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チームの一員としての役割

表紙画像:https://sport-japanese.com/news/id/24687


突然ですが、試合中にレッドカード貰った事ありますか?

プレイヤーとしてある人は珍しくないと思いますが、ベンチに、しかもスタッフとして貰った事ある人、日本人には少ないと思います。

なぜこんな前置きをしたかと言うと、私がその経験者だからです(笑)

今回は笑ってしまう話と、その時感じたチームの一員としての役割のお話です。


人生初のレッドカード 

まず証拠がこちらです。

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スペイン語が分からない人でもレッドカードが私だと一目瞭然だと思います。

その瞬時の感想は「はいはい、退場しますよ(笑)」です。

そして「勝ったしいいや」です。


当時試合を観ていないたくさんの人から驚かれました。

公式記録では「誰が何分に何をしたか」これしか載りません。

スペインでは監督の審判への抗議が行き過ぎた行為だと退場になる事は少なくないのですが、他のスタッフとなると超特例です。


レッドカードの経緯

はじめに伝えておきます。

決して審判に罵声を与えたわけでも、試合を妨害行為をしたわけでもありません。

いつも通りトレーナーとしてベンチに座っていただけです。

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スコアを見て分かるように、試合は白熱していました。

事件が起きたのは、試合終盤、うちのチームが決勝弾を決めた後…

ホーム戦だった事もあり、かなり盛り上がりました。

選手が喜び抱き合っている時、ボールがコーナーの方へ転がっていきました。

審判が記録をしながらボールの要求をし、ベンチからピッチにボールを入れたのが監督だったビクトル・バルデス。

しかし、コーナーの方へ転がって行ったボールをアップしていたうちの選手が先にピッチに入れたのです。

つまり、本来使っていたボールが先に入って、監督が審判に指示されて入れたボールが後。

次の瞬間、「監督、レッドカード」

ビクトルの行為が遅延行為になってしまったのです。

ええーーーーー?!!となる中、第二監督が「ボールを入れたのは彼女だよ」と私を指差しました。

審判も記録していたせいで誰がボールを入れたか把握しておらず、素直に私にカードをくれました。

その時の審判へのブーイングは忘れません(笑)

ベンチ裏の柵越しに観ていたホルヘという知らないおっちゃんからは「かわいそうに、何もしてないのに」と同情されました。

あの時私を売った第二監督とはその後、別件で大喧嘩し今では疎遠です(笑)


処分を素直に受け入れた理由

人生初のレッドカードで「え?」とはなりましたが、そのまま退場しました。

その理由は、2つです。

試合に勝っていた事と監督を守れた事。


誰でも勝負の世界、勝つためには何でもする(くらいの)気持ちですよね?

真剣にサッカーに向き合った結果、例えカードを貰おうが、交代しようが勝ったあとでは笑い話です。

怪我人も出ず、わくわくする試合展開の末勝ったのだので満足です。


「監督を守る」、これはスタッフ誰もが考える事だと思います。

突っかかって行きそうな監督を引っ張ったり宥めたり、特に感情的なスペイン人監督を他のスタッフが落ち着かせる事はよくあります。

それを分かった上で挑発してくる相手監督や相手サポーターは少なくありません。

実際にスペイン初シーズンで監督退場(4試合登録不可)、第二監督(1試合登録不可)、2シーズン目で監督退場(7試合登録不可)と経験してきました。

馬鹿にしてきた相手監督と喧嘩したり、危険行為を見逃した審判に罵声を飛ばしたりと理由は様々ですが、理由はともかく処分が下ります。

何より「監督が試合のベンチにいない」事はチームとして致命的です。

だからこそみんなが監督を庇います。

私のレッドカードもそのひとつです。


結果、人としてどう振る舞うか

本来のトレーナーという役割を考えたら、このような処分を受け入れる事はありません。

あくまで専門分野での勝負です。

しかしチームに所属している以上、チームの利益(勝利)を生み出さなければなりません。

そのために感情を剥き出しにするスペイン人達を嫌いじゃありません。

そんな彼らがただサッカーだけに向き合える環境を作り出す事もチームスタッフとして大事な役割だと思います。


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