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2024~2025 3歳クラシック血統分析(第18週) 2024/10/05~10/06

(有料noteですが、無料で最後まで読めます。内容が気に入った、応援したいという方のみご購入下さい)

今週から東京・京都・新潟開催がスタートしました。

特にこの時期の東京は馬場状態が非常に良く、高速タイムが出がちであることは先週も書きました。ただ雨の影響を受けて東京、京都ともにそれほど速いタイムの決着にはなりませんでした。

今週のレースを見ていると、騎手の馬場感覚に狂いが出ているのか「9月までに比べて明らかに速いペース」で流れているのが分かります。

9月までならこれぐらいのペースで飛ばしても後半に伸びたから、今回も同じペースで行こうと思ったら最後に脚が止まる、というケースです。例えば今週の2歳重賞だったサウジアラビアRC、他にもりんどう賞などで同様のケースが見られました。

※なお両方のレースともに、勝ち馬は血統的に見どころはありません。ペースに助けられた勝利と判断します。

こうした「ちょっとした変化」を見逃さないことが競馬を見る上で重要となります。

◆10/05 東京 芝1800m未勝利戦

・コンフォルツァ(ドゥラメンテ×デルマキセキ) 評価A+

2着のスカイタワー(リアルスティール産駒)とびっしり競り合い、最後はわずかに抜け出した。相手をちぎることができなかったのは不本意と見る向きもあるだろうが、ドゥラメンテもリアルスティールも強い闘争心をむき出しにするタイプであり、互いに譲り合わない戦いになったと考えていいだろう。よってどちらもいい馬となる。

フラット気味に流れたラップにしてはラストの時計はかなり優秀で、特に上がり1ハロンのタイムは今日のトップ。新馬戦で勝った馬にも引けを取らないだけの中身と言える。

母内Night Shiftへの血の集合は非常に優秀で、アーリントンカップを勝ったタイセイビジョンと共通点がある。父内のノーザンテーストがいい働きをしている。

上がり1ハロン:10.9秒
残400~200m:11.3秒
ラップ:37.6-33.7(超後傾)

ドゥラメンテ:多頭数でもまれる展開に強く、一瞬見せる爆発的な脚もトップクラスという現代の最強種牡馬。闘争心とはまさにこの馬の産駒のためにある言葉。ただし弱点といえば長く脚を使わされる展開で、相手が弱くストレスが少ないレースになると他馬の後塵を拝することがある。だが本番では逆転する。

◆10/05 東京 芝1600m新馬戦(牝)

・ロンドボス(モーリス×フィフニティ) 評価B+

勝ち馬のラップだけを見ればいかにも東京開幕週らしい超スローという感じだが、レース全体としてはフラットに流れてしまい、最後は2歳馬にはかなり厳しい流れになった。また開幕週にしては内ラチ沿いが伸びず、芝の状況にも助けられた感がある。

何度か書いているがモーリス産駒の欠点は「鋭い脚は使えるが、それがごく一瞬」であること。厳しい流れを抜け出すことはできず、楽に流れたレースで前から抜け出すしかない。

メインのサウジアラビアRCもモーリス産駒が後方から鋭く差しているが、あれも前が崩れる流れとまったく揉まれない展開に助けられての勝利。実力以上のものを発揮したと考えていいだろう。

本馬、母馬ともにサンデーサイレンスへの血を集合させており、配合としては一貫性がある。

上がり1ハロン:11.4秒
残400~200m:11.4秒
ラップ:37.0-33.4(超後傾)

モーリス:オーストラリアでの成功を考えれば日本での実績がやや物足りないが、使える脚の長さが短いので長い直線を差し切る芸当ができない上に、ごちゃついた競馬を苦手にするのが原因。意外にスムーズに脚を使えるので「前にいる馬が少ないときに」軽く抜け出すのは得意。爆発力には欠ける。

◆10/05 東京 芝2000m新馬戦

・レッドキングリー(サートゥルナーリア×レッドエルザ) 評価A+

いかにもサートゥルナーリア産駒らしい爆発的な伸び脚とまでは言えなかったが、最後の直線できっちり相手を突き放した内容は高く評価ていいだろう。

スローの流れではあるが道中のペースが落ち着くのは遅く、最初にある程度脚を使わされた状態だったことを考慮すればタイムも優秀といえる。本当に厳しい消耗戦になったときにこの馬の真価が問われるが、少なくとも1800m戦ぐらいまでは問題あるまい。

