65歳まで国民年金の保険料納付延長、負担増とだけ考えないようにしたい #0224/1000
少子高齢化により、将来があやぶまれている日本の年金財政。
年金財政の安定化を図るため、現在260歳までとなっている国民年金の保険料の納付期間を65歳まで延長する案は、2019年に実施された「財政検証」の中ですでに検討されていましたが、それが、再度取り上げられています。
1.国民年金加入期間を5年のばし、65歳までにする案はどういうもの?
当時の安倍総理にむけての中間提言では、こうあります。
また、こういうコメントもあります。
・基礎年金創設時と比べると、 65 歳の平均余命は5年程度伸びている。また、将来人口推計では、今後さらに3年程度伸びる計算になっている
・65 歳を迎えた人が 90 歳に達する確率は、1950(昭和 25)年生まれで男性の3割以上、女性の約6割である一方、1990(平成2)年生まれでは男性の4割以上、女性の約7割になる見込みである
つまり、全体的に寿命が伸び長生きになってきているのだから、国民年金加入期間が5年伸びることも妥当だろう、ということです。
では、現在20歳から60歳まで40年の国民年金(基礎年金)加入期間が、5年延長されて65歳までになった場合、支払う保険料はどのくらい増えるのでしょうか?
毎月支払う国民年金保険料の金額は、年によって変わりますが、令和4年度水準でみると月額16,590円。
1年で199,080円、約20万。
つまり5年のびれば、約100万の負担増となります。
「100万も負担を増やすのか!」という怒りの声をSNS等でも見かけます。
たしかに負担増は負担増ですが、そこだけを見るのではなく、加入期間延長により得るものもあるというところも確認が必要だと思います。
2.伸びることによるメリット
2022年10月25日の第1回社会保障審議会年金部会資料「年金制度の意義・役割と これまでの経緯等について」では、公的年金のメリットを以下のように示しています。
報道でも、現役世代の平均の手取り収入に対して夫婦2人のモデル世帯が受け取る年金額の割合を示す「所得代替率」が、経済成長率が0.4%の場合は2047年度の時点で50.8%となる一方、保険料の納付期間を5年間延長した場合は、6.8ポイント高い57.6%になることに触れています。
つまり、国民年金保険加入期間が増えることで、払う保険料も増えるものの、もらえる金額も増えるということです。
国民年金の財源の半分は税金のため、税収の確保など難しい課題もありますが、保険料を長く払えば、払うだけのことは用意されるわけです。
上の図を見てもわかるとおり、公的年金のメリットはなんといっても「終身」であること、また、物価や賃金に連動する仕組みになっていることです。
毎月16,590円の掛け金で、生涯にわたって支給され、物価があがったら連動してもらえる金額が増えたりする、そんな保険制度がもし民間にあったら、入りたいと思うのではないでしょうか?
とはいえ、難しいのは、民間の保険であれば、「これはいい」と思ったら入ればいいし思わなければ入らなければいいだけですが、国の仕組みだとそうは行かず、法律が変われば一律に入らなければいけないということになってしまうところです。
それぞれ置かれた立場や状況が違う以上、全員が納得する仕組みはまず作れないという問題はどうしてもありますが、「保険料負担が増える=反対」と単純に考えるのではなく、全体をふまえた上で自分の立場からの意見をのべたいものです。
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