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障害者雇用率引き上げ、これまで対象ではなかった会社こそ活かせる

労働者を雇用する事業主は、民間企業であると官公庁であるとを問わず、身体障害者等に雇用の場を提供する社会連帯責任を有するということが、「障害者の雇用の促進等に関する法律」(昭和35年法律第123号。以下「障害者法)という。)によって定められています。

それを実現するためのしくみが、障害者雇用率制度。

この制度は、会社ごとにその会社の人数にたいして決められた障害者雇用率を乗じて、計算された人数を目標に、障害者雇用をすすめようという制度です。

その障害者雇用率は、世の中の障害者率などをもとに5年に1度見直されることになっていますが、来年4月から引き上げられることになりました。

法律で定まっている障害者雇用率は、いまは2.3%ですが、2024年4月から2.5%、2026年7月から2.7%に引き上げられます。

300人社員のいる会社だと、現行の2.3%では6.9人、2.5%になると7.5人。

ひとりは増えませんが、短時間で勤務するひとは0.5とカウントされますので、そのひとひとりぶんは増える計算になります。

もし増えた分が増やせず、法律で決まった障害者雇用率(法定雇用率)を下回るとどうなるかというと、もうひとつの制度、障害者雇用納付金制度の出番。

下回った会社は納付金を払うことになり、その納付金は、法定雇用率を上回った会社に、障害者雇用促進のために使われる流れになります。

この引き上げでいちばん大変な点は、これまで障害者雇用の経験のない会社も、その対象となること。

今回の法定雇用率2.3%では、常用労働者数44人以上の企業が対象ですが、2.5%に上がると40人以上、2.7%なら38人以上の企業で、新たに障害者雇用の義務が生じることになります。

ですが、それはひとつのチャンス。

障害者のかたが職場で働くようになってから、互いに声をかけ合うなどのコミュニケーションが改善したという声をよく聞きます。

たとえば「障害者を雇用することにより、社員一人ひとりが「伝える」ことの重要性を再認識することができた」愛媛の会社の例など。

何ごとも、ピンチをチャンスに変えることは可能です。

障害者雇用をはじめる会社にとっては、助かる助成金制度もあります。

やるからには、会社にも社員にも障害者本人にも良くなる方向にできたらいちばんいいですね。

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