母レッドエルザにはサートゥルナーリアが必要とする血が多く含まれており、そもそも相性のいい組み合わせである。血統構成からも今後に十分期待を持たせる内容。

上がり1ハロン:11.2秒
残400~200m:11.3秒
ラップ:38.1-33.4(超後傾)

サートゥルナーリア:ゴール前でひと頑張りする闘争心は父からきちんと受け継いでいた模様。問題はそれを多頭数戦で発揮できるかにある。こうしたタイプは距離が伸びてマイナスになるケースがあるので、そのあたりの見極めも重要か。ただし今のところの傾向として、爆発力はかなり優秀なものがあるが少頭数の方が向きそうな感じ。

◆10/5 新潟 芝1400m新馬戦

・バニーラビット(アドマイヤマーズ×トレジャリング) 評価B

1400m戦らしいメリハリのないラップで流れ、最後は前にいた馬がだらっと流れ込んだ感じのレース。

アドマイヤマーズ産駒は「走りやすいレース」となれば非常に鋭い脚を使うが、こうしたぬるいレースでの好走が目立つのが気がかり。現状ではハービンジャーと似たような煮え切らないタイプになりそうな感がある。

アドマイヤマーズと相性のいいTeofilo内Galileoを生かした配合内容となっているが、大きな特徴となっていないことも事実。それなりの配合ではあるがそれなり止まりか。

上がり1ハロン:11.6秒
残400~200m:11.2秒
ラップ:36.2-34.8(後傾)

アドマイヤマーズ:闘争心が豊富だったダイワメジャーの系統だが、産駒にどこまでそのメンタルが伝えられるかが最大の鍵。ややぬるいレースで好走する傾向があるだけに格上げでは不安もある。スピード、爆発力に関しては申し分ないレベル。

◆10/5 京都 ダ1400m新馬戦

・ドラゴンウェルズ(Frosted×Little Dipper) 評価B+

短距離ダート戦らしい潰しあいのレースから9馬身差で抜け出し、見ごたえは十分。こうなるとアメリカ系血統の塊であるFrosted産駒は強い。

A.P.Indyの系統はアメリカの特徴であるスタートからのバトルでこそ良さを発揮するため、中距離ではぬるい流れになりやすい日本のレース、特に東京などの広いコースではマイナスになることがある。今回は京都コースだからよかったが、この強さを次も発揮できるかと言えば怖さもある。

母父エスケンデレヤは日本においては大失敗に終わったが、これは日本、特に中央競馬で多く見られる「道中で緩める」レースに全く適応できなかったため。その血を強く生かしたこの馬も距離延長では不安もある。

上がり1ハロン:12.7秒
残400~200m:12.2秒
ラップ:35.6-37.2(前傾)

Frosted:アメリカで有力なTapit系だが、日本ではやたらと芝をこなす印象。ただし強い闘争心で前に行ってそのまま粘るスタイルで距離延長を不得手とするので、どちらかと言えば走りはダート質。硬すぎる馬場じゃなければ芝は本来厳しい。

◆10/5 京都 芝1600m新馬戦

・テレサ(アドマイヤマーズ×タムニア) 評価B+

京都の芝1600m戦は新馬戦だと内回りコースを使用するが、外回りと比べて負荷が小さく強い馬を選抜しにくい傾向にある。特に最近ではマイル戦でもスローから鋭く抜け出す脚が求められることもあり、ここで勝つことがプラスになりにくい。

最近では珍しいマイル戦でのフラットラップのレースとなり、しかも開幕週の堅い馬場も伴って完全な前残り戦。上がりタイムも決して速いとは言えない。

ただし配合は非常に見所がある。アドマイヤマーズ産駒でHaloをインクロスするのは普通だが、Machiavellianのインクロスまで持たせたのは面白い。母タムニアの血統も父母がほぼ相似関係となっており、今後どんな馬を出すか楽しみがある。

上がり1ハロン:11.6秒
残400~200m:11.3秒
ラップ:35.8-34.8(フラット)

アドマイヤマーズ:前述

◆10/6 東京 芝2000m未勝利戦

・エデルクローネ(フィエールマン×コロナシオン) 評価B+

フィエールマン産駒がどういう走りをするかは注目していた。アルアインのように「スピードが不足していて長距離まくりタイプ、またはレベルの低い短距離戦向き」となる懸念があったが、芝の中距離で通用するだけのスピードは持っていた。

