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睡眠と勤務間インターバルと自動車運転者の労働時間等の改善

2024年問題。
それは、自動車運転者関係の業界における大きな問題で、自動車運転業務の年間時間外労働時間の上限が960時間に制限されることによって発生する問題の総称のことです。

1.何が問題か?

一般の業界においては、2019年にすでに以下のような労働時間の上限が設定されています。

  1. 原則として、月45時間・年360時間

  2. 臨時的な特別の事情があって労使が合意する場合でも、時間外労働:年720時間以内、時間外労働+休日労働:月100時間未満、2〜6か月平均80時間以内

  3. 原則である月45時間を超えることができるのは、年6か月まで

それを表にして、自動車運転者と比較すると以下のとおりです。

一般と比べると、自動車運転者の上限規制は少なく、上の3点のうち、以下2点のみです。

  1. 原則として、年360時間

  2. 臨時的な特別の事情があって労使が合意する場合でも、時間外労働年960時間以内

仕事の内容的にどうしても長時間労働になりがちな自動車運転者業は、守れないような厳しい規制にしてしまうと運用がまわらず、規制の意味がなくなってしまいます。

とはいえ、脳・心臓疾患による労災支給決定件数においては、運輸業・郵便業が全業種において最も支給決定件数の多い業種(令和3年度:59 件(うち死亡の件数は 22 件))となっているなど、規制をつくることは緊急の課題でもあります。

そこで、今、現実を見すえながら、改善基準告示の見直しが行なわれています。

2、睡眠時間と勤務間インターバル制度の関係

9月の委員会で検討されていたのは「勤務間インターバル制度」。

根拠は、以下の、脳・心臓疾患の労災認定基準です。

(1)1日の時間外労働が4時間を超えると、1日6時間程度の睡眠(月間で80時間の残業)
(2)1日の時間外労働が5時間を超えると、1日5時間程度の睡眠(月間で100時間の残業)

1日の時間外労働が4時間を超える、というのは、1日12時間以上働くということです。

8時に出勤して、昼に休憩1時間とり、21時まで勤務する。
これが(1)の基準です。

最近私もそんな生活を送っていますが、たしかに6時間寝るのがやっとです。

脳・心臓疾患予防にも、メンタルヘルス対策的にも、睡眠時間確保は最優先事項です。

そこで重要なのが睡眠時間がきちんと確保できるだけの「休息時間」。

たとえばトラックについては、以下のような見直し案となっています。
11時間以上与えるよう「努める」→努力義務
継続9時間を下回らないものとする→義務

「継続11時間与える」ということは、22時に終業したら翌朝9時までは休息時間、「9時間を下回らない」ということは、22時に終業したら翌朝7時までということです。

そうすれば、最低限の睡眠時間は確保できる可能性があるかもしれません。

人手不足も深刻な自動車運転者業界ではありますが、現実と理想との折り合いが、現時点で可能な限り望ましい方向に見直しがされるとよいと思います。

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