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個人住民税を地方税法からまなぶ⑥退職したあとの個人の納付手続き #0062/1000

昨日は、個人に会社が給与を支払わないような状況になったときには、「給与支払報告・特別徴収に係る給与所得者異動届出書」でそのことを市区町村に知らせる必要があるというお話でした。

きちんと届出てさえいれば、会社が退職した社員の住民税を払いなさいと言われることはありません。

では、社員のほうはそのあとどうなるのでしょうか?

それについて定めているのが、第321条の7です。

(給与所得に係る特別徴収税額の普通徴収税額への繰入れ)第三百二十一条の七 個人の市町村民税の納税者が給与の支払を受けなくなつたこと等により給与所得に係る特別徴収税額を特別徴収の方法によつて徴収されないこととなつた場合においては、特別徴収の方法によつて徴収されないこととなつた金額に相当する税額は、その特別徴収の方法によつて徴収されないこととなつた日以後において到来する第三百二十条の納期がある場合においてはそのそれぞれの納期において、その日以後に到来する同条の納期がない場合においては直ちに、普通徴収の方法によつて徴収しなければならない。

ここで言っているのは、社員が退職後、もう給与天引きされないことになったぶんの税額については、天引きされなくなった時点でまだやってくる納期があれば、その納期にあわせて徴収しなければいけないし、納期がなければ、納期を待つ必要はないのでもうすぐに徴収しなければいけない、ということです。

では、納期とはなんでしょう?
ここでは第320条の納期、とあります。

順番がさかのぼりますが、第320条にはこうあります。

第三百二十条 普通徴収の方法によつて徴収する個人の市町村民税の納期は、六月、八月、十月及び一月中(当該個人の市町村民税額が均等割額に相当する金額以下である場合にあつては、六月中)において、当該市町村の条例で定める。但し、特別の事情がある場合においては、これと異なる納期を定めることができる。

6月、8月、10月、そして1月。
これが「納期」です。

たとえば、6/30に退職した人がいるとします。
その人のお給料日が7/25で、お給料の支給があった場合、7月分までは天引きを行います。

残りの8月以降のぶんは?といえば、第320条にある「普通徴収」という方法、つまりは個人が市区町村から送られてくる納付書で直接支払う方法で、次の納期から払ってください、ということです。

この場合、届出後の切り替え手続きもありますので、おそらく10月納付、1月納付の2回で、残りの税額を払う形になるというわけです。

毎月天引きされている分(特別徴収)は、年税額を12分割払いしているようなものですが、直接払いの普通徴収は、第320条にあるように、年4回。

1回の支払いが大分まとまった金額になりますので、注意が必要です。

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