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【議事録】第6回「あなたにとって日本文化とはなんですか」

 第6回の簡易議事録になります。

東京五輪で問われた日本文化

参考資料1:開会式ハイライトNHK

参考資料2:東京五輪PV(2016年リオ五輪閉会式)


日本人としてのアイデンティティはなにか?

・日本人は「あなたのアイデンティティは何か」と聞かれて答えられない人が多い
・方言程度の違いはあるが、あくまでも「日本人」であることに変わりはない
・「文化」には色々な階層がある。価値観、美意識、伝統文化等。正しいかどうかを話す場ではない
・本質的に大切にしたいことは何か

季節に関わる伝統文化

・パッと出てくるのは伝統文化。着物、食物等、衣食住に関わること。
・自分が説明できるとしたら捕鯨。
→共通点は、「自然」や「季節の移ろい」を取り入れていること。
 季節のものを使う料理や、文様等

歴史とのつながり。そして、神

・日本文化=日本の歴史であり、人がどうやって暮らしてきたか
→それぞれの土地に神様がいる、ということが日本文化を象徴的に表している
 自然・稲作を起源とする宮中行事が多かったり、海運を司る神様が祭られていたり。

日本の神はなぜ生まれた?

Q. 生活と神が繋がるには何かが必要なのでは?生活するだけでは「神」は出てこない
→災害が多く(台風、土砂崩れ、地震)、かつ木造建築が中心。大方の文化遺産は一度は壊れている
→自分たちではどうにもならないことがあるということが自覚されやすかったのでは。
 生活の中の不条理が神という存在を通して納得されてきた

科学技術を受け入れた文化。アニメ・マンガも日本文化

・戦後の文化:テクノロジーの発展=土着の文化にしばられずに発展できた
・「科学」と「宗教」という2項対立が日本にはない
・アニメやマンガも文化として認めていきたい
・文化を維持する貨幣コストが必要な中で、コンテンツ力があり、日本が世界に先立っていることを文化としてサポートしていくことが重要?

科学信仰と超人的なキャラクターの人気は矛盾してないか?

Q. 日本のアニメは超人的なものを描いていることが多いと思うが
・日本・科学VS宗教が体現されている

日本は食文化が特徴

・文化と聞いて思い浮かぶのは食文化
  いろんな国の食文化が現在日本にはある
・おもてなし 水資源が豊富、  だけれども、日本の食文化という基盤があるからこそいろいろ受け入れられたというところがあるのでは?

ならば、なぜフードロスが多い?

・フードロスと「もったない」精神の矛盾・食品ロス
・食品は工業製品とは違って安全に美味しく食べられるかどうかが重要なので、賞味期限が設定されていたり、賞味期限の残存期間で商品を納入できるかが決まるという商的慣行があったり、見かけが重視されて規格外のものは販売されにくかったりする
・システム、科学、合理的なルールに対して潔癖と言えるほど守ろうとする


文化がないことが文化?

・文化がないことが文化?
・西洋から車が入ってきて、それを海外に輸出できるまでに成長産業とした

何もないから発展した?

Q. 何故日本でそれが可能だったか?
・「車」文化がそれほど固まっていなかったため、既存の大きな車ではなく、
 新しい小さな車が提案できた
→普通の国にあるものがない国だからこそかもしれない。ガソリンが取れないからこそ、小さい車でいいじゃない、となる。

基本があるから受け入れられる

「基本があるから受け入れられる」
・平仮名、カタカナ <ー 漢字を崩している

中国には道がないが、日本にはある

・中国は茶道がないが、日本は「道」が多い
・箱庭の文化:整えて美しくする、何でも受け入れて自分たちのものにしてしまう
・「Fry」という文化は日本固有
・基本がしっかりしているからこそ、単なるマネではなく、革新的にrenovationできる

文字の多様性も重要では?

・平仮名、カタカナ、漢字、と文字の種類がとても多様だからこそ、豊富な名前のつけ方ができる
・「私」「わたし」「ワタシ」書き方は違うが、日本人だったらある共通の感覚が共有できるはず
・他の文化を崩したり、組み直したりすることができる
 ←災害が多かったため?

・漢字は自然に即している
・「深雪」 Deep snowという名前はあり得ない

・西洋の名前は神様の名前が多

表現の豊かさ

・翻訳家に聞いた「日本の言語には訳しきれない言葉が多い」
・特に「花」は訳しきれない(直訳しても伝わらない)
・雪月花、四季、自然現象が根っこにある

・日本は色が多い(表出しているもの)
・自然と共生している
・チューリップ、つばき、梅の赤はそれぞれ違う

現代日本が自然に根ざしているかは疑問

【自然と自分との距離感】

・現代人の生活に根差しているか、というところは疑問。
・車が多い→かつては名称が自然を体現していたと思うが、それが感じられない
・システムに対するこだわり:
 どこでも行けるようになってしまったからこそ、自然はテーマパークの中のものとして
 捉えられるようになっているのでは。

日本文化の本質は変わらないはず。ではどこに?

