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独断と偏見インド映画紹介(2)

 独断と偏見インド映画第2弾です。

 前回は、「大娯楽作品」と「胸に来る作品」をご紹介いたしました。

 今回は以下のものをご紹介いたします。

インドの教育を少しだけ垣間見る(3作品)

 インドは学歴社会。また、英語が出来ることがステータスシンボルでもある。

 私の勝手なインドに対するイメージだが、インド人は皆英語が出来るものと思っていたた。ところが、色々映画を見ていると、どうもそうでもないらしい。英語が出来ないことを引け目に思っている描写などがあったりする。

 色んな映画からインドの教育事情がほんのり伝わってくるが、そんな中でも主題が英語や教育制度に関するものを選出。

 映画で描かれていることが全てではないけれど、日本と違うところ、日本と変わらないところなどを感じる体験ができるかと。


★マダム・イン・ニューヨーク

 不朽の名作と言ってよい作品。故シュリデヴィの品の良い美しさとキュートさ、思わず主人公を応援したくなるストーリー展開が秀逸。ヒンディー語映画。

 主人公シャシは姑と夫、娘に息子の五人家族の専業主婦。特技はラドゥ(インドのお菓子)作りで、ラドゥを作って知り合いに売ってお礼を言われるのが楽しみ。しかし、夫は彼女の献身を顧みず、英語が出来ないことから娘には「恥ずかしい母親」と思われ卑下されて、不満や悲しみが募る。

 そんなとき、アメリカに住む姉の娘(姪)が結婚するので準備に来てほしいと頼まれ、英語のできないシャシひとりが家族より先にアメリカに行くことに。そこで、一念発起して英語を学ぼうと決めたシャシの物語。

 見どころは、「英語が出来ない」という事を使って、良妻賢母を求められ、抑圧され、その献身を顧みられることない専業主婦の悲哀を見事にあぶり出し、「英語に挑戦する」ことをもって彼女が自信や尊厳をつかんでいく過程が見事なところ。インド映画と言う枠を超えて全ての人に見てほしい1本。

 Google Play・YouTube・Netflix・Amazonプライムビデオなどで配信中(2020年3月15日現在)


★きっと、うまくいく

 こちらも不朽の名作。インドの国宝、ミスター・パーフェクトのアーミル・カーン主演作品。インドの激しい学歴社会を基に教育とは何かと言う事を娯楽映画としてなぞ解きを交えながら、楽しく時に悲しく見事に描き切った作品。ヒンディー語映画。 

 主人公ランチョーは大学を卒業して以来、大の親友だったファルハーンやラージューとも連絡を取らず消息不明になっている。居なくなった謎を追いながら、二人はランチョーとの楽しくはちゃめちゃだった大学生活の素晴らしき青春時代を思い出す。

 見どころは…見てくれ!としか言えない。

 非常に完成度が高く、だれが見ても感動すると言えるだけのものを持つ、マダム・イン・ニューヨークと共にインド映画という枠を超えた作品。

 Google Play・YouTube・Amazonプライムビデオなどで配信中(2020年3月15日現在)


★ヒンディー・ミディアム

 「スラムドッグ・ミリオネア」の警部役や「めぐり逢わせのお弁当」の主役など、渋い役のイメージのあるイルファン・カーンのコメディ作品。ヒンディー語映画。

 デリーに住む主人公夫妻の夫ラージと妻ミータは下町のお金持ち。金銭的に成功してはいるが妻ミータは学歴コンプレックスで、娘のピアを富裕層の良い学校に入れ、上流階級に入ることが娘の為だと思っている。そのためにお受験塾の門を叩き、ハイクラスの住宅街に引っ越して富豪のふりをしたりとできることは全てやっても結果は不合格。そんなとき、貧困層に対する特別枠で受験すれば合格を勝ち取れるのではないかと言う情報を夫妻は得て…。

 見どころは、個人的には渋イケメン俳優だと思っていたイルファン・カーンのコメディ演技。おもしろい。上手い。作品として先の2作品に負けないだけの完成度もある。コミカルで面白いながらもインドの教育制度と貧富の差について思いを馳せることができる。

 実はまだDVDが発売されていないので、現時点(2020年3月15日)では見られない(名画座などで上映があれば見られる)が、DVD発売予定があるのでAmazonのリンクを下記に。4月8日発売。

