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2024~2025 3歳クラシック血統分析(第18週) 2024/09/28~09/29

(有料noteですが、無料で最後まで読めます。内容が気に入った、応援したいという方のみご購入下さい)

長く続いた中京シリーズも最終週です。中山も今週で終わり、いよいよ本格的な秋競馬が来週から始まります。

これぐらい馬場が荒れてしまうとラップタイムによる能力判断も難しくなりますし、まして走破タイムでは何一つ分からなくなります。

来週以降は「過去○年で最速の走破タイム!」などという何もわかっていない人間の記事が増えることが予想されます。今のうちから「タイムは上がりタイムを見て判断する」習慣をつけましょう。

今週も低調な一週間。オープン、1勝クラスにおける勝ち馬もそれほど魅力的ではありませんでした。

◆9/28 中山 芝1600m新馬戦(牝)

・クレオズニードル(ファインニードル×アーキオロジー) 評価B

先週からCコースに替わった中山競馬場芝コースだが、まさにそれを生かした大外まくり一発の競馬。

馬場が荒れてくると中山芝コースの特徴でる「外側が高くなっている」ことを利用したまくりがハマりやすくなるが、非常に強く見えるが、上位クラスに行くと通用しない馬の典型的な勝ち方とも言えるので、決して信用してはならない。

上がり1ハロン:11.8秒
残400~200m:11.8秒
ラップ:36.8-34.7(後傾)

ファインニードル:エンドスウィープ系の良さである多頭数混戦での強さをきちんと受け継いでおり、実績以上に優秀な種牡馬と言うことができる。短距離ならスピードも伝えられるし、混戦を抜け出す脚もある。だが欠点としては爆発力の不足で、上位まで行くと限界を見せてしまう。

◆9/28 中山 ダ1200m新馬戦

・ハッピービバーク(ルヴァンスレーヴ×エイスノート) 評価B

競りあって相手を潰す内容で、地味ではあるが強い勝ち方ではある。闘争心という言葉を私はよく使うが、この馬のように「並んで走る気などない、どけ」という言葉が聞こえるような勝ち方がまさにそれ。シンボリクリスエスの系統ならではのレースと言えるだろう。

スタートからハイペースの戦いで最後はどの馬も完全に脚が上がっていた。こういうレースだと上のクラスに上がってどうなるかは微妙だが、勝ち馬に関してはそれなりの評価をしてもいいだろう。

上がり1ハロン:13.1秒
残400~200m:12.3秒
ラップ:34.7-37.5(前傾)

ルヴァンスレーヴ:父シンボリクリスエスだけにどこまで旺盛な闘争心を伝えられるかがポイント。父自身はネオユニヴァースやティンバーカントリーで多少丸さとスケール感を出した配合だっただけに、そこを生かせば良いダート馬が出る可能性も。

◆9/28 中京 ダ1800m新馬戦

・ローランドバローズ(ヘンリーバローズ×ダイアナバローズ) 評価C

シルバーステート全弟のヘンリーバローズ産駒2頭目の新馬戦勝ち。マイナー種牡馬にしては立派な成績と言えるだろう。

マイナー種牡馬にありがちなのはもまれて良さを発揮できないことと、楽な流れになる下級条件でこそ力を発揮するということ。今回のレースも基本的には最内枠による行った行ったの単調なレースであり、上のクラスで通用するだけの何かは感じられない。

上がり1ハロン:13.3秒
残400~200m:13.0秒
ラップ:37.4-38.7(前傾)

ヘンリーバローズ:いかんせんまだデータがほとんどない馬だが、シルバーステートの全弟ということもあり、兄に準じた馬と考えていいだろう。軽いスピードと持続力を武器にするが、距離延長は今一つで多頭数適性はゼロ、条件戦向きの種牡馬か。

◆9/28 中京 芝2000m新馬戦

・ロケベンドラ(イスラボニータ×リベルタンゴ) 評価A+

これは驚いた。直線で爆発的に脚を弾けさせて一気に突き放す内容はサートゥルナーリア産駒か何かと思ったが、なんとイスラボニータ産駒。これまでのイスラボニータ産駒は軽い馬場で粘りぬく混線向きの馬、ただし上位では体力的に苦しくなるタイプという認識だっただけに、こんな馬が出るのかというのが率直な印象。

相手関係もあるだろうが、今回のレースは掛け値なしで評価しておきたい。馬場が荒れまくった今の中京にしてはタイムもそれなり。

イスラボニータ産駒はどこにテーマを置いて配合すべきかが難しいが、この馬は母父のSmart Strikeに全振りしてそこだけで能力を形成するスターズオンアースと同じスタイルの配合。こういう単純な配合の方が下手に凝ったものより成功しやすい感がある。

上がり1ハロン:11.4秒
残400~200m:11.4秒
ラップ:38.5-33.8(超後傾)

イスラボニータ:多頭数のごちゃつくレースでもまったく苦にしないメンタルの強さと安定感はあるが、そこから抜け出す脚が全くないのが弱点。フラットな流れで相手がバテるのを待つなど完全な他力本願(本来の意味とは異なる)でないと勝ち切れないため、結果的に距離適性が短くなる。キズナの下位互換的存在。

◆9/29 中山 芝1600m未勝利戦

・シホリーン(モーリス×パンデリング) 評価A

デビュー戦が異常なぐらいタイムの速いレース(過去10年間でも最速クラスの上がりタイム)で、1馬身差2着とはいえ好走した内容は十分評価に値する。

今回は最終週、さらには外まくりも効く中山1600mだったが、安易に外に持ち出さずにギリギリまで他馬に接近して差し切っており、鋭い脚が一瞬でもまれ弱いモーリス産駒としてはかなり優秀なレース内容と言えるだろう。

