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2024~2025 3歳クラシック血統分析(第6週) 2024/7/6 ~7/7

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酷暑に見舞われる日本列島、ローカル開催でも比較的時計の速いレースが続いています。

特に福島コースの走破タイムが速いというのは見ただけでわかるレベルで、これまでは「馬場状態の悪い福島デビュー組は一枚劣る」というのが当たり前の評価でしたが、今後はいい馬を福島で下ろすことも考えられます。福島の新馬戦もしっかりチェックしていかないとならないでしょう。

リクエストも受け付けますので、コメントを頂ければ幸いです。

◆7/06 函館 芝1200m新馬戦

・ピコローズ(サトノダイヤモンド×ルージュノアール) 評価A+

レースの内容だけを見ると、サトノダイヤモンド産駒とは思えない「馬群内での粘り」を見せていたのが長所。外回しに頼らないレースで勝てるのは珍しい。短距離の新馬戦を勝つのも初。

前半から速く流れて前崩れ気味のレースではあったが、後半しっかりと伸び脚を見せていたように1200m戦にしてはメリハリのある好内容。

血統構成も母父ストーミングホームがMachiavellian産駒ということで、Coup de Folieと父内Bonita Francitaの「Halo×Raise the Standard」を共有する形となった。緻密なクロスを構成しており血統としては高い評価ができる。格上戦になってどこまで戦えるかが鍵だが、良い馬。

上がり1ハロン:11.9秒
残400~200m:12.4秒
ラップ:35.2-35.6(フラット)

サトノダイヤモンド:重賞でも格負けしないだけの体力を伝えられるので決して悪い種牡馬ではないが、とにかくもまれるレースに弱い。広いコースや少頭数では無類の強さを見せるが、それが格上げ戦になると発揮できない。

◆7/06 福島 芝1800m新馬戦

・マーズオデッセイ(アドマイヤマーズ×クイックリトルミス) 評価B+

それなりに頭数が多いレースで勝ったことで、父アドマイヤマーズの懸念点だった「近親交配馬の産駒であるが故に闘争心を遺伝できるか」の課題が少しクリアできたか。ただしレース全体がスローで、なおかつもまれない楽な走りをしていたのでまだ懸念点の払拭には至らなかった。

配合は多少ごちゃついた感じはあるが、母父Freudに全体の血をうまくまとめることはできている。少しごちゃついた血統のアドマイヤマーズ産駒の今後を考える上でのサンプルになるだろう。

上がり1ハロン:11.9秒
残400~200m:11.6秒
ラップ:38.4-35.3(超後傾)

アドマイヤマーズ:闘争心が豊富だったダイワメジャーの系統だが、近親度が非常に高い馬でどこまでそのメンタルが保持できているかが最大の鍵。おそらくは楽な相手に強いタイプになりそうで、格上げ戦では苦しむことになりそう。

◆7/06 福島 芝1200m新馬戦(牝馬限定)

・ミライヘノブーケ(サートゥルナーリア×カディーシャ) 評価B+

サートゥルナーリア産駒として2頭目の新馬戦勝ち馬。成績からは短距離戦を単純に逃げ切っただけ、というように映るが、並んでいた馬に一度先行されながらも一瞬の爆発力で突き放した内容は悪くなかった。

この父の産駒には「長く脚を使えないが爆発力はある」という特徴が見えてきたか。

配合はサンデーサイレンスの4x3を中心に組み立てた典型的なものだが、5代内にはNorthern Dancer程度しかクロス馬がおらず、近親交配に陥らないだけのシンプルさは保っている。牝系の質といい好感が持てる配合。

上がり1ハロン:12.3秒
残400~200m:11.8秒
ラップ:35.0-35.7(フラット)

サートゥルナーリア:ゴール前でひと頑張りする闘争心は父からきちんと受け継いでいた模様。問題はそれを多頭数戦で発揮できるかにある。こうしたタイプは距離が伸びてマイナスになるケースがあるので、そのあたりの見極めも重要か。

◆7/06 小倉 芝1200m新馬戦

・タマモティーカップ(デクラレーションオブウォー×チャームポット) 評価B+

少頭数の1200m戦など本来ならば何の見どころもないはずだが、直線入り口まではそれほど手応えも良くなく、さらに前が簡単に止まる気配もなかったレースで長く脚を使って差し切っており、見た目以上の底の深さを感じる馬。

母系は短距離に偏っているとはいえステイゴールドなどと同じ牝系、もちろん質は優秀(ただし勝負弱いところがあり上級クラスでは一定の壁があるが)。

特にこの馬の場合は父の母父であるRahyに血を集める形をとっており、思ったより粘り腰もありそう。距離が少し伸びた方が本来のポテンシャルを発揮できるか。

上がり1ハロン:12.0秒
残400~200m:11.5秒
ラップ:34.6-34.6(フラット)

デクラレーションオブウォー:War Frontの系統は日本でも増えてきたが、すっと先行しての粘り腰に定評があるのは共通。それだけに距離延長で切れを欠く。ただこの馬の産駒はそれなりに体力があり、格上でも勝負ができている。

◆7/07 函館 芝1800m新馬戦

・マジックサンズ(キズナ×コナブリュアーズ) 評価B+

超スローペースから長く加速を強いられる展開は、キズナ産駒の真骨頂。前を邪魔されなければどこまでも伸びる末脚を持つので、特に下級条件ではとんでもなく強く見えるのが特徴。

