商売は楽しく気持ちよく。

8月の一大イベント、阪神百貨店の古本市が終わってから休む間もなく続いた怒濤の納品、買取り、出店(それと旅行と子の夏休み、、)がようやく一段落。

今年は長野へ。

仙台。しあわせな夜。

昨日までは鳴子温泉の全国こけし祭りに出店していた。この祭りはこけし好きにはマストの楽しすぎるイベント。わたしは昨年から出店させてもらっている。
昨今のこけしブームの影響で、戦前の祭りでは行われていたもののしばらく休止していた写真のこけしハリボテパレードも数年前に復活、大人気。大興奮。

マヤルカブースもたくさんお買いものいただきありがとうございました。SNSを見て当店を目指して来てくれた方、昨年もお買いものをしてくださった方、寝不足で子を連れ、くたくたでたどり着いた遠く東北の地でとても励みになりました。

こけしに関しては当店では普段、こけし関連の古書、作家もののこけし雑貨や作品、中古こけしを主に扱い、現行の工人さんのこけしは年に一度のこけし博でのみ販売している。いろんな理由があるが、やはり関西という東北から距離のある当店にできることはあくまでも入り口を作ること、その先に興味が深まったときにはできるだけ現地で直接工人さんからこけしを買ってほしいという気持ちがある。

なのでもちろん、扱う中古こけしも慎重になり、できるだけ値崩れがおきないよう、そして古いものはしっかり評価できるよう値段をつけている。コレクターの方もそのあたりよく分かっている方が多いので、値段が安すぎることを注意されることはあれど、高すぎると言われたことはこれまで一度もなかった。

今回のこけし祭り、ほんとうに楽しかったけれど、ひとつだけひっかかったのは、ごく一部の方に「これ300円の間違いじゃないの?」「こっちは分かってるんだからこれじゃ誰も買わないよ」と言われたこと。もちろんわたしに落ち度があったのかもしれないけれど、これまで一度もなかったことなので、ああ不況の影響がこんな趣味と伝統と尊敬で成り立つ世界にまで、、と少し落ち込んだ。300円じゃないと買わないこけしってなんだろう。欲しい気持ちと値段の折り合いがつかないことはわたしももちろんよくある。古書も古物も相場があるものなので、間違いもあるだろう。すでに関係ができている間柄で、注意をしたりされたりそれからディスカウントを相談されたりするのはもちろんありだと思うしわたしもいつも大歓迎で応じている。しかしそれを、初対面で唐突に一方的に、暴力的ですらある言い方で店に是正させることは、絶対的に正しい正義なのか。

申し訳ないけど、当店からは静かに退出していただくだけで、これからわたしがしっかり評価されているものを300円にすることはないと思う。こけしは美術品とは少し違うかもしれない。でも、こけしを育み、これまで受け継いできた土壌を支えてきたものは文化だと思う。お客さんは選べる側であるのはもちろんだけど、あくまでも尊敬と尊敬の上で成り立つ関係でありたい。たとえそれが一度きりのやりとりであっても。

閑話休題。
こちらも仙台。宮城で食べたもの、すべてが美味しかった。来年も参加できますように。

こちらは東京のみなさまにお知らせ。

期間限定でオープンしている「ラクーア図書館 本の森」で本のセレクトをしました。
一緒にセレクトしている本屋さんも好きなお店ばかり。素敵なご依頼ありがとうございました。

いよいよ今週末、9/7(土)からは前田ビバリーさんの張り子展始まります。

古本市、9月はお休みして次回の参加は10月。恒例、京都マルイの古本市。
阪神百貨店の古本市は今年も本当に自分の血となり肉となった。反省とさらなる興奮。同業のみなさま、先輩方には感謝でいっぱい。やればやるほど楽しい古本屋稼業、これはなかなかやめられない。

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