MAYBE TRUE BOOKS

たぶん本屋で合っている。

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明日納品、9月27日〜10月1日まで展示&販売

高円寺にある前衛喫茶マチモ螺旋ギャラリーにて、ZINE展が行われます。 うちからの出展はリレー小説とコラボ短編集と2万字の中編小説の3種類です。 ↓↓お品書き↓↓ よろしくお願いいたします!

    • 【お知らせ】9月末、ZINE展に参加できることになりました。

      2023年9月27日(水)〜10月1日(日)の5日間。 公募展である『ZINE展』に出展することになりました! 販売もあります!うちはすべて自宅印刷本でホッチキスで留めたZINEになるので1冊300円〜の予定です。 オリジナルの物語中心にした計3冊です。 ZINEとは何ぞやと言った話ですが、個人や複数名がエキスパートとする分野をまとめた冊子のことです。二次創作以外ならなんでもありと言ったところでしょう。 なんとイベント参加はこのイベントが初めて!ドキドキしながら執筆中。

      • 繭つむぎ

         生まれてくるのが早かった。私の心は剥き出しで、それが酷く痛んだ。私の心は体と脳へ貧相な細胞だけで繋がれていた。  まだ未熟児だった私は、周囲の落ち葉に身を隠した。できるだけ丈夫な若い落ち葉を選び、何重も何重も繭を作るように自らに纏った。すると私の心の痛みも僅かに癒やされた。  雨が降った。私は雨とは知らずに繭の中でじっとしてた。落ち葉の上で跳ねる雨音を聞いてた。やがて雨が強くなり、私は雨水と共に流され、いつの間にか川へ出て海へ出た。  長い道のりだったような気がする。私

        • やかん

          「ただいま」 しかしそれに返事するものはいない。 夜、私は一人暮らしのアパートに帰ってきた。 早く寝なければ。明日は夜勤だ。 昼から何も食べていなかった。 私は、カップ麺でも食べようと、こんな夜間にやかんでお湯を沸かす。 なんやかんやでストックしておいたカップ麺。 今日はお金を使わずに済んだ一日だった。  やかんがピュウと鳴り、すぐに火を止める。 熱々のお湯を容器に注いで三分間。 その間に私は冷蔵庫の茹でたほうれん草が入ったタッパーを持ってくる。 「少しでも野菜を食べな

        明日納品、9月27日〜10月1日まで展示&販売

          死奏

           しとしとと初夏の雨が降っていた。車椅子を走らせるアスファルトからはチリチリと砂利が弾け飛ぶ音が時折聞こえた。 「先生、傘を差していただけますか。」  男は車椅子を押しながら車椅子に乗ってる女に話しかけた。 「傘を差してもね、私は濡れずに済むけれど。君だけがこのまま私の家まで雨に打たれ続けなければいけない。」 「僕は平気ですよ。」 男が言うと、女は深い皺と血管の浮き出た手で折り畳み傘を広げる。 そして、「とんだ恥かかせだ。」と女は呟いた。  アスファルトから匂い