見出し画像

作家さんとオフ会をするでござるの巻

2014年12月23日。高田馬場の空は限りなく澄み渡っていました。

うむ、雄々しく輝く学生ローンの看板よ!

多分21世紀に入ってから初の訪問。駅前の芳林堂書店が無事でよかった! あの店で脈絡なく買いまくった本が、今の私の原点かもしれません。

そして……見渡せば数々の飲み屋。その内の何軒で私が酒を飲み、よろしくないものをリバースし、店の人間に大迷惑をかけてきたか。そんな痛い記憶が蘇る街でもあります。

――そんなどうでもいい話はともかく。

駅前のガストにおいて、学生時代の私からすれば到底考えられない人々が一緒の席を囲んでいたのです。

「不束な君と素数な彼女」 「イカロス・レポート」

今年講談社から2冊の小説を上梓された、竹田真太朗先生。

「フェイトフル・モーメンツ ~理想の砂漠~」

そしてもう一人は、昨年行なわれた小説賞で大賞を受賞し、今年デビュー作を上梓、そして12月26日(金)に

「フェイトフル・モーメンツ2 ~アナザー・セルマ~」

を刊行する、高橋びすい先生。

私の目の前に座っているのは、二人の作家さんなのでした。

……どうしてこうなった。


とりあえずビールを注文(竹田さんはハイボール)。男三人がクリスマスイヴイヴ(死語)の昼間から飲むという明らかにダメな雰囲気の中、いきなり竹田さんの携帯が着信音を奏でました。バイブレータだけど。

「25日までに修正した原稿を送ってください」

なんと編集者からのラブコールw いきなり見せ付けられる、これぞプロ作家という感じ! なお竹田さんはその締め切りのことを今知ったそうです。

ちょっと遅れ気味の乾杯の後、まずは互いの学生時代のお話などから。これが女子大生やOLさん相手なら緊張感ある牽制が見られる所ですが、残念ながら男同士なのでそんなものはありません。

多少酒が入ってくるにつれ、ようやく作家さんらしい会話に。

竹田さんの友人に酷いラノベを集めるマニアがいるらしく、「この作品が酷い」という内容のトークがしばらく続きます。

ってか「宅配コンバット学園」って何だよ(苦笑)

とりあえず読んでみたい、と思ったのは事実です。

それにしても高橋さんは若い(20代)ということもあり、非常にシャイな方。写真を撮ろうとすると思い切り顔を隠します。

竹田さんと私が私立大学出身と言うこともあって多少ヤンチャな学生時代を送っていたのに対し、彼は国立大学出身なので非常に真面目。好きな作品も海外SFものなど、非常に硬派。

しかしここで竹田さんから衝撃の一言。

「自分のデビュー作、応募時点(最初の8000字だけを送るというルール)から話が完全に変わっていた」

なんですと?! しかもその作品が、彼にとって初めての長編小説だったとか。それまではサークルでギャグ日記を担当していたとかで、それぐらいしか経験がなかったとのこと。

栴檀は双葉のくせに芳し過ぎなんじゃ!!(涙)

それがいきなりのデビュー、そして小説を書く人ならお分かりになるかと思いますが、彼の作品の特徴は「二人称」であること。メチャクチャ特殊なことをしているのです。

そこで竹田さん曰く

「デビュー作は飛び道具!」

既に売れた作家ならともかく、デビュー時はとにかく目立たないといかん、との金言を頂きました。そして飛び道具は、売れる作家になるまで何度も撃ち続けるべし、何故なら売れるまでは全てデビュー作だからである……と。

――プロや、プロ作家や!(当然)

続いて2軒目へ移動。しかし昼3時とあって、どこの飲み屋もやっていません。あてもなく高田馬場のさかえ通りをうろつく羽目に。

昼間から日本酒をかっくらう男三人。そして話題はやはり竹田さんの推薦?する「酷いラノベ」のこと。出版業界というのは大変なカオスなのだと痛感した次第です。

ラノベと言えばプロラノベ作家の高橋さん。やはりあの業界も色々文芸とは違った厳しさがあるようです。

例えばちょっと情景を書き込むと「描写が多すぎる!」と編集者から指摘。

逆に「彼が抱き止めなければ彼女は大怪我をしていたであろう」と軽く流すと、「もっと情景が絵で見えるように描く!」と指摘。

第一稿を出した直後、即座に全ボツを食らうことも普通なのだとか。しかし編集者がきちんと見直した原稿は、作者本人が見ても明らかに面白くなっているとのこと。

編集者って、やっぱり凄いんだなあ……。

とはいえマンガの『バクマン。』じゃありませんが、編集者もピンキリで、彼を担当した方は元々別の文庫レーベルにいた方で、非常に熱心な人なのだとか。深夜2時に送った原稿に対して、朝6時に返信をしてきたそうです(驚)

この辺りで竹田さんが持参していた、実際に編集者が添削を入れた原稿を見せていただきました。

細かい。本当に細かい。

言葉の使い方の一つ一つにチェックが入り、僅かなミスも見逃さない。この言葉遣いがおかしいと感じたならば、即座に用例を文の端に付け加えてきます。お前は○研ゼミか。

「無問題」という言葉を使った時には「ここはモウマンタイとルビを振らなくて大丈夫ですか」と突っ込まれたとか……凄いぞ校閲担当!

そんなこんなで今度は三次会へ。全員黒ビールを飲みながらグダグダと話し続けますw

話題は「高橋さんが三浦春馬に似ている(自称)」で持ちきりw

いや、決してウソ大袈裟紛らわしいじゃないんですよ? 彼は本当に若くていい男だったりします。こうなったら三浦春馬の写真に手を加えて彼の近影にしようとか、バカな話が持ち上がりました。

それにしても、楽しい時間はあっという間に過ぎるもの。気が付けば男同士で6時間もぶっ続けで喋り続けてしまいました。

プロの作家さんとお話をするのは久しぶりだったのですが、まさか自分が小説家さんと一緒にオフ会が出来るとは。

ネット社会の発達は恐ろしいものだと思いながら、再会を約束して三人は高田馬場を後にしました。

……次回は女性がいるといいな、と思いましたが(苦笑)。

<おまけ>

せっかくなのでサイン本にしてもらいました!

「競馬最強の法則」にて血統理論記事を短期連載しておりました。血統の世界は日々世代を変えてゆくものだけに、常に新しい視点で旧来のやり方にとらわれない発想をお伝えしたいと思います。