中田翔選手トレードについて

 ちな巨な自分ですが、色々と話題沸騰していることもあり、自分の考えを整理する意味でnoteにまとめておこうと考えました。

戦力としての中田翔

 あくまで個人の感想ですが、今シーズンに限って言えば戦力としての中田翔選手は不要だと考えています。この記事を書くにあたり調べてみたのですが、予想していたよりも酷い成績でした。

中田翔選手(32)
打率:.193 得点圏打率:.161 出塁率:.273 長打率:.304
本塁打:4 打点:13 OPS:.577

 といった具合で中田翔選手の出場登録に合わせて抹消された北村拓己選手と比べると

北村拓己選手(25)
打率:.247 得点圏打率:.231 出塁率:.321 長打率:.397
本塁打:3 打点:10 OPS:.718

 本塁打、打点を除けばすべての成績で北村拓己選手の方が優れています。年齢による伸びしろを加味すれば北村拓己選手を落とす理由は存在しないと言っても良いでしょう。
 また、守備についても一塁手専門(2015年以降はほとんど一塁手)の中田翔選手に対して北村拓己選手は一塁手として11試合、二塁手として25試合、三塁手として1試合に出場するなどある程度のユーティリティ性を発揮しています。

 確かに2021年の巨人において一塁手を固定できていないことは大きな問題になっています。三塁手には岡本和真選手(91試合)、遊撃手には坂本勇人選手(65試合※ケガによる離脱あり)はもちろん、長年固定できなかった二塁手でも吉川尚輝選手(51試合)がケガがなければ君臨しつつ、バックアッパーとして前述の北村拓己選手、若林晃弘選手(25試合)がしのぎを削っています。
 一塁手は最多出場がウィーラー選手(31試合)、中島宏之選手(31試合)が最多となっており、出場選手も最多の10人と固定できないことが明らかです。よって、その点において中田翔選手の補強には復活が前提とはいえ、一定の効果が期待できる、という意見もあるかもしれません。
 しかし、実際のデータを確認するとウィーラー選手のOPSは.885であり中島宏之選手は.814になります。中田翔選手のOPSはキャリアハイが.932(13年)ついで.817(15年)と.811(20年)になります。.8を超えた年もレギュラー定着後の11年からの10年間で4回しかありません。
 39歳の中島宏之選手、34歳のウィーラー選手の後継としては32歳の中田翔選手は年齢が高すぎるとは思います。現状ではウィーラー選手を基本にしつつ、調子を見て中島宏之選手や若手にチャンスを与えるという路線で問題ないかと思います。

選手更正としてのトレードの是非について

 さて、長々と書いたので次に移りたいと思います。そもそもの発端として中田翔選手のトレードは日ハムから提案されたものであることがうかがえます。

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 日ハムについては、栗山英樹監督の長期政権が続いており、環境に変化を与えるという点において更正が難しいという判断でしょう。ただ、一方で色々と問題を起こしている巨人がきちんと更正が出来るかについては疑問符が浮かぶところです。
 日ハム野手陣で中田翔選手よりも年長なのは鶴岡慎也選手のみであり、そういった意味で巨人の方が年上選手が多く抑えが効く、と思いたいところです。
 また、原辰徳監督もWBCなどでスター選手を束ねることに実績があったりなどいや、本当に頑張ってほしいですね。

球団としての是非~巨人と日ハムについて~

 まず、大きな問題としては、暴行という犯罪行為を起こした選手を雇うことの是非です。発覚時点で日ハムは無期限出場禁止処分を下しています。また、球団発表によれば被害選手との和解は済んでいるとのことです。

 問題視されているのは、日ハム首脳陣及び経営陣含めた『日ハム』の中田翔選手の会見がなかった点です。仮にも球団のスター選手が不祥事を起こしたのであれば、ステークホルダーに対しての説明はあってしかるべき、と考えられるためです。また、COVID-19に関する特例処置としてトレード期間が8月末まで延長されているにも関わらずこの時期にトレードを行ったことで謹慎処分が短すぎるのではないかというのも批判点の一つです。
 この点においては、被害者との隔離という点が大きいのでしょう。よく学校などでいじめなどが発生した場合、転校させる処置などがありますが、それに該当すると思います。
 謹慎処分解除については、トレードを行うことで所有権が巨人に移り、年俸負担が巨人になるためだと考えられます。70しかない支配枠を使って出場できない選手を獲得するのは大きな負担となるからでしょう。

 自由契約という選択肢もあるとおっしゃる方もいるかと思います。自由契約選手となった際には残りシーズンの全試合に一切出場できなくなり、他球団との契約はシーズンオフの12球団合同トライアウト以降になるという問題点があります。つまり、どの球団にも所属していないという状態が約3か月前後続くことになります。その間、誰にも監督されないため、これを避けるための処置でしょう。

 以上の情報を整理すると加害者、被害者ともに日ハムの選手であることを鑑みて双方の未来を考慮すれば割と妥当な判断なのではないかと感じました。やはり問題としては、こういった諸事情の説明が怠られており、多くのファンが理解していないことなのだと思います。

 では、巨人サイドの対応についてですが、問題となりうる点としては多くのファンから禊が済んでいないと判断されるであろう中田翔選手を獲得する是非、その中田翔選手を即起用する是非、無償トレードで獲得することの是非が挙げられるでしょうか?
 獲得の是非は前述の理由により、妥当であると考えます。自分が調べた限りの現行のプロ野球規則においてはこの落としどころが限界なのかなと思いました。
 起用の是非については、あくまで私見ですが、もう少し開けてほしかったというのが本音になります。もちろん、中田翔選手を獲得した段階で年俸負担が発生するため、問題ないのであればすぐに起用するべきだという意見は理解できます。しかし、ファンの納得が得られない可能性が高い状況であれば、その分の年俸を無為にするくらいの覚悟があってほしかったと考えます。その上で原辰徳監督の任期が今シーズン限りであることを考えれば今シーズン以降はどうするのか、という問題も付きまとってきます。
 無償トレードという形をとったことで強奪との批判もありますが、やはり球団間の合意であるため、多く語ることはないと考えます。フリーエージェント移籍を含めて正式に規定されているルールに則っている移籍を強奪とかいうのは個人的に嫌いです。

まとめ感想

 さて、この記事を書いている段階で中田翔選手がDeNA戦に出場し、四球、センターフライの成績を残しました。北村拓己選手を抹消してまで登録したことについてはやはり疑問符は浮かびますが、高校時代から素晴らしい活躍をしてきた中田翔選手の復活はやはり期待してしまうところです。盛大な手のひらクルーをしてしまうことに期待して筆を置くこととします。

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