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2024~2025 3歳クラシック血統分析(第8週) 2024/07/20~07/21

(有料noteですが、無料で最後まで読めます。内容が気に入った、応援したいという方のみご購入下さい)

※ジュンライデンの血統評価をB→B+に修正しています 7/22追記
※アブキールベイの血統評価をB→Cに修正しています 7/28追記
※ブラックルビーの血統評価をB→B+に修正しています 7/28追記

今週から札幌開催が始まりました。

札幌コースは直線の短さから小回りコースと見られがちですが、コーナー角度が大きいこともあって実際には「直線の短い大回りコース」と判断するのが正解。なのでロングスパートが得意な種牡馬の産駒にとってはかなり走りやすいコースとなります。

昔の東京でやたら強かった「ロングスパートが得意」なトニービン産駒のエアグルーヴが札幌記念で強いレースをしたり、一瞬の切れ味を持たないシェリフズスター産駒のセイウンスカイが差す競馬で勝ったりしました。

種牡馬によってコース適性は変わります。コース形状、コース起伏、さらには競馬場全体のアンジュレーションまで考えに入れた上で「この種牡馬に向くか」をしっかり考える習慣をつけましょう。

血統分析を希望する馬のリクエストも受け付けますので、コメントを頂ければ幸いです。

◆7/20 札幌 ダ1700m新馬戦

・ナチュラルライズ(キズナ×レディマドンナ) 評価A+

キズナ産駒は芝で強いのは確かだが、ダートでも一定の成果を上げているのが特徴。万能タイプの種牡馬と言えば聞こえはいいが、逆に言えば中途半端さにもつながっている。

ただしこの馬の血統は優秀。近年のキズナ産駒の活躍馬に多いキャットクイル(Storm Cat)集中型で、母内のアメリカ系血統を生かしたものとなる。母はかなりの近交馬ではあるが、その分だけ母父Distorted Humorへの集合が明確になっている。いかにもダート向けという血統構成だがしっかりしている。

レース内容も、逃げ馬こそ残ったが同じような位置取りの馬は競り潰しており、しかもダート戦にもかかわらず最後の2ハロンでタイムが速くなっている。後傾ラップであってもこれだけしっかりとしたロングスパートができるのは立派で、この内容なら一度芝での走りもチェックしたくなる。少頭数戦のトライアル質のレースなら一発ある。

上がり1ハロン:12.3秒
残400~200m:12.3秒
ラップ:37.5-36.9(後傾)

キズナ:多頭数での安定感は抜群だが、上位クラスでは前の馬を抜こうとしない気性の弱さがネック。直線で邪魔をされなければ凄い差し脚を見せることもあるが、あくまで下級条件限定と言える。クラシック路線で勝つためには前が崩れる展開が必須。

◆7/20 福島 芝2000m新馬戦

・ピコチャンブラック(キタサンブラック×トランプクイーン) 評価B+

福島の最終週でデビューする新馬が「強い」と評されるのは極めてレアなケースだと思う。福島の芝は荒れやすく、最終週は外を回さないとまともなレースはできない。
そんな状態の芝で最内を回りながら、しかも上がり1ハロン11.3で走るのはもはや異常とさえ言える。京都なら10秒台に突入していただろう。

2番手や3番手の馬がそのまま残っていたら大した評価にはならないが、後方の馬が直線でほぼ入れ替わっていたように、能力で同位置の馬を潰す強い競馬。しかも記録的な高速上がりを出していたら7馬身差が付くのも当然。

ちなみに過去10年の福島コースの上がり1ハロン最速は、今年4月にメイショウミリオレが1200m戦で出した11.2。この馬は次のレースでも勝っている。1800m戦以上のレースとなれば福島競馬場の芝レース最速1ハロンタイムだった。

ただし血統構成については「ただの近親交配馬」であり、特筆することはない。キタサンブラック産駒らしく馬群には弱いだろうし、長く脚を使うレースでは弱さを見せるだろう。来年春以降の成長も怪しいので、皐月賞までにどこまで稼げるか。

上がり1ハロン:11.3秒
残400~200m:11.8秒
ラップ:38.0-35.0(超後傾)

キタサンブラック:外枠、少頭数、固い馬場と、とにかく「楽なレース展開」にならないとその能力を発揮できないのが最大の欠点。メンタルの弱さはどうしようもないレベル。だが長所を発揮できる場面になれば抜群の能力を見せるのも確か。諸刃の剣。

◆7/20 福島 芝1200m新馬戦

・ミーントゥビー(リアルインパクト×コマンドゥールキイ) 評価C

最終週福島特有の荒れた芝を利して、馬場の外側を回して一気に差し切った。前に行った馬が止まってはいるが、この馬が潰したわけではないので完全な漁夫の利。

リアルインパクト産駒に特徴的な「大ざっぱなr-ス」で勝っただけであり、この勝ち方に高い評価はつけられない。1つ前のレースのピコチャンブラックが凄かったことの比較対象にしかならないだろう。

上がり1ハロン:11.8秒
残400~200m:12.0秒
ラップ:35.5-35.1(フラット)

リアルインパクト:豊富なスピードはしっかり伝えられるが、ディープインパクト系らしい多頭数での粘り強さはまったくなく、少頭数や極端なレース向けの大味な馬を出すにとどまっている。スプリンターでもなくマイラーでもない中途半端さは日本よりもオセアニアに向くだろう。本当の意味で上位で通用する馬は出ない。

◆7/20 小倉 芝1800m新馬戦

・ジュンライデン(レイデオロ×チェリーコレクト) 評価B+

小倉最終週も馬場が荒れてきており、楽なペースになっても後半のタイムが伸びにくい。こうなると少しぐらい脚の遅いタイプでもしのぎ切れてしまう。ただしこういうタイミングで勝った馬は、馬場状態が良くなるとスピード不足を露呈することが多い。

