初生です。

"Boucles d'oreilles" Tour 2007
4/30(祝) オペラシティコンサートホール(18:00開演)
大貫妙子(vo)
フェビアン・レザ・パネ(pf)
吉野弘志(b)
林立夫(ds)
金子飛鳥カルテット(金子飛鳥Vn/相磯優子Vn/志賀恵子Va/木村隆哉Vc)

オペラシティコンサートホールはおそらく初めてなのですが、
ごく最近初台でライブを見た記憶があったので、
何だっけ?と思ったら、幸宏さん@ICCでした。
でも今回は、コンサートホール:タケミツ メモリアル。
武満徹氏がコンセプトから設計、オープニングに携わり、
オープニングはサイトウ・キネン・オーケストラか飾ったそうで。
大きすぎず、木の色に包まれた心地よい場所で、
センスに満ちた美しい音楽に触れる喜び。

それにしても大貫さんは、超絶照れ屋さんなのかな。
なんせMCが、例の落ち着いた低いトーンでボソっと・・・
いえ、とっても礼儀正しいんですけどね。基本は。
でもたまに、こう、バサリバサリとね。
そんな取り付く島も無いほどの強がり具合が、
同性として『ハハーン』と思うところもあって(恐れ多い!)、
それに時々いたずらっぽくて、妙にかわいらしいんです。
まぁMCの話は後でするとして。

前半は白ドレスに大きめの淡いグリーンのアクセサリー(?)で、
大貫さんが退場してフェビアン・レザ・パネの曲をはさみ、
後半は赤地に黒の刺繍のドレスという衣装でしたが、
相変わらずの細身にウェーブがかった黒髪が映え、
久々に見た歌う姿は昔より体を使ってました。
といっても昔見たのはテレビでしたから、生は初めて。
前半は少し緊張が漂ったような気がしますが、
赤のドレスとShall We Dance?の曲調によって
一気に打ち解けた感のある後半は、
のびのびとした表情豊かな歌が聴けました。
特に新作で新たに録音された曲はCDと変わらぬ歌と演奏で、
レコーディングの時点ですでに完成されていたのだなと
つくづく現在進行形のミュージシャン魂を感じます。
またシェナンドーはちょうどレコーディング中に依頼があり、
もともと好きな曲だったので(私も大好きだー嬉しい♪)、
引き受けましたというトークがありました。
個性的な自作曲とはまた違ったテイストのこの曲は、
ある意味で純ボーカリスト大貫妙子を味わえるし、
その陰影には加齢による声の衰えをうまく活かしています。
高音の立ち上がりや声のヴィヴィッドさはさすがに落ちてるけど、
それをひそやかな哀愁に転じ、まろやかさでカバーしてます。
そこでふとオペラ歌手のシュヴァルツコップを思い出しましたが、
共通するのはきっと「気品」や「知性」なのですね。
こういった要素を持つ人はきっと、マイナス要素をプラスに転じる
表現上の機転と気丈さの持ち主でもあるのではないかと・・・
若い歌手には歌えない「うた」の作り手であるということです。

また面白かったのは、アンコールにご登場したところで、
花束やプレゼントが五月雨式に手渡されていた時のこと。
なにしろ、一人一人と会話を交わし、握手をしている間にも、
「んじゃオレも!」「私も!」てな具合に続くのです。
拍手してるほうもモチロン微笑ましく思いつつ、徐々に・・・
「オイオイいつまで続くんだ」という空気を読み取ったのか、
受け取った紙袋の中身をチャッカリ覗いて確認したり、
やっと一息ついてマイクの前へ戻ったところで、「あっ・・・!」と、
ステージ端にこっそり置かれたプレゼントを取りに走ったり、
「もういないよな?」とばかりに、おでこに手をかざして
客席をキョロキョロ見渡すしぐさで会場を和ませます。
このあたりの立ち回りはさすがだなぁ~と感じました。
「色々贈り物をあけてみると、選んで下さったときの気持ちが
 本当によく分かるんです。ありがとうございます。」
賢い女性ならではの対応、説得力ですね。

選曲は「Boucles d'oreilles」からが多かったですが、
それ以外では「ベジタブル」を聴けたのが嬉しかった!
大貫さんの作品でも特にお気に入りのポップな作品だし、
また彼女以外の人に歌って欲しくない曲でもあります。
前にも書いたかもしれないけど、彼女の作品は私にとって、
フレッシュな野菜のはじける食感、ベジタブルなのだから・・・。

そしてアンコールは、会場前方に目を配りながら、
「今日は小さいお子さんがいらっしゃるので・・・
 気持ちよく寝てたのかな?寝てくれると嬉しい(笑)」
と前置きして、「メトロポリタン美術館」を。
この曲はNHK「みんなのうた」でよく流れてましたが、
mixiには「トラウマになった」みたいなコミュがあるらしく。
「大好きな絵の中に閉じこめられた」という歌詞ね。
でも、大好きな絵の世界に行きたいという憧れと恐れ、
その恐怖と快楽は一体ですよねぇ。

それで最後は会場全てに手を振って投げキッスまでして、
袖口手前で思わずバンザイして(笑)ご退場でした。
「ヤッター終わったー!」って感じでしょうか・・・。
”大貫妙子”の貫かれた、素敵なコンサートでした。


以下、面白かったバッサリMCです。

このメンバーはケンカもせず仲良く・・・
ケンカする理由もないけどね、そんなに会わないし

世の中にはラブソングが沢山ありますよね。
メッセージソングだってラブソングだと言えるし。
私の歌もラブソングが多いけど、
わりと過去を振り返る歌が多いんですよね
でも、現在進行形の歌じゃ、つまんないでしょ?
「勝手にすれば?」って・・・(笑)
この歌(Time To Go)も過去の歌です。
私に起こったこととは限りませんよ!
映画とか色々あるんですからね。

戻れないとわかっているからいいのかもしれないですね。

学生が駅で手をつないでるのを見ると「ああ大変だな」って。
だって、100%そのことで頭がいっぱいでしょ?
30代40代にもなると恋も大事だけど仕事も大事だし・・・
ま、みなさん生涯現役ってことで頑張って下さい。

「Boucles d'oreilles」はフランス語でイヤリングという意味。
どれをつけようか迷ったり会う相手に合わせてみたり・・・
語感がキレイで気に入ったということもあるのだけど、
そういう「揺れる気持ち」みたいな意味もこめて、
今回はタイトルにしました。
私はプラスティックケースが嫌いで・・・痛いし割れるし。
だから全部紙ジャケにしたかったんですけど、
コストとか色々あって、初回だけ紙ジャケにしました。
すごく良い紙で、触ればわかります。手触りは大事ですよ!
あと今ラジオもやっていて、たまに世の中に吼えてるんで、
もしよかったら聴いてください。

たしかに男らしいなぁ。話も理路整然としてるし。
でも、女性らしいとも思うんですけど。
少なくともサバサバキャラを売りにはしてないし、
よく知らない人には、たおやかなイメージもある筈。
だから私はそういう二面性が好きなんですね、きっと。

また、「私の曲はテンションコードが多いんですが、
今日は楽譜も売ってますので」と紹介された楽譜ですが、
終演後は飛ぶように売れてあっという間に売り切れでした。
相棒が「Boucles d'oreilles」の楽譜を買ったので、
私は「Library」をゲット!たしかにテンションだらけ(笑)
二人して「ピアノ欲しいねー」と言いながら帰りました。
「どうして今まで来なかったんだろう、不思議だね」
とも言いながら。