五公五民?国民負担率は感情ではなく理屈で語ろう 338/1000
2023年2月21日、財務省が「令和5年度の国民負担率見込み」を発表したのをうけて、「五公五民」がTwitterでトレンド入りしたそうです。
「国民負担率」とは、「租税負担及び社会保障負担を合わせた義務的な公的負担の国民所得に対する比率」のこと(財務省HPより)。
そして「五公五民」というのは江戸時代の年貢率のことで、五割が領主の取り分、五割が農民の取り分ということです。
ここだけ確認しても、あれ?「五公五民、ほんと?」となりませんか?
「国民負担率」には、「税金(租税)」だけではなく、「社会保障負担(年金・健康保険など)」も含まれているのです。
「社会保障負担」からは、私たちは得ているものもあります。
健康保険で3割負担で病院にかかれること、年をとったときや万が一のときに年金がもらえること、職を失ったときに失業給付をもらいながら次の職が探せること。
これらすべて、社会保障負担からです。
そして、以下のこれまでの国民負担率の資料をみると、だんだん増えているのは税金ではなく、社会保障負担率なのです。
社会保障負担率を減らすためには、たとえば、年金がもらえるようになる年齢を引き上げたり、医療機関で払う医療費の自己負担を増やしたりする策が必要で、それは、私たちの痛みもともなうものでもあります。
「五公五民」といって国を責めている矛先が、自分たちに向くこともありうるのです。
「五公五民」というのはわかりやすく感情に訴えてくる、届きやすい言葉です。
ですが、そういうときにこそ、感情的に反応するのではなく、自分たちにできること、たとえば医療費を増やさないために日頃からよく寝たり運動したり食事に気を使ったりするということを理屈でやるほうが、現実をよくする方向にはたらくのではと思います。
また、「日本は税金が高い!」という意見もみますが、それは二重の意味で間違っています。
ひとつはさきほどお伝えした通り、日本は税金ではなく「社会保障負担」が伸びていること。
またもうひとつは、諸外国と比較すると、けっして日本は「高い」わけではないということです。
https://www.mof.go.jp/policy/budget/topics/futanritsu/20230221.html
国民負担率を公表した財務省のホームページには、「国際比較」の資料ものっています。
それをみれば、日本の税金が国際的に比較して高いのか低いのかは一目瞭然。
ちょうど中くらい、高いわけでも低いわけでもありません。
「日本は税金が高い」という声がこれだけ高くなるということは、払っている税金にたいして、行政サービスが納得できるものではない、ということかもしれません。
それを見える化するために、まずは、日本の税金や社会保障費がいまどういうところに使われているのか、自分はどういう行政サービスがあれば納得して払うのか、などの理屈から、一緒に確かめて考えてみませんか?
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