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卒論まとめ編 〜サッカーの試合におけるハーフタイムの体冷却方法の違いが 後半の間欠性持久力に及ぼす影響について〜

特殊な器具を使わなかった理由

前回の卒業論文編に引き続き、今回も有料記事を投稿します。

内容は前回同様上記のテーマですが、前回のはトレーナー(専門家)向けの記事になっていたので、今回は指導者や選手、学生の方々に見ていただけたらなと思います。


この卒論研究をするにあたって私は特殊な器具を一切使いませんでした。

論文研究というと、特殊な測定器具を使ったり、特殊な分析ソフトを使ったりと、専門機関でしかできないようなものが多いです(特にスポーツ分野では)

が、私が使用したものは分析方法に使った統計ソフトSPSS以外は誰でも手に入れられるものばかりです。

理由は、より現場で応用しやすいものにしたかったから。

「うちのチームはお金がない」、

「スタッフが少なくて試合中選手一人ひとり見てられない」、

「選手が自分でできる方法が知りたい」、

そう思っているそこのあなた!いい方法ありますよ〜!(笑)

間欠性持久力とは?

タイトルにある間欠性持久力、そもそも何?って話ですよね。

持久力には大きく分けて3種類あります。

休み無く長い距離を走る全身持久力。

動きの中で短い休息が含まれる間欠性持久力。

短い休息でスピードを回復させる間欠性回復力。

つまり今回テーマとした間欠性持久力とは、「短い休息を挟んで何回スプリントができるか」というです。


緒言及び研究目的

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サッカーは90分間、低強度〜高強度まで様々なレベルで運動を行います。

試合中、選手の心拍数は毎分150〜180拍で、平均運動強度は75〜80%と言われています。

会話ができる程度の運動で毎分120拍なので、かなりハードな運動である事は想像できると思います。

サッカーという競技は常に高いパフォーマンスが求められています。

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2014FIFAW杯ブラジル大会以降、日本サッカー協会はA代表監督にヴァヒド・ハリルホジッチ氏をおき、強化を行いました。

彼が日本サッカーに求めていたものは「攻撃面での縦への素速い突破数の向上、つまりスプリント数(間欠性持久力)の向上が必要だ」と明言しました。

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スプリントを行う際、爆発的な筋力発揮が必要とされ、多くのATPが使われます。

ATPの急激な減少は、体温の上昇やそれに伴う発汗、発汗による水分不足を引き起こし、全身性疲労の原因と言われています。

そのため、スプリントを多く行う現在の日本サッカーは、前半に蓄積された疲労が後半時に残りやすく、この疲労を15分間のハーフタイムで効率よく取り除く事は、後半の間欠性持久力と大きな関係があると考えられます。

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今まで(2015年当時)ハーフタイムで局所冷却と全身冷却を同時間行い、間欠性持久力に及ぼす影響について比較検証した研究は行われていませんでした。

冷却方法の他に、ストレッチやマッサージを行う研究も多くありましたが、私がこの方法を選択した理由は、実際の試合のハーフタイムではミーティングがあったり、場所の関係があったり、このような方法を選択する事は難しいと感じました。

冷却であれば各選手にアイスパックを用意するだけで、時間・場所・その場の雰囲気を邪魔する事なく活用できると思いました。

本研究では、先行研究で実際に効果が検証されていた全身冷却と下腿冷却を同時間行い、さらに比較のため何も行わないコントロールを加え、冷却方法の違いが間欠性持久力に及ぼす影響について比較検証する事を目的とします。

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