・日本文化の本質があるとすると、自然が失われたとしてもそれは残っているはず。
・技術:とても細かく作りこむ、というところに反映されている?
・外界から自分たちを区切り、その中で完壁を目指すしていく姿勢に表れているのでは

・霧、もや、霞が区別出来ない人が増えている:自然から隔絶されて都市に暮らす人が増えている

日本的なもののテーマパーク感

・「テーマパーク感」に共感。
・着物や和食、自然に毎日接していないにも関わらず、それが「日本文化」として認識されている
 ←声が大きい人がそれを「日本文化」として提唱していて、そういう環境の中で自分が
  生きてきたから、それらを日本文化として考えているのではないか。
・時代と場所、どこまでが「日本文化」の区切りとなるかは本来曖昧なもの
・歌舞伎は局所的なものだったが、今では全国的に文化とされている

日本は閉鎖している時に文化が花開く?

Q. 閉鎖性:周囲を遮断して完成度を上げていく
→外の文化から一度何かを取り入れた後は、とことん自分たちの求めるところを突き詰めている

・「閉鎖性」は的を射ている:外から刺激が入ってきて、時間が経つとそれが国内で調整されていく
・歴史的にも、閉鎖して、突き詰めて、というところが繰り返されているように感じる

小説の黄金期は平安と江戸

日本が鎖国していた期間は歴史的に2回
・平安時代と江戸時代:『竹取物語(世界初のSF)』
・曲亭馬琴、井原西鶴ら
・閉鎖、開化が繰り返されていることが日本文化においては重要かもしれない

多神教の国

日本は多神教:全てに神が宿る
・イスラム教、ユダヤ教、イスラム教は全て神が上で人は下。
・日本は神と人が同列


・職人技:細部に神が宿る
・世界を創った神VS科学、という対立が生じない
・神的な技術を追求しやすい状態だった

自然との共生と多神教

・自然と共生するからこそ多神教という考えが生まれてくる
→「自然」を忘れていないのでは?
→明治以前は忘れていなかったと思う:例)石見銀山…自然と共生する形で、資源を枯渇させず採取する方法がとられていたことが世界的に評価されている
⇔明治以降は自然と共生し得ない技術が導入されているが、思想的には自然と共生し得ると考えている人が多い?消化不良な状態、文化として開ききっていない

変わらないもの

・表出している文化(見えている形)が変わってきているだけであって、
 その根底では変わらない何かがある
・開国している間は表面上で変わっていっていることは確かだが、それは当然

バブル期は実質的に鎖国していた

・3回目の鎖国:バブル前は輸入したいものだけ入れて、輸出したいものだけ出していた

・明示的に示すことを良しとしない

・開放的にあって飽和した後は文化としては弱くなる
・過渡期に新しい文化が出ない

次の時代の日本文化を見極めたい

・昭和が良かった、という必要はなく、次の時代の文化を考える重要な時期にある
・何故、私たちは着物にノスタルジーや憧憬を感じるのか
・日本文化の本質を見極めることが一つのゴール

陰謀論好きの日本人

・科学が絶対とされる中で、なぜ日本人は陰謀が好きなのか?
・各要素ごとに体系化されていて、他の要素で正しいとは言えないということがある

「これは日本文化だ」と主張しなくていい日本人

・これは日本文化だ、と言われて納得できるものは何かあるか?
→たまたま日本に生まれただけで、日本人として、日本文化として誇りたいものがあるとは言えない
・日本人は自分たちの周囲と違いを見つける必要性がないからこそ、文化を明示する必要性を感じていない

・あなたは日本人か、という問いに対して、そうだ、というだけでOKだったのが、
 グローバル社会・多様性という概念が持ち込まれたことで、言葉にする必要が生まれてきた

外国との比較の重要性

・外国と日本の比較
・「自由」な校風の中で個性が求められていたが、
 それで言ったらあまり賢くない学校の学校の方が規則を守らないという点で自由なのでは。
・他と比べて自由だと言いたいとき、どうすれば良いか

五輪の開会式は日本文化か

何が日本文化で、何が違うのか?何故、開会式を見て「日本文化ではない」と思ったのか

・表出しているものだけが文化であって、根底にあるものは見えない、
という人しかいない状態が続くと、「日本人」って何?という問いに答えられないまま
グローバルな世界に突入していくのでは。

開会式は日本的ではあった

・日本といえば、というものをツギハギした感
・カタカナ語を多様
・権威が決めたものを多数派が受容したら、それで日本全国を染め上げる
→開会式はある意味「日本的」だったのかもしれない

・中央集権的な日本文化があるわけではなく、皆が接続している雰囲気があるのでは。

ストーリーと日本文化

・2016年のPVは内容はほとんどないが、ストーリーがあった。
・「日本ってこういうものだ、と世界は思っている」というものを上手にまとめていた。
・日本はストーリーの国であり、美意識の国
 →パラリンピックの開閉会式が評価されたのは「ストーリー性」があったためでは。
・文化に対して高い「リスペクト」を示す国
 →オリンピックの開会式を見て、「警鐘」がなったのでは。

日本文化とグローバル化

グローバル化している中で、ダメな時だけ警告・警鐘が鳴るようではダメで、
「日本文化とは何か」を言語化しなければいけない。
・文句(これは違う)しか言えないのが現状

・言語化しないことが文化、言葉よりも行動で示せ
・「男は黙ってサッポロビール」

次回のテーマ

次回は何を文化として守っていくか、を考えられる段階まで議論したい

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