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上がり3ハロンって何ですか?

「上がり3ハロン」とは何か。答えられる人はいますか?

レースにおける最後の600m、と答えられた人は正解です。

現在の競馬では、中央地方問わず(ばんえいは除きます)「レース全体の上がり3ハロンタイム」「各馬の推定上がり3ハロンタイム」を計時して発表するのが当たり前になっています。

そのため、走破タイムの良し悪しを診断する際に1つの指標として用いりやすいものとなっています。

たとえば走破タイムを「上がり3ハロンとそれ以外(下図の3ハロン計算値)」に分割することで、そのレースのラップが前傾なのか後傾なのかを判断しやすくなります。

上島征男『ミラクル・ボックス』より

だが上がり3ハロンって、本当に理にかなった指標なんでしょうか。

たとえば東京競馬場。

JRAホームページより

芝コースの直線の長さは525.9mとあります。
上がり3ハロンは600m、つまり計測開始地点は4コーナーの途中です。

続いて中央競馬で最も直線が短い函館競馬場。

JRAホームページより

芝コースの直線の長さは262.1m。
上がり3ハロン計測開始地点は3コーナーに入った直後の上り坂です。

最後は日本で一番直線が長いコースである新潟競馬場外回り。

JRAホームページより

ようやく上がり3ハロン計測地点も直線、という競馬場が現れました。

逆に言えば他の競馬場は全部「上がり3ハロンの途中にコーナーが入っている」ということになります。

だが上がり3ハロンというのは本来「走破タイムにおける末脚の鋭さを示すもの」として活用されるはずなのですが、ほとんどのコースにおいて最初の200m(1ハロン)はタイムとしての意味を持っていません。


JRAホームページより


NARホームページより


ただし公式で発表される数字は上がり3ハロンだけではありません。
中央・地方ともに今は「ハロンタイム」が発表されています。

私はハロンタイムの中から、どの馬も確実に全力疾走しているであろう「最後の2ハロン、1ハロン」のタイムに着目するようにしています。

なおこのタイムはあくまでも「先頭の馬が残り400m(200m)地点を通過した時点から、残り200m(0m)を通過するまでのタイム」にすぎません。なので個別の数値を計算するには別途換算を入れる必要がありますが、それはまた次回のテーマとします。




「競馬最強の法則」にて血統理論記事を短期連載しておりました。血統の世界は日々世代を変えてゆくものだけに、常に新しい視点で旧来のやり方にとらわれない発想をお伝えしたいと思います。