保険料については、2024年の保険料控除証明書に載ってきません。

つまり、会社側もチェックするにあたり、見逃してしまうポイントとなります。

保険料を支払った時の控えを2023年度ぶんとして一度会社に提出したあと、一度返してもらって、翌年も残りの月割について申告する、ということができるのであれば、全く問題はありません。

ですが、来年までちゃんと覚えていられるでしょうか?

会社側も、社員が裏づけ書類を出してこない限り、よほど小規模で管理が行き届いた会社でないと、「あの人は今年も国民年金保険料があったな」などと気がついてくれません。

であれば、忘れないうちに支払った年に申告してしまうほうが懸命です。

会社も月割などせずそのままの金額で対応できます。

やり方としては2通りあるよと案内されていますが、より、申告もれが起こりにくい方法を選ぶことをおすすめします。

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