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2024~2025 3歳クラシック血統分析(第5週)

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いよいよローカル開催が本格化してきました。ただし福島、小倉がメインということでどうしても新馬戦の質は落ちます。直線の長い新潟コースに替わるまでは気楽に構えるのがいいでしょう。

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◆6/29 函館 芝1200m新馬戦

・エンドレスサマー(アルアイン×コケレール) 評価B

1200m戦だったが、淡々と流れて前残りに終わる平凡なレース。5馬身ちぎったと言ってもそこまで騒ぐほどの感じではない。

アルアイン産駒はコスモキュランダこそ上位で通用しているが、妙に短距離馬を量産してるのが気になる。メジロマックイーンが現役種牡馬だった当時に似ており、上位に行くと短距離ではもちろん通用せず、かと言って中距離以上ではスピード不足になる感じが否めない。次走が鍵。

Nijinsky≒The Minstrelの類似性を生かした母の血統は良いが、父母の組み合わせで考えるとそこまで特筆する要素もない。

上がり1ハロン:11.6秒
残400~200m:11.3秒
ラップ:34.8-34.6(フラット)

アルアイン:皐月賞2着のコスモキュランダを出してはいるが、父ディープインパクトからスピードを抜いたような感じのジリ脚が特徴。距離が伸びてスパっと斬れる脚は使えないので、ハイペースでなだれ込むような競馬がベスト。距離が持たないステイヤーという感じ。

◆6/29 函館 ダ1000m新馬戦

・アースミューズ(フリオーソ×アースヴィグラス) 評価C

ダート1000mで勝った馬に強いも弱いもない、というのが私の考え。ハイペースの消耗戦を生き残ったことは評価だが、斤量が3キロ軽かった影響も大きいだろう。

血統は単なる近親交配馬で見どころはない。

上がり1ハロン:12.5秒
残400~200m:12.1秒
ラップ:35.2-36.3(前傾)

フリオーソ:ダート中距離であれば中央競馬の3勝クラスまでは通用するが、そこから抜け出す何かが不足してる感じ。圧倒的な体力を伝えるわけでもなく、圧倒的なスピードがあるわけでもない。ごちゃついたレースでの耐性はある。

◆6/29 福島 芝1200m新馬戦

・ヴァリアントマーチ(ビッグアーサー×ヴィクトリーマーチ) 評価B+

1200m戦にしては中盤が緩んだ後傾ラップのレースとなった。こういうスタートから速くならず、後半にいい脚を残せる流れになるとサクラバクシンオー系は強い。だがそのせいもあって「本当に厳しい1200m戦」では勝負を投げ出してしまう。

父母間、母内の配合ともにHail to Reasonを生かしたもので、この馬の場合は祖母ヴィクトリークライで父の血を受けている。配合そのもののバランスは優れているので、先々もペースさえ合えば戦えるだけの力はあるだろう。

上がり1ハロン:11.6秒
残400~200m:11.4秒
ラップ:35.8-35.3(後傾)

ビッグアーサー:スプリント特化型なのは父の血を継いでいる感じだし、多頭数内枠でも力を落とさずに走れるだけの瞬間的な脚も備えている。それでも上位が相手になると脚が止まるのは、いい脚を長く維持できないから。G3クラスまでは行けるがその先が厳しい。

◆6/29 福島 ダ1150m新馬戦

・ラインパシオン(シルバーステート×イナズマアマリリス) 評価B+

シルバーステート産駒はダートで強い印象はないが、今回のレースのように逃げ馬がばったり止まり、楽な位置からロングスパートで追いかけるようなレースとなったことは幸いだった。コーナーを回りながら加速するのはこの父の良さでもある。

母の父コマンダーインチーフとディープインパクトの相性の良さを生かした配合内容は決して悪くないし、母イナズマアマリリス自身は2歳で重賞を制した馬だが、配合においてはNijinskyに血を集中させた極めて優秀な配合の持ち主だった。