配合は桜花賞2着のコナコースト(父キタサンブラック)の下ということもあり、ディープインパクト系との相性はまったく問題ない。サンデーサイレンスのクロスが入るが、他に余分なクロスがないので近親交配のリスクも少ない。

相手関係も楽だったように思えるが、ここは順当勝ち。少頭数戦ならばまだ勝てるだろう。

上がり1ハロン:11.6秒
残400~200m:11.8秒
ラップ:39.3-35.3(超後傾)

キズナ:多頭数での安定感は抜群だが、上位クラスでは前の馬を抜こうとしない気性の弱さがネック。直線で邪魔をされなければ凄い差し脚を見せることもあるが、あくまで下級条件限定と言える。クラシック路線で勝つためには前が崩れる展開が必須。

◆7/07 福島 芝2000m新馬戦

・ジェットマグナム(ヘンリーバローズ×ビビットオレンジ) 評価B+

ゆったりとした流れで馬群がばらける展開、前に行った馬がそのまま残る流れを長く脚を使って差し切った内容は悪くない。福島コースを考えると上り1ハロンもそれなりに速い。

ただし、道中でまったくもまれていなかったことを見落としてはならない。シルバーステートの全弟ヘンリーバローズ産駒ということもあり、こうした展開はベストだったはず。

配合そのものはしっかりしているし母の血も優秀。問題は格上げ戦になってどこまで戦えるか。

上がり1ハロン:11.8秒
残400~200m:11.6秒
ラップ:37.1-34.7(後傾)

ヘンリーバローズ:いかんせんまだデータがほとんどない馬だが、シルバーステートの全弟ということもあり、兄に準じた馬と考えていいだろう。軽いスピードと持続力を武器にするが、距離延長は今一つで多頭数適性はゼロ、条件戦向きの種牡馬か。

◆7/07 福島 芝1200m新馬戦

・セイウンビッグバン(アドマイヤマーズ×セイウンメテオ) 評価B+

福島1200mコースではあるが、前半がかなり遅く事実上1400mの流れ。ぬるい流れを外からまくる勝ち方で、着差ほどのインパクトはなかった。ただし瞬間的に鋭い脚を見せており、おそらく「弱い相手に強い」タイプの種牡馬。

だがそうなると今後が苦しい。シルバーステートみたいに条件戦や2歳戦で荒稼ぎしてクラシック戦線で消える、という感じに落ち着いてしまいそう。今は確かに好調だが、秋の東京シリーズに入って良さを持続できない限りはまだ楽観は早計。

Linamixのクロスがあったり、母の主導がSea Melody~Tudor Melodyの連続クロスだったり、配合としてはユニークで興味が持てるが。

上がり1ハロン:11.7秒
残400~200m:11.7秒
ラップ:35.7-34.8(後傾)

アドマイヤマーズ:前述

◆7/07 小倉 芝1800m新馬戦

・ジョバンニ(エピファネイア×ベアフットレディ) 評価S

圧倒的な人気馬が2頭いたために3番人気だったが、4コーナーでまくってきた他馬を軽く競り潰しながら一気に突き放した内容は強いの一言。それでも上がり1ハロンを11秒2でまとめているのも非常に優秀。

エピファネイア産駒にしては珍しくサンデーサイレンスのクロスを持たない形態で、もちろん近親交配のリスクは全くない。母父も闘争心のアシストに有効なStorm Cat系であるだけでなく、RobertoやNijinsky、Secretariatといったエピファネイアに必要な血をまんべんなく揃えた好相性な馬。配合も極めてレベルが高く、来期のクラシックを見据える有力馬の誕生と見ていいだろう。

エピファネイア産駒は基本的にはゴール前ではそこまで速くない。最後に同父のバズアップビート(これも優秀)に詰め寄られているが、そこで粘る長所もある。

上がり1ハロン:11.2秒
残400~200m:11.6秒
ラップ:37.7-34.7(超後傾)

エピファネイア:持続する末脚がないために上がりタイムでは他の種牡馬よりも見劣りするが、一瞬で爆発的な脚を使えること、もまれる展開でも脚を使えるメンタルの強さがあるため多頭数の格上げ戦に強い。そのため格下では取りこぼすし、勝ち上がり戦自体は平凡なこともある。

◆7/07 小倉 芝1200m新馬戦(牝馬限定)

・スリールミニョン(ミスターメロディ×ルミノハレブタイ) 評価B+

能力差の激しいレースだったせいで馬群がばらけ、少頭数戦だったがさらに楽なレースになった。前が止まったところをうまく交わして先頭に立って押し切ったという内容だが、ペースも遅くレースとしては平凡。

Deputy Ministerのクロスを強く打ち出しているために父ミスターメロディっぽさは失われている。いかにもダート的な「先行して粘る」という走りを見せていたのもそのため。芝では近いうちに頭打ちになりそう。

上がり1ハロン:11.8秒
残400~200m:11.7秒
ラップ:35.1-35.1(フラット)

ミスターメロディ:高松宮記念を制してはいるが、どちらかと言えば1400m向きのフラットラップ専用機だった。産駒にもその性質が伝わるとすれば、父同様に単調なレースをするタイプになりそう。ダート種牡馬になるだろう。

今週の未勝利戦では目ぼしい勝ち馬はいませんでした。

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「競馬最強の法則」にて血統理論記事を短期連載しておりました。血統の世界は日々世代を変えてゆくものだけに、常に新しい視点で旧来のやり方にとらわれない発想をお伝えしたいと思います。