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虫の知らせ1

虫の知らせを経験したことがある。
遠い昔、好きだった人の。

そろそろこの体験は手放したい時期に差し掛かっている。
手放すには人に話すのが一番だと思うのだけれど、この手の話は夫には話せないし、友人に話そうにも話す相手を選ぶので、なかなか話せない。
なので、noteでご紹介しようと思う。



はるか昔、中学生の私には好きな人がいた。
相手は同じ吹奏楽部に所属していた男の子。
合奏とかミーティングで集まるたびにもう気がつけば目で追ってしまう感じの初々しくも、初めてはっきりと好きだと認識した相手だった。


ただ、告白する勇気が出ないまま卒業式を迎えてしまい、彼とは別々の高校に進学した。


高校に入ってからも夏休みの花火大会や同窓会のような集まりでたまに会う機会があったものの、次第に疎遠になってしまった。


彼はその後、関東の大学に進学した。
私は関西に残った。


それから随分と月日が経ち、30代になった。
ある時、ふと彼のことを思い出すことがあった。


風の便りで、彼は大学を中退し、某アパレルメーカーで働いているとのことだった。


が、その後どうしてるんだろう。


彼の現在が気になった。 
いや、彼の現在を知ったとて、そのあと彼とどうこうなりたいとも考えてなかった。
ただ、シンプルに彼の現在が気になって仕方がなくなった。


とはいえ、彼は一般人なので、調べようがない。同じ部活仲間の友人に彼の消息を聞こうとも思ったけど、彼への想いは誰にも打ち明けたことがなかったし、今さらなんで?と聞かれてもどう答えたら良いか分からなかったので聞けなかった。


悶々とする日々が3ヶ月くらい過ぎた時、同じ部活仲間の友人から、連絡がきた。

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