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2023年9月8日・・・そんな日

※これは、日記です。その日にあった事を小説風に書いている物です。

空は見事な程に曇天である。
それもその筈、颱なのだから。

クーラーを入れずとも、湿気は有るもののちょっとすると寒い程の風だ。
届いたばかりの玉蜀黍を横目に身支度を済ませる。
数本、袋につめて片道1時間半の実家の母に届けようと目論んでいる。

颱なのに…だ。

出掛けは好調だった。
雨も少なくまだ歩きやすい。
電車に乗り、携帯を開いて『台風は大地の浄化のために...』
危うく携帯を投げる所だった。

一馬鹿も休み休み言え一

颱は自然現象だ。
儂も魔法師などと枕詞を付けては要るが、自然現象にまで彼是エセポジティブをかます気はない。

気を取り直して目的の駅に着く。
いささか雨も降り足を早めている気がする。
傘を開いて駅から歩く。
元気な高校生が雨の舞いに諦めたのか、傘を畳んで歩いている。

(風邪引くなよ―。ってか、制服・・・親御さんお疲れさまっす。)

儂も娘2人を嫁に出すまで頑張り育児をした事も、今となっては懐かしい。
育児真っ最中の親御様方のご苦労も少し微笑んでしまう。

そんな育児をし儂を育て切った母の家へ着く。

一ピンポ一ン一
『はぁい?どちら様?』
母の声がする。

『儂一。』

『儂って(笑)』

玄関を開けて母が笑う。
何と平和でよい日だろう。
これで颱でなければ…

玉蜀黍を渡して、母が以前「蓮の実の甘納豆で炊いたおこわ」を送った方が、贈ってくださった物であると伝える。

『あらあら、嬉しいわ』

と、柔らかな笑みを浮かべる。
母は玉蜀黍が大好きなのだ。

それじゃ…と、雨足しが少し強くなった中を仕事へ向う。
そして、帰路の電車の中でこれを認めている。

問題があるとすれば、雨で濡れたズボンがいつ乾くか・・・だろうか。

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