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読まずに書けるか!

 最近は社会人になってもアニメ見ている人が多いと思いますけど、私みたいな古い人間の価値観からすればそれは違うわけですよ。社会人と言えば電車で日経新聞を読み、週刊ダイヤモンドやプレジデントを読むべきだと。

 背広を着て少年ジャンプやマガジンなんて読むような幼稚なアホにはなりたくないと。下品な週刊誌のエログラビアを電車の中で読む品性下劣にはなりたくないと。少なくとも私は、学生時代はそう思って生きていました。

 ――のつもりだったはずが、朝はヤンマガとかスピリッツを読み、夜は東スポとか夕刊デイリーを読む人生に。どこで間違った!

 とはいえ、大学時代の最後の方で見た「少女革命ウテナ」以降は本当にアニメを見ることもなくなっていました。再放送でやってるガンダムとかは見てましたけど、あれは懐かしいからというのが理由。

 気が付けば仕事も3回転職し、流れ着いた先が今勤務する某IT企業。当然の如く付き合っていた女性もいなくなり、そこで面白おかしく気楽に安月給で働いていたのですが、そんな時に

「ねえ、『らき☆すた』って知ってます?」

「ああアレでしょ、エンディングで『宇宙鉄人キョーダイン』流してた奴」

 競馬が趣味なので競馬系のサイトを見ていたのですが、そこの管理人がそのネタを書いていたので、偶然知っていたわけです。そんな訳で彼に録画した映像を貸してもらい、件のキョーダインのとこだけ見てたのです。

 ……気が付けば、第1回から全部映像借りた挙句、深夜にやってる本放送まで見始める始末w

 一体あの作品の何が私の琴線に触れたのかは、今でもわかりません。多分、先の読めない(意味もない)話と、当時アニメファン界隈で展開されていた妙な空気に引かれていったのでしょう。

 その作中、同じ角川系列&京都アニメーションということで盛んに取り上げられていたのが「涼宮ハルヒの憂鬱」。これまた妙に興味を持ったので、DVD持っている同僚に貸してもらうことに。幸いアニメ好きには事欠かない職場でした(苦笑)。

 面白い。「ナデシコ」で見た、ライトでありながらSFテイストを取り入れた物語がとてもいい。早速原作の小説も読んでみました。やはり面白い。

 そんな矢先、別の同僚がアホなことを言い出した訳です。彼の地元の街をもっと有名に出来ないか、と。そこで私が提案したのが

「ラノベとかアニメの舞台になれば有名になるんじゃね?」

 「聖地巡礼」とか「萌え興し」なんて言葉が出てきた2007年、まさに乗るしかないビッグウェーヴが到来したのです。早速彼に小説を書いてもらい、それを新人賞に応募させようとしました。

 しかし彼が書いてきたのは、場末の不動産屋の宣伝チラシみたいな文章。

「ああ、もういい! 見本書いて持ってくるから!」

 私は豪語しました。だが今までに読んだライトノベルは、さっきのハルヒだけ。あとは門田泰明さんの黒豹シリーズぐらい。とにかくびっくりするぐらい読んでない。(最近の)アニメだってらき☆すたとハルヒしか見てない。

 何をもって自信満々に宣言したのか、今でも分かりません。だがとりあえず原稿用紙にして500枚ほどの文章を書き上げ、手ごろなライトノベル新人賞に応募してみたのです。

 この時点で小説の文法とかは一切知りません。3点リーダも知らないし一文字空けることも知らない。一人称とか三人称も知りません。

 結果は、一次選考は見事に突破。全く無知な人間が最初に書いたにしては上々でしょう。

「……ひょっとして自分、文章書けるんじゃないか」

 勘違い、ここに極まれり! ここから私の人生の流転が始まるのでした。

(続くか未定)




「競馬最強の法則」にて血統理論記事を短期連載しておりました。血統の世界は日々世代を変えてゆくものだけに、常に新しい視点で旧来のやり方にとらわれない発想をお伝えしたいと思います。