精神的に強い馬ではないので上位では厳しそうだが、もう一発ぐらいはあってもいい。

上がり1ハロン:12.7秒
残400~200m:12.5秒
ラップ:37.3-36.8(後傾)

シルバーステート:長くいい脚を使えるのが最大の長所だが、多頭数でもまれる流れ、内枠でスムーズに運べないレースとなると長所が激減してしまう。相手が弱ければ何の問題もなく勝てるだけのポテンシャルはあるので優秀な種牡馬ではあるが、体力不足もあって上位では完全に止まる。

◆6/29 小倉 芝1200m新馬戦(九州産限定)

・エイヨーアメジスト(アレスバローズ×カシノアンバー) 評価B+

九州産限定戦で逃げ切り勝ちというのは平凡に聞こえるが、勝ち方自体は前に行った他の馬をすべて競り潰しているので悪くない。2番手が止まらないようなレースなら単なる凡戦だが、圧倒的な能力の違いを見せたのは今後につながる。

母カシノアンバーがNight Shiftに血を集めるタートルボウル産駒らしい配合で、能力は母に由来。まずまず悪くない母の血を軽く引き出しているので決して凡馬ではないだろう。フェニックス賞あたりでもう一度見たい。

上がり1ハロン:12.1秒
残400~200m:12.1秒
ラップ:34.1-35.7(前傾)

アレスバローズ:ディープインパクト産駒ながら1200mに成績が特化する変わったタイプの馬だったように、多頭数で耐えることはできるが体力的に足りない馬でもあった。祖父の良さを引き出せた馬ではないので産駒は小さくまとまる可能性が高い。

◆6/29 小倉 ダ1000m新馬戦

・コスモストーム(デクラレーションオブウォー×オリーブティアラ) 評価B+

ダート1000m戦にしてはそれなりにメリハリがある展開を、じわじわ伸びて勝った内容はそれなりに悪くないもの。

血統内容は特筆すべきレベルではないものの、まさに及第点クリアという感じの出来。

上がり1ハロン:12.2秒
残400~200m:12.2秒
ラップ:34.5-35.7(前傾)

デクラレーションオブウォー:近年のDanzig系産駒らしく、芝コースですっと前に行ければ良い粘りを見せる。ただし使える脚がほんの一瞬なので、少しでももまれる展開になると終わり。人気が落ちれば落ちるほど怖さが増す穴馬タイプの種牡馬。

◆6/30 函館 芝1800m新馬戦

・ゴーゴータカシ(モーリス×ビップベリンダ) 評価B+

後傾ラップでの逃げ切り、もまれ弱く長く脚を使えないモーリス産駒にはベストの展開になったのも事実。とはいえ一発の脚で同じ位置にいた馬を競り潰した内容は決して悪いものではない。

当馬自身の配合はモーリス産駒にありがちなサンデーサイレンスクロスで平凡だが、母はハーツクライを生かした配合でそれなりのレベル。格上げでひるむタイプなのでレベルの低いローカル戦がベストか。

上がり1ハロン:12.1秒
残400~200m:11.8秒
ラップ:37.4-36.1(後傾)

モーリス:オーストラリアでの成功を考えれば日本での実績がやや物足りないが、使える脚の長さが短いので長い直線を差し切る芸当ができない上に、ごちゃついた競馬を苦手にするのが原因。意外にスムーズに脚を使えるので「前にいる馬が少ないときに」軽く抜け出すのは得意。爆発力には欠ける。

◆6/30 福島 芝1800m新馬戦

・デルアヴァー(Frankel×Amour Briller) 評価B+

レースを見るときは映像を参考にしてはダメで、必ず「出された数字」をもって評価する必要がある。そうしないと派手な追い込みに目を奪われて本質を見失う。

いかにも前崩れという派手な勝ち方をしたこの馬だが、数字は優秀。古馬を含む福島競馬の過去10年を見ても、この馬より上がり1ハロンタイムが速かったのは2014年のコメート(ダービー5着)だけ。上がり1ハロンは格下のレースほど速く出るのが特徴だが、馬の基礎能力を示す指標としては有力なので参考になる。

