連載小説「出帆の時は来た」 第3回
龍之介は、ジーンズの左の前ポケットには、日頃使用しているコワーキングスペースのセキュリティーのリモートスイッチを、右の前ポケットには腕時計型のウエアブルデバイスを入れていた。「オールドファッションド」な彼には、身体に何かを装着することは、鬱陶しいことだった。
すでにこの週の営業を終えていた対面のコンサルティング旅行サービスが面している仲通りから、1ブロックほど移動して大通りに差し掛かると、龍之介は、その腕時計型ウエアブルデバイスをジーンズのポケットから取り出し、ロボタクシー