ただ切れ味鋭く抜け出したり、爆発力で瞬時に相手を抜き去る能力には至っておらず、おそらくは今後ともキズナの下位互換というタイプに落ち着くだろう。少頭数開幕週という非常に楽な条件で勝ち上がっただけに、今後に不安は残る。

配合は極めて優秀。父フィエールマンが必要とする血を母がほとんど持っており、見事な相似配合といえる。

上がり1ハロン:11.7秒
残400~200m:11.6秒
ラップ:37.2-33.5(後傾)

フィエールマン:思ったよりもスピードをきちんと伝えられており、ジリ脚のステイヤータイプというよりは2000mぐらいを得意とする中距離タイプだろう。ただしやはりスピードは不足しており、キズナ産駒と似て2着が多いタイプになりそう。

◆10/6 東京 ダ1600m新馬戦

・マリブオレンジ(Vekoma×Malibu Pier) 評価B

FappianoにSpeightstownと完全にダート特化の血統を持つだけに、母が持つドイツ血統もほとんど意味がなくなっている。完全なアメリカンタイプと考えていいので、スローで粘ってから突き放すような競馬は向かない。

だが今回のレースは道中でラップがぐっと緩み、そこからロングスパートで抜け出す内容。血統を考えればかなり味のあるレースをしたと言っていいだろう。

ただ爆発的な能力は感じられなかった。血統も及第点にはやや及ばない。

上がり1ハロン:11.9秒
残400~200m:11.6秒
ラップ:36.5-35.9(後傾)

Vekoma:Fappiano系は当初は闘争心が強すぎるぐらいだったが、代を経るごとに大人しくなり、今はむしろ母系に入ってスケール感を与える立場になっている。よって現状は広いコースのダートで先行してまったり走ることに特化しがち。

◆10/6 東京 芝1600m新馬戦

・スマッシュアウト(サートゥルナーリア×セレブレーション) 評価B+

早い段階でラップが早くなってしまったこともあり、サートゥルナーリア産駒特有の爆発的な脚までは見られなかった。そのため勝ち方は少し地味になっている。逆に言えば得意な展開でないのに勝ち切ったことは評価できる。

だが有力馬の走りと比較すると、父の産駒にしては少し走りにキレがないことは否めない。悪い馬ではないという評価に留まる。

配合内容は母が持つサンデーサイレンス×Storm Catを強引に引き出したという感じで、やや強引なものに見える。味のある血統構成ではないのでやや短距離にシフトするか。

上がり1ハロン:11.6秒
残400~200m:11.3秒
ラップ:38.1-33.6(後傾)

サートゥルナーリア:前述

◆10/6 東京 芝1600m新馬戦

・ガルダイア(エピファネイア×アステリックス) 評価A+

開幕週で高速決着が相次ぐかと思われた東京開催だったが、天気が不順だったこともあり思ったより高速コースにはなっておらず、特にイン沿いはかなり苦しいレースが続いている。

そんな中でようやく11秒ちょうどのハロンタイム(ラスト2ハロン目)を出してきたのがこの馬。2着に迫ったエピファランドも同じエピファネイア産駒だったが、前につけたことが幸いして押し切ることができた。エピファネイア産駒は爆発的な末脚が売りで後伸びの展開は得意ではないので、相手が同父だったのは助かった。

父の母シーザリオが持つサンデーサイレンス×Northern Dancer×Specialを、母自身も同じインクロス(Nureyevを経る)所有することで非常に相性良く受けることができた。少し濃いめではあるが配合内容は優秀で上位でも通用するだけの内容を持っている。

上がり1ハロン:11.1秒
残400~200m:11.0秒
ラップ:37.7-33.8(後傾)

エピファネイア:持続する末脚がないために上がりタイムでは他の種牡馬よりも見劣りするが、一瞬で爆発的な脚を使えること、もまれる展開でも脚を使えるメンタルの強さがあるため多頭数の格上げ戦に強い。そのため格下では取りこぼすし、勝ち上がり戦自体は平凡なこともある。

◆10/6 新潟 ダ1200m新馬戦

・ポールセン(Into Mischief×Separationofpowers) 評価B+

平坦のダート1200mでスローペースの上がり勝負。芝コースであればたとえ1200mのスローであっても上がりタイムから正しく能力を把握すべき、というのがこの夏の教訓であったが、ダートではどうか。