母系も天皇賞馬ヘヴンリーロマンスがいるように極めて優秀だが、配合としては平凡で、なおかつ近親交配がきつく安定感を欠く形態。大まくり一発で決める雑なレース内容だったのも幸いしており、多頭数の混戦になって力を出せる馬ではなさそう。ただし能力は注目していい。

上がり1ハロン:11.4秒
残400~200m:12.0秒
ラップ:37.8-34.4(超後傾)

Frankel:いかにもヨーロッパ的な配合で多頭数でもまれるレースがどうかと感じていたが、適切な配合をすれば多頭数でも戦える。ただしGalileo系らしく、最初からペースが速くなると弱さを出す。日本のスプリントにはあまり向かないタイプで、1400m以上でこその馬。

◆6/30 福島 芝1200m新馬戦

・ニタモノドウシ(ディーマジェスティ×ジェラスガール) 評価C

いくら新馬戦とはいえ1200mのラップがここまで後傾なのは酷いな、と思う。ディーマジェスティ産駒の特徴である、それなりにスピードはあるが決め手を欠く、多頭数でひるむという点を考えると、低レベルな短距離前崩れ戦で差すというのはベストの流れだったかもしれない。

イスラボニータの近親となる血統で牝系の質は高く、ブライアンズタイムに血を集中させる形態も悪くはない。ただし母自身の血統構成はいまひとつで、牝系の良さに頼る内容となっている。

上がり1ハロン:11.5秒
残400~200m:11.7秒
ラップ:36.9-33.6(超後傾)

ディーマジェスティ:ディープインパクトの良さであるスピードは伝えらえているのだが、多頭数ではその良さが出ず、かと言ってキズナ産駒ほどの切れも伝わらないというのが難点。少頭数戦限定ならそこそこ上のクラスでも戦えるが、おそらくそれ以上の馬は出ない。

◆6/30 小倉 芝1200m新馬戦(九州産馬限定)

・ケイテンアイジン(アレスバローズ×カシノティーダ) 評価B+

いかにも九州産馬限定という感じのゴール前で、どの馬も完全に脚が止まっていた。前にいた4頭だけでレースをしていた、ということなのだろう。

ケイテンアイジン自身の配合はケイムホームを生かした優秀なものだが、果たしてここから上があるかは微妙。ダートで走れれば佐賀競馬でチャンスがあるだろう。

上がり1ハロン:13.1秒
残400~200m:12.4秒
ラップ:34.9-36.9(前傾)

アレスバローズ:前述

◆6/30 小倉 芝1200m新馬戦

・ユメシバイ(ディスクリートキャット×ファートゥア) 評価B+

このレースは少頭数だったが、九州産馬限定戦よりも厳しいラップで流れていた。だが明らかに内容が平凡だったのが惜しい。

ジオグリフの近親で牝系は優秀、Buckpasser主導の整ったアウトクロスと血統構成自体は非常に良いと判断できるので、ある程度ならば上のクラスでも戦える気配は感じられる。

上がり1ハロン:12.6秒
残400~200m:12.5秒
ラップ:34.8-36.5(前傾)

ディスクリートキャット:東京1400m芝を非常に得意とするタイプで、一瞬だけ芝でも通用するレベルの鋭い脚を見せられるのが特徴。なので直線が短いオーストラリアでオオバンブルマイが勝てた。ただし日本ではその良さを生かせる重賞がない。1200mも決してベストではない、中途半端な芝馬。

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「競馬最強の法則」にて血統理論記事を短期連載しておりました。血統の世界は日々世代を変えてゆくものだけに、常に新しい視点で旧来のやり方にとらわれない発想をお伝えしたいと思います。