見出し画像

国民健康保険料、令和6年分じわり2万円上限引き上げ…会社員退職後注意!~第169回社会保障審議会医療保険部会

国民健康保険は、会社員で健康保険制度に加入している人と、75歳以上で後期高齢者医療制度の人を除き、フリーランスや自営業の人が加入する医療制度です。

原則、昨年の収入をもとに計算され、市区町村によって保険料が違う仕組みになっています。

ちなみに、平成29年の資料ですと、山形県、佐賀県は高め、沖縄県は低め、などの傾向があります。

平成29年度 市町村国民健康保険における 保険料の地域差分析

こうした地域差があるとはいえ、国民健康保険料の年間の上限額は、どこまでも高く設定できるわけではなく、全国一律の上限が、毎年定められています。

その令和6年の上限が、令和5年より2万円引き上げの医療分89万円、介護納付金をあわせると106万円ということに、第169回社会保障審議会医療保険部会で決まりました。

2万円引き上げの根拠は、高齢化等により医療費等が増加していく分をどうやって負担すべきかを考えたとき、以下①案と②案を比べ、②案があるべきでは、というもの。

①保険料負担の上限を引き上げずに、全体の保険料率を引上げる→高所得層の負担は変わらず、中間所得層の負担が重くなる。
②保険料負担の上限を引き上げ、高所得層がより多く負担する→中間所得層の被保険者に配慮した保険料設定ができる

資料では、以下の図で説明されています。

国民健康保険の保険料(税)の賦課(課税)限度額について(令和5年)

結果、内容としては、医療分がプラス2万円になることで89万円、介護分は変更なしで、トータル106万円というものです。

国民健康保険の保険料(税)の賦課(課税)限度額について(令和5年)

結果、据え置きの場合は、年収400万円世帯は今年と比べ9,000円高い3.2%の値上がりになるところ、それよりは2,000円少ない2.7%の値上がり(昨年比7,000円マイナス)ですむという計算結果になっています。

一方、高所得者世帯は上限が引き上げられるので、プラス2万円。

国民健康保険の保険料(税)の賦課(課税)限度額について(令和5年)

実は、昨年も、全く同じ方向性で2万円の上限引き上げが行われています。

国民健康保険の保険料(税)の賦課(課税)限度額について(令和4年)
国民健康保険の保険料(税)の賦課(課税)限度額について(令和4年)

これまでの引き上げの流れを見ると、一時期3,4万円あった時期と比べれば、2万円の引き上げは鈍化しているとはいえます。

国民健康保険の保険料(税)の賦課(課税)限度額について(令和5年)

医療費の逼迫は団塊世代がつぎつぎと75歳以上になるこれからが本番。

会社員時代高収入だった人は、退職後の健康保険制度について、そのまま会社員時代の健康保険に特別な制度(任意継続)で入り続けるか、それとも国民健康保険にするか、よくよく検討する必要があります。

いちばんの方法は、離職後1年ほどは、101人以上の企業で週に20時間程度働いて健康保険制度に入ることかもしれません。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?