Into Mischief産駒ということでスローの上がり勝負が求められるような条件、たとえば日本ではダート1800mなどに出るようになれば話は別だが、今後そうした路線に進むかどうかは不明。

母内Cryptoclearanceに血を集中させた形態でシンプルだが整った配合。配合だけなら及第点をあげられるが、もまれる展開になってどうなるか。Storm Cat系は馬群にも強いのでそこまで不安視することもないだろうか。

上がり1ハロン:11.7秒
残400~200m:11.5秒
ラップ:36.3-35.5(後傾)

Into Mischief:Storm Catの系統だけあってかなり気性は強い。それだけに好調期にはいいレースを見せるし、ペースの速い短距離ダートであれば多頭数もこなす。逆に言えばペースが緩んだ時に弱点を見せるタイプ。もまれてこその馬。

◆10/6 京都 ダ1800m新馬戦

・ステイクオール(ナダル×ボールドアテンプト) 評価B+

道中で14秒台まで落ちるかなりのスローペース。中段につけていたが業を煮やしたようにまくり、そのまま5馬身突き放した。

ナダル産駒の良さはその旺盛すぎるほどの闘争心で、一瞬にして後続を突き放す走りが可能。今回はまくり気味なので直線で瞬時にということはなかったが、それでも父の産駒らしい脚は見せてくれた。

ただ他のナダル産駒と比べれば配合が多少落ちる。母がBold Rulerを強調したタイプだが、それが父の傾向(特にBlameを強調したい)とうまくかみ合っていない感。

上がり1ハロン:12.4秒
残400~200m:12.4秒
ラップ:39.6-37.3(後傾)

ナダル:ダートと短距離戦に実績が偏るが、先行だけでなく中断から差す競馬もできているように、Kris S.系の闘争心は強く受け継いでいる模様。最大の長所は一発の爆発力で、瞬時に相手を突き放すレースをして光るタイプ。ダート向き種牡馬ということもあり先行さえできれば我慢が効くタイプ。

◆10/6 京都 芝1400m新馬戦(牝)

・インフローレ(リオンディーズ×キュイキュイ) 評価B+

まさにこれぞ1400mというフラットラップ。道中でほとんどペースが落ちず、最後はゆるい消耗戦となった。だがこういうレースで勝ち上がってしまうと1400m戦専用機に陥ってしまい、1200mではスピード不足、1600mではペース変化に対応できないというタイプになってしまう。

リオンディーズ産駒は天皇賞馬テーオーロイヤルを出しているが決してステイヤータイプではなく、気の強さを生かして連続好走することに特徴がある。逆に言えば勢いがあれば距離はあまり問わない。勢いのあるうちに適性のあるラップのレースに出したいが、果たしてそううまくいくか。

配合は母方にあるサンデーサイレンス×Nureyevのインクロスを父の母シーザリオが受けるパターン。少しだけ近親度が高くなるが、シーザリオを母に持つ種牡馬にとってはこれは黄金パターンと言えるだろう。

上がり1ハロン:12.0秒
残400~200m:11.6秒
ラップ:34.9-34.8(フラット)

リオンディーズ:キングカメハメハ系らしく旺盛な闘争心を持つが、兄エピファネイアと比べれば少し気性のコントロールが難しいのがネック。そのため中山マイルなど外回しが利くコースで良さを見せるのが特徴。広いコースで鋭く差すのが得意。

◆10/6 京都 芝1800m新馬戦

・サトノブリジャール(エピファネイア×ベルダム) 評価A

スタートからラップが12秒台に落ちない状態が続いた。京都芝1800mでここまでタフな流れになるのはオープンクラスでも珍しいぐらいで、2歳馬にはハードすぎるほどの消耗戦になった。

後方から一気の差しを決めた内容は優秀だが、ハードな流れで前が止まっていたことは考慮に入れておく必要がある。だがこの経験を生かして今後タフなレースで生き残ってくる可能性はある。エピファネイア産駒だからこそ辛抱できたという感。

エピファネイアとディープインパクトは血統的な共通点も多く、相性はそもそも良い。そこにジェンティルドンナの全妹である母との組み合わせとなれば、悪い配合になりようがない。

上がり1ハロン:11.7秒
残400~200m:11.9秒
ラップ:36.0-34.8(フラット)

エピファネイア:前述

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「競馬最強の法則」にて血統理論記事を短期連載しておりました。血統の世界は日々世代を変えてゆくものだけに、常に新しい視点で旧来のやり方にとらわれない発想をお伝えしたいと思います。