仮面の力(7) 5 仮面の形態
5 仮面の形態
南江二郎が世界的視野で仮面の種類をあげているので、引用する。(*17)
1 狩猟仮面 狩りのために獲物の動物に仮装するための仮面。
2 トーテム仮面 自分の集団と特殊な関係を持つ動物の顔の仮面。
3 妖魔仮面 悪霊を退散させるための奇妙な顔の仮面。
4 医療仮面 呪術を専門とする方術師、医術、妖伏師が病魔を払う
ためにつける仮面。
5 追悼仮面 死者の追悼の祭りに使う死者の顔の仮面。死者の精霊
の復帰を体現したもの。
6 頭蓋仮面 死者の頭骨を飾り、色彩をほどこして保存する人びと
がいる。さらにそれを模した仮面を作る。故人をしのん
でこれをつけて踊る。
7 霊的仮面 信ずるあらゆる種類の神霊を仮面に表わしたもの。
抽象的なものもある。
8 戦争仮面 勇敢な顔の仮面。主に戦いの舞いに使う。兵の士気を
高める効果を持つ。
9 入会仮面 秘密結社に加入する時の入会式に付ける仮面。成年式
に使う仮面。
10 乞仮面 雨乞いの時につける仮面。
11 謝肉祭仮面 20世紀に入ってからの盛大な謝肉祭の仮面というよ
り、地方地方で用いた謝肉祭の仮面。
12 その他の仮面
普通、仮面ときくと顔、もしくは頭にかぶるものと判断しがちだ。しかし実際は、前述の12の種類の例のように、顔や頭をかたどっているが、大型または小型で大きさが合わず人がつけられない仮面もたくさん存在している。むしろその数は、顔に直接つける仮面よりも多いくらいである。顔に付ける仮面をマスク、シャマンや戦士が頭の上や胸につける小型の仮面をマスケット、木偶・神像や盾など人ではなく器物に取りつける仮面マスコイド、祠に安置したり建物の破風を飾る大型仮面マスコイドがある。そして、仮面を生と死という観点からみた場合、生者がつける仮面と、死者がつける仮面(デスマスク)との区別ができる。デスマスクは目(ときには口)をふさいでいることが多い。
*17 佐藤真 「総論−お面の考古学」『仮面−そのパワーとメッセージ』
里山出版 2002年
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