レース内容はいかにもレイデオロ産駒らしい、小回りコースの外を回しながら加速していく走り。比較的長く脚を仕えてはいるが、やはりスピード不足という感じで直線が伸びると切れ味のなさを出しそうな内容だった。

重賞勝ち馬サトノグランツの下であるように、血統構成がしっかりした母の産駒はよく走る。本馬の内容も十分に及第点をクリアしている。

上がり1ハロン:11.8秒
残400~200m:12.0秒
ラップ:38.0-36.1(後傾)

レイデオロ:Mr. Prospectorの近交馬ではあるが、ダート向けの闘争心を欠く感じ。ディープインパクト産駒のB級種牡馬にありがちな「少頭数で長い脚を使うがスピード不足」というタイプで、小回りコースの中距離が主戦場になる。クラシック向けの馬ではない。

◆7/21 札幌 芝1800m新馬戦

・キングスコール(ドゥラメンテ×レインオンザデューン) 評価A+

札幌は実質大回りコースであることは最初に説明したが、角度の大きいコーナーの途中から競り合いが始まってしまい、等数の割に厳しい流れとなっていた。先行して抜け出しただけのレースに見えるが、それまでの走りがハードだったこともあり、最後に加速しながら力強く抜け出した内容は高く評価できる。

上がり1ハロンの11.5は極めて優秀という訳でもないが、決して悪くない(過去5年間でも20番目のタイム)。直線が長いコースになってもそれなりに戦えるだろう。

血統は父母の双方に存在するMr. Prospectorを中心にしたもので、特に母父のFrankelを生かした構成となる。少し大味な感じは否めないもののスケール感があるので、タイトルホルダーのように中距離超を先行して押し切るようなレースに向くだろう。

上がり1ハロン:11.5秒
残400~200m:11.6秒
ラップ:36.5-34.8(後傾)

ドゥラメンテ:多頭数でもまれる展開に強く、一瞬見せる爆発的な脚もトップクラスという現代の最強種牡馬。闘争心とはまさにこの馬の産駒のためにある言葉。ただし弱点といえば長く脚を使わされる展開で、相手が弱くストレスが少ないレースになると他馬の後塵を拝することがある。だが本番では逆転する。

◆7/21 福島 芝1800m新馬戦

・ブラックルビー(キズナ×メジロスプレンダー) 評価B+

さすがに最終日ともあって芝がかなり荒れていたが、直線区間では芝の荒れてない部分ギリギリを攻めていたので、上がり1ハロン12.1というタイムはそれなりに評価することができる。ピコチャンブラックを基準にすれば11.9ぐらいと考えていいだろう。

レース内容がいかにもキズナ産駒というもので、長く脚を使って抜け出す走り。多頭数ではあったがそれほどハードな流れではなかったので、邪魔されたら終わりというキズナ産駒の弱点は影響しなかった。母父が闘争心を補完するシンボリクリスエスというのも良かったか。

血統はStorm Cat強調型。最近のトレンドに当てはまってはいるが、キズナ産駒の弱点であるクラスが上がった時に下級条件のような脚を使えなくなる欠点を覆すには至らない。

上がり1ハロン:12.1秒
残400~200m:12.1秒
ラップ:37.2-36.5(後傾)

キズナ:前述

◆7/21 福島 芝1200m新馬戦

・アブキールベイ(ファインニードル×アゴベイ) 評価C

馬場の荒れていないところをうまく使い、しかも長く脚を使って力強く差し切った走りは悪くないと評することができる。

実際に上がり1ハロンも11.3とかなり優秀で、思った以上に能力の高い馬であることは間違いないだろう。ファインニードル産駒の特徴でもある混戦での強さを生かせば、多頭数戦でもそれなりに戦えるはず。穴馬として面白そうだ。

母の血統構成はしっかりしているが、父母間で考えると突出した内容にはなっていない。そこが弱点となるだろう。

上がり1ハロン:11.3秒
残400~200m:12.1秒
ラップ:36.0-35.0(後傾)

ファインニードル:エンドスウィープ系の良さである多頭数混戦での強さをきちんと受け継いでおり、実績以上に優秀な種牡馬と言うことができる。短距離ならスピードも伝えられるし、混戦を抜け出す脚もある。だが欠点としては爆発力の不足で、上位まで行くと限界を見せてしまう。

◆7/21 小倉 芝1200m新馬戦

・ブルーレース(モズアスコット×ユースティティア) 評価B

モズアスコット産駒は基本的にはFrankelというよりもヘネシーが強く、気の強いダート馬タイプと評していた。だがこの馬の場合、4コーナーを回り切ってからの爆発的な脚で抜け出す走りを見せており、決して一介のスプリンターという内容ではなかった。

ハイペースで先行して前を潰しながら残る、というのはダートで良さを発揮する馬が得意な戦法。今日は芝で勝っているが、ダート戦へ回っても悪くはないはずだ。

フォーティナイナーの近親となる馬だが、母の血統構成そのものはイマイチなのが惜しい。

上がり1ハロン:11.7秒
残400~200m:12.1秒
ラップ:34.4-35.7(前傾)

モズアスコット:Frankelのイメージとして鋭い脚を使うマイラーというのがあるだろうが、Galileo系の本質であるスケール感(体力)で走る馬ということは変わらない。モズアスコット自身はほぼヘネシー系と考えてよく、気性の強さは備えているだろう。

今週の未勝利戦、2歳OPに魅力的なレースはありませんでした。

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「競馬最強の法則」にて血統理論記事を短期連載しておりました。血統の世界は日々世代を変えてゆくものだけに、常に新しい視点で旧来のやり方にとらわれない発想をお伝えしたいと思います。