 レンタル開始もDVD発売と同時なので、それ以降なら配信もあるかもしれません。


時代劇(3作品)

 インド映画の何をもって時代劇と言うのか、と言われると悩むところだが、ここでは「架空の古代インドの物語」と言うくくりにした。


★バーフバリ 伝説誕生

 日本で「ムトゥ」以来のインド映画大ブームを起こした「バーフバリ」の前編。プラバース主演。テルグ語映画。

 滝の下の村で育った青年シヴドゥは、なぜか子供の頃から滝の上に行くことに挑戦し続けていた。ある日、シヴドゥのもとに美しい女性の木彫りの面が滝の上から落ちてくる。彼はそこから天女を夢想し天女に導かれて滝の上に到達することに成功する。そして、滝の上で木彫りの面に似た美しい女性アヴァンティカに遭遇。運命に導かれ、彼は自分の出自を知ることとなる。

 見どころは…作品好きすぎて「全部!」と言いたい。後編と合わせて紡がれる壮大な親子の復讐劇は圧巻。後編だけ見ると、主人公はシヴドゥの父アマレンドラ・バーフバリのようにも思えてしまうのだが、前編の本作を見ると筋的にはシヴドゥが主人公であることがわかる。壮大な、と言う言葉を付けるに躊躇しない壮大なストーリー。

※配信・DVDでは国際版と言うシーンをカットして短くしたものしか見られません。テルグ語完全版は劇場上映のみ見ることが出来ます。

 Google Play・YouTube・Hulu・Amazonプライムビデオなどで配信中(2020年3月15日現在)


★バーフバリ 王の凱旋

 空前絶後のインドブームを巻き起こした「バーフバリ」後編。プラバース主演。テルグ語映画。

 前編に引き続き、マヒシュマティ国の過去の話をマヒシュマティ国王の奴隷・カッタッパから聞かされるシヴドゥ。国を脅かすカーラケーヤの戦いの功績により、国王に指名されたアマレンドラ・バーフバリ(プラバース2役)は諸国漫遊の途中で美しくも強い王女に出会ったところから、一緒に育った兄(従兄)の姦計にはめられてしまう。バーフバリはどのようにして兄バラーラデーヴァの姦計に嵌められたのか?シヴドゥの運命は?

 見どころは、兄(従兄)バラーラデーヴァ(ラーナー・ダッグバーティ)のバーフバリを嵌める見事な策略。完膚なきまでに悪。徹頭徹尾一貫して悪。いっそ清々しい。美しく強い王女デーヴァセーナ(アヌシュカ・シェッティ)の凛とした美しさ毅然とした態度も良い。前後編あわせて主役・脇役・端役に至るまでキャラクターが立っていて素晴らしい。

※配信・DVDでは国際版と言うシーンをカットして短くしたものしか見られません。テルグ語完全版は劇場上映のみ見ることが出来ます。

 Google Play・YouTube・dTV・Amazonプライムビデオ・Netflix(ヒンディー語版)などで配信中(2020年3月15日現在)


★マガディーラ

 バーフバリの監督、S.S.ラージャマウリ監督による叙事詩。バーフバリの前に作られたバーフバリの原点、と言う事で日本での上映が熱望され、監督自ら日本向けに編集した。ラーム・チャラン主演。テルグ語映画。

 主人公ハルシャはトップクラスのバイクレーサー。ある日偶然指先が触れた女性から不思議な感覚を得て彼女を探す。実はハルシャと相手の女性インドゥは400年前に結ばれることのなかった恋人同士だった。そして、転生していたのは彼らだけではなく、敵の非道なラナデーヴもラグヴィールとして転生していた。彼らの過去に何があったのか、そして転生した恋人たちは再び結ばれることが出来るのか。

 見どころは、転生前と転生後の流れが非常にわかりやすく混乱しないストーリーになっているところ。上手い。S.S.ラージャマウリ監督作品の悪役はどうしてこうも胸糞悪くなるぐらい徹底して悪いのか。そこが、また魅力でもある。

 Google Play・YouTube・Amazonプライムビデオなどで配信中(2020年3月15日現在)


 以上6作品を紹介いたしました。全て思い入れの強い作品なので書くのに非常に悩みました。何をどうかいても自分の受けた感動を表現できていないので。本当にどの作品も「とにかく見てほしい」と言いたいです。

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