アーモンドアイの近親で、やはりフサイチパンドラを強く生かす方向の配合。サンデーサイレンスのインクロスが強めなのはモーリス産駒にありがちなパターンだが、近親交配による弊害が出る域には至っていない。モーリスとフサイチパンドラの血の相性はかなり良さそうで、アーモンドアイ自身の配合の指針にもなるか(なお来年の2歳馬がモーリス産駒)。

上がり1ハロン:11.4秒
残400~200m:11.7秒
ラップ:35.8-34.6(後傾)

モーリス:オーストラリアでの成功を考えれば日本での実績がやや物足りないが、使える脚の長さが短いので長い直線を差し切る芸当ができない上に、ごちゃついた競馬を苦手にするのが原因。意外にスムーズに脚を使えるので「前にいる馬が少ないときに」軽く抜け出すのは得意。爆発力には欠ける。

◆9/29 中山 芝1200m新馬戦

・カンシン(ビッグアーサー×コスモダリア) 評価A

結果的には1200mでスローペース前残りというレースだったが、最後は後続を突き放す強さを見せていたし、上がりタイムも今の中山にしてはかなり速いタイムが出ており、能力は相当に高いものと推測できる。

ラップの感触からして「緩く流れる平坦1200m」「フラットな流れの1400m」に適性を持つタイプで、いかにもビッグアーサー産駒らしい走りだった。

血統はサクラバクシンオーの成分はあまり使われず、むしろ祖母レインボーダリアの血を生かしたタイプ。それだけに1200mに偏らない馬になると思われる。母を強調する流れが明確な配合でレベルは高い。

上がり1ハロン:11.3秒
残400~200m:11.3秒
ラップ:34.9-34.4(フラット)

ビッグアーサー:スプリント特化型なのは父の血を継いでいる感じだし、多頭数内枠でも力を落とさずに走れるだけの瞬間的な脚も備えている。それでも上位が相手になると脚が止まるのは、いい脚を長く維持できないから。G3クラスまでは行けるがその先が厳しい。

◆9/29 中京 ダ1400m新馬戦

・アートコレクション(パイロ×ギフトオブアート) 評価B+

スタート直後は速かったが、その後は一定のラップがだらだらと続くいかにも1400mらしい競馬。そうした中で前を潰して粘り込んだ走りはそれなりに評価できる。

今回は1400mでの勝利だが、速い脚を持つパイロ産駒ということもあってこの距離が限界ということはないはず。おそらくベストは1800mぐらいと想定。

父母間では父内PreachにあるMr. Prospector、母ではMachiavellian内にあるMr. Prospectorに血を集めた形で、配合の方向性は正しい。地味ではあったがまだやれる馬。

上がり1ハロン:12.5秒
残400~200m:12.5秒
ラップ:36.4-36.8(フラット)

パイロ:ダート専用ではあるが上位クラスでも勝ち星を挙げられ、多頭数や重賞などの厳しい条件でも強さを発揮できる。A.P.Indy系は先行して粘る形が得意なのは間違いないが、道中で速い脚を使えるのが何より大きい。逆に弱い相手に取りこぼす詰めの甘さに通じることもある。

◆9/29 中京 芝1400m新馬戦

・ワース(キズナ×キラモサ) 評価B+

2着スライビングロードとの競り合いをギリギリで制した感じ。馬体を合わせて突き放すことはできないが、簡単に下がりはしないキズナ産駒の真骨頂を見せたレース。

ラスト3ハロンは荒れた馬場ではあったが大きくタイムを落とさず、長く脚を使って粘りとおした。ただしこの勝ち方だと良馬場の切れ味勝負になった時に大きなメリットとはならないだろう。

ただし血統構成のレベルは高い。父の母キャットクイル内Pacific Princessに血を集めた構成は珍しく、母もラストタイクーンに血を集める形態。鋭い切れ味こそ期待できないだろうが、人気薄の穴馬では常に怖さがある粘り強いタイプと見る。

上がり1ハロン:12.0秒
残400~200m:11.8秒
ラップ:36.9-35.3(後傾)

キズナ:多頭数での安定感は抜群だが、上位クラスでは前の馬を抜こうとしない気性の弱さがネック。直線で邪魔をされなければ凄い差し脚を見せることもあるが、あくまで下級条件限定と言える。クラシック路線で勝つためには前が崩れる展開が必須。

◆9/29 中山 芝2000m新馬戦

・スタイラスメソッド(ジャスタウェイ×シャルマンスタイル) 評価B

楽に先行して直線に入った途端、他の先行馬を完全に潰して大きくリードを広げる非常に強い競馬を見せた。後半はどんどん加速するラップでもあり、最後まで脚がまったく衰えなかった点は高く評価していいだろう。

ジャスタウェイ産駒は極端なレースをしてこそという面があるので、動きやすい内枠もプラスだった。これは騎手の好判断、好騎乗とも言える。

ただ血統構成としては平凡で、今回の勝ち方も過大評価まではできないか。

上がり1ハロン:12.0秒
残400~200m:11.8秒
ラップ:37.6-35.4(後傾)

ジャスタウェイ:ハーツクライ産駒らしい闘争心はこの馬の子にも受け継がれているため、馬群を突き抜けるたり相手を突き放す走りは得意。だがその闘争心をうまくコントロールできないため、少頭数や広いコース、もしくは逃げや追い込みなどの極端な戦法に戦績が偏ってしまうのが難点。

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「競馬最強の法則」にて血統理論記事を短期連載しておりました。血統の世界は日々世代を変えてゆくものだけに、常に新しい視点で旧来のやり方にとらわれない発想をお伝えしたいと思います。