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2024~2025 3歳クラシック血統分析(第1週)

5年ぶりにこの企画を復活させます。前回はすべての血統分析を手動(目視)で行っていましたが、今年はソフトウェアによる自動分析となります。

基本的には新馬戦の分析となりますが、未勝利戦や地方競馬でもめぼしい馬がいた場合は追加で分析します。

リクエストも受け付けますので、コメントを頂ければ幸いです。
また有料noteとなっていますが、無料ですべてご覧いただけます。気に入った方のみ投げ銭という形でお願いします。

◆6/1 東京 芝1600m新馬戦

・ウィンターベル(バゴ×ノチェブランカ) 評価B
見ての通り、5代内に15頭ものクロスが入る近親交配馬。近年のバゴの代表産駒でもあるステラヴェローチェと近似した形態。

配合自体は父バゴと母ノチェブランカの構成が似通って相似配合となっているが、近親度が強すぎて安定感を欠き、多頭数混戦では力を出せない。上位クラスでは少頭数か人気薄が必須になる。

ウィンターベルのような近親交配馬は配合内容よりも、その能力を発揮できる条件を吟味する必要がある。人気では信用しないこと。

エルコンドルパサーやEnable(凱旋門賞馬)のような怪物を出すことはあるが、あれはあくまで偶然弊害を出さなかっただけであり、また少頭数のもまれない展開に恵まれて勝っているレースばかりであることに留意。

上がり1ハロン:11.6秒
残400~200m:11.4秒
ラップ:38.0-34.3(超後傾)

バゴ:多頭数での安定感とフラットラップ適性が売り。闘争心弱め。超パンパン馬場か不良馬場、もしくは外回しが効く馬場に強い。そのためマークされる展開になって鋭く抜け出す脚を求められるともろさを見せる。いわゆるヨーロッパ系種牡馬の弱点が出ている。

◆6/1 京都 芝1600m新馬戦

・ダノンフェアレディ(キズナ×メチャコルタ) 評価B+
5代内でクロスが完結する馬が1頭もいない異系交配馬。血の質としては健全な形態であり、その点はプラス。

この馬の良さは母メチャコルタにあり、Gone WestやSilver Deputyが母系の血を生かす構成となっている。ただし父母間の配合には強調点が乏しいのも事実で、安定感はありそうだが善戦タイプに落ち着きそう。

なお上がりタイムの数値はそれなりのレベルではあるが、傑出したものではないことも付記。あくまで馬場状態の良さに恵まれて出したタイムであると判断した方が後々良さそう。まだ能力を語るには早計。

上がり1ハロン:11.3秒
残400~200m:11.2秒
ラップ:36.0-33.8(後傾)

キズナ:多頭数での安定感は抜群だが、上位クラスでは前の馬を抜こうとしない気性の弱さがネック。直線で邪魔をされなければ凄い差し脚を見せることもあるが、あくまで下級条件限定と言える。クラシック路線で勝つためには前が崩れる展開が必須で、まさに皐月賞のジャスティンミラノが好例。

◆6/2 東京 芝1600m新馬戦(牝)

・ミリオンローズ(スワーヴリチャード×マンビア) 評価S

新馬戦1週目からとんでもないタイムの馬が出現。
新馬・未勝利戦(芝1600m以上)で上がり1ハロンが11秒を切った馬は過去に44頭いるが、そのうち後にG1を制した馬が10頭もおり、この馬も相当の能力を持っていることが分かる。

血統構成は母マンビアの血が優位ではあるが、父母間の血の配置がほぼ相似となっており、非常に優秀な形態(しかも近親交配ではない)。Mr. Prospectorのクロスが3x6と離れているが、当然ながら遺伝はきちんとされており、少し近親度が強いことから気性の強いマイル血統と推定される。

スワーヴリチャード産駒は闘争心は高いが多頭数に難があるタイプで、どちらかと言えばトライアル、ハンデ戦向きの種牡馬。そこをどう克服するかに注目。

上がり1ハロン:10.9秒
残400~200m:11.0秒
ラップ:37.8-33.4(超後傾)

スワーヴリチャード:旺盛な闘争心を持ち、インから鋭く差す走りも得意。ただしメンタルが不安定で狭いコースでごちゃごちゃするとやる気をなくすので、基本的には広いコースか大外振り回し向き。人気を背負ってマークされる展開になった時の信頼性は低い。

◆6/2 東京 芝1400m新馬戦

・スターウェーブ(Kingman×コスモポリタンクイーン) 評価A

Kingman産駒の特徴は多頭数や格上げ戦を苦にしないことにあるが、鋭く抜け出すだけの闘争心に欠けるのが難点。「スローから加速」が強く求められるマイルよりも1400m、もしくは開幕週の堅い馬場が合う。シュネルマイスターをイメージすればいいだろう。

これも父母間の血統構成が相似となっている優秀な形態で、鋭い切れ味というよりはだらっと長く脚を使うタイプ。混戦になれば面白い。

また今回のレースは1400m戦だが、前半平均3ハロンと後半3ハロンで3秒以上差のある「超後傾」ラップ。本質はもう少しゆったり流れるレースで、新潟のマイルはベストと言えるだろう。

ダンシングブレーヴのクロスを使って血統をまとめていく形態はトレンドとなりつつあり、父はまさに時代の流行に乗った種牡馬だと言える。

上がり1ハロン:11.2秒
残400~200m:11.3秒
ラップ:37.1-33.4(超後傾)

Kingman:開幕週の硬い馬場やフラットなラップで安定感を見せ、多頭数も苦にしないし厳しいレースもこなす。ただし距離短縮などを利用しないと前の馬を抜こうとしない。

◆6/2 京都 芝1400m新馬戦

・キトンインザスカイ(シスキン×メジロトンキニーズ) 評価C

新種牡馬シスキンはUnbridled's Songの系統。Fappianoの系統は当初はそれなりに高い闘争心を持っていたが、徐々にメンタルの弱さを見せるようになりつつある。先行して体力で押し切るレースをすれば強いので、どちらかと言えばダート向きの構造。

血統の中心となるのは母内モガミで、さすがに現在ではスピード不足になりそう。一定のペースを保って走るステイヤー質の馬だが、この時期に短距離で勝ってしまうのは不安がある。将来性は厳しい。

上がり1ハロン:11.5秒
残400~200m:11.7秒
ラップ:36.1-35.0(後傾)

シスキン:体力のあるUnbridled's Song系で、やや厳しめのラップを先行し、そのままの勢いでなだれ込むようなレースが得意。ただしもまれる展開ではまったく良さを発揮できない。芝は相手が弱い時限定。

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「競馬最強の法則」にて血統理論記事を短期連載しておりました。血統の世界は日々世代を変えてゆくものだけに、常に新しい視点で旧来のやり方にとらわれない発想をお伝えしたいと思います。