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個人住民税を地方税法からまなぶ⑧普通徴収って? #0064/1000

地方税法、条文の流れからすると、普通徴収→特別徴収なので逆行ですが、普通徴収の話に入ります。

前回の「賦課期日」(住民税をどこに払うかが決まる基準日)について定めた条文の次には、こう書かれています。

第三百十九条 個人の市町村民税の徴収については、第三百二十一条の三、第三百二十一条の七の二第一項若しくは第二項、第三百二十一条の七の八第一項又は第三百二十八条の四の規定によつて特別徴収の方法による場合を除くほか、普通徴収の方法によらなければならない。
2 市町村は、個人の市町村民税を賦課し、及び徴収する場合においては、当該個人の道府県民税を併せて賦課し、及び徴収するものとする。

つまりは、住民税は、特別徴収(給与や年金からの天引き)の方法による、と決められたもの以外は、普通徴収の方法で徴収しますよ、ということ。

その場合、私たちが納税する先は市町村ですが、道府県民税も一緒に納税することにしますよ、というのが2項です。

ところで、「普通徴収」とさらっと書かれていますが、普通徴収とはなんでしょう?

実は、普通徴収とは何かが説明されているのは、「地方税法」の冒頭部分になります。

「第一章 総則」「第一節 通則」
の第一条で、この法律での言葉の定義が示されています。

法律の本則の冒頭には、法律の全体にかかわる基本的事項や法制度の前提となる事項を定める総則的規定が置かれることとなっています。(参議院法制局「法律の構成」より)

法律内で使う用語は、誤解のないようきっちり認識合わせをしておきましょうということなのです。

第一条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

一 地方団体 道府県又は市町村をいう。
二 地方団体の長 道府県知事又は市町村長をいう。
三 徴税吏員 道府県知事若しくはその委任を受けた道府県職員又は市町村長若しくはその委任を受けた市町村職員をいう。
四 地方税 道府県税又は市町村税をいう。

などの、一見当たり前に読み流してしまいそうな言葉も、だれのことを言うのか、しっかり定義されています。

ここでまず出てくるのが「納税通知書」です。

六 納税通知書 納税者が納付すべき地方税について、その賦課の根拠となつた法律及び当該地方団体の条例の規定、納税者の住所及び氏名、課税標準額、税率、税額、納期、各納期における納付額、納付の場所並びに納期限までに税金を納付しなかつた場合において執られるべき措置及び賦課に不服がある場合における救済の方法を記載した文書で当該地方団体が作成するものをいう。

七 普通徴収 徴税吏員が納税通知書を当該納税者に交付することによつて地方税を徴収することをいう。

「納税通知書」で住民税をあつめることを「普通徴収」というのだ、ということがわかります。

そしてその「納税通知書」も、単にいくら納めればいいと金額が書いてあるだけではなく、「賦課に不服がある場合における救済の方法」までがきちんと示されなければいけない、と明記されています。

税の徴収が公平に行われるよう、また、市区町村ごとで全国でばらつきがないよう、細かく決められているのですね。

なお、特別徴収のことをわかりやすく伝えるために、つい「給与や年金からの天引き」と言ってしまいますが、条文の定義は以下のようになっています。

九 特別徴収 地方税の徴収について便宜を有する者にこれを徴収させ、且つ、その徴収すべき税金を納入させることをいう。

「地方税の徴収について便宜を有する者」、これが会社です。

会社が、給与から天引きして納めるのが「特別徴収」ということになるのです。

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