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日本のこれからの労働「時間」制度を考えてみる?~「これからの労働時間制度に関する検討会」の報告書公表 #0119/1000

本日2022/7/15付で、「これからの労働時間制度に関する検討会」の報告書が公表されました。

発表資料のうち、この「基本的な考え方」では2点大事なポイントがあると思いました。

1.「まずは各種労働時間制度の趣旨の理解を労使に浸透させる必要」=いま現在、各種労働時間制度が十分理解されていないという現実。

2.どのような労働時間制度でも、「労働者の健康確保」が重要視されていること。

2については、働くことを考える上で一番に指を折りたい部分だと私は思っているので、真っ先に上げられていることに安心しました。

睡眠の重要さについて、やらされ仕事の心身的な負担について、新しいことがどんどんわかってきているので、勤務間インターバル制度のように気軽に活用できる労働時間制度が増えていくとよいと思います。

1については、労使に浸透していないという現実から、いまの日本の労働時間制度の複雑さがよくわかる指摘だと思います。

では、浸透させるためにはどうすればよいか?

もっとシンプルな制度にすればよいのか?

いえ、この発表資料を見ていると、そもそも「労働時間」という前提から考え直す必要があるようにも思います。

レポートのなかに、裁量労働時間制(勤務時間や業務の遂行方法・時間配分を個人の裁量に任せる働き方)を導入している電気機械器具製造業(従業員数 約 3,000 名)へのヒアリング結果があり、そこにはこんなコメントがあったのです。

労働時間制度への意見としては、現状、時間という概念が根強く残る現行の労基法に縛られて働かざるを得ず、グローバルで事業展開している中でも、36 協定の対象の時間管理されている労働者は、夜中の海外とのビジネスに携わりづらいことから、時間管理をもう少し柔軟にし、成果という形で考えるようにしてほしい。激化する海外企業との競争において、日本の労働者のみ労働時間に関する様々な制約が課せられることで、国内企業の競争力が低下することを大変危惧している。

実際、裁量労働制にたずさわる人の深夜労働・休日労働の状況をみてみると、裁量労働制(専門型)が適用されている人は、ほかと比べて深夜や週休日・祝日に仕事をしている割合が高くなっています。

そんな状況だと健康状態に悪影響があるのでは?と思いますが、あわせて発表された内容では、裁量労働制適用者のほうが、そうでない労働者より、自覚的な健康状態はよいことがわかりました。

つまりは、専門的な業務を自分の裁量でおこなう労働者は、労働「時間」で働き方をしばるよりも、もっと別のやり方のほうが、自身にとっても自由が効くし、国際的な競争力も増す、という可能性があるということです。

一律に同じ制度で考えること自体が、多様化の時代、限界に近づいているのかもしれないと思う発表内容でもありました。

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