言ってみたいが出番が無い日本語

世の中には、たくさんの魅力的な日本語表現が存在する。しかし、日常では出番の無いものも多々存在する。今回は、それらの日本語をここで紹介し、使っていこうと思う。


毒も食らわば皿まで

広辞苑を見ると2つの意味があるようだ。1つは「一度罪を犯した以上は、ためらわずに最後まで悪に徹しようとすること」、もう1つは「いったん面倒なことに関わってしまったからには、最後まで関わり抜く」という意味だ。日常で起こりうるとしたら、後者の方が可能性は高いだろう。しかし実際に言ったことは無い。面倒なことには関わりたくないし、最後まで関わり抜いて良いことがあるのかは甚だ疑問だからだ。ただ「毒を食うなら皿まで食ってやるよ」という強気の精神は好きだ。私には無い心構えなので、憧れである。

事の仔細を確認しよう

「仔細」とは詳細のこと。ここでピンと来た人もいるかもしれないが、何らかの"詳細"を確認しなければならない状況になった時、我々は普通に「事の詳細を確認しよう」と言えば済むのである。わざわざ「仔細」に言い換える必要は無い。ただ「事の/"仔細"を/確認/しよう」の方が語のリズムが良い。「3・4・4・3」のリズムが「声に出して読みたい」気持ちを高めるのである。

すべからく

「すべからく」は「べし」とセットで使うことがお約束である。「すべからく」自体はとてもかっこいいが、「当然○○すべきだ」という強めの言葉であるため、あまり言う場面が無い。そもそも世の中で断定できることなどほとんど無いからである。このように一見ふわっとした情報が溢れる世界だからこそ、「○○すべき!」という断定口調の情報を目にした時、それが根拠に乏しかろうと「断定して言った=正しい」と思いこんで飛びつく人がいるのだろう。それが間違った情報だと発覚した時に「あの時ハッキリ言っていたのに!」と詰められても私は責任を取れない。と、言うわけでなかなか気軽に「すべからく」を使うことが出来ないのだ。

毀誉褒貶

「きよほうへん」と読む。漢字の通り、「褒めることとけなすこと」という意味である。学生時代に四字熟語を勉強した時に見かけ、「ほうへん」の間抜けさがかわいいななどと思っていたのだが、同時に「使いどころいつ?」という疑問も湧いていた。実際に使われていたのを1回だけ見たことがあるが、どこだったか忘れた。1回くらいは日常会話で「マジ毀誉褒貶じゃ~ん」とか言ってみたいが、普通に意味が分からないし、どんな場面か想像も付かない。このような理由から、やはり出番の無い日本語だと言える。


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