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宮中晩さん会


皇室取材余話【5】宮中晩さん会

2017年5月9日

  天皇・皇后両陛下主催の宮中晩さん会が、先月国賓として来日したスペイン国王をお迎えして、皇居・宮殿の豊明殿で、格調高く開かれました。
 外国から日本政府が費用を負担して要人をお迎えする場合にはいくつかの枠組みがあります。各国の国王や元首が対象となる場合は「国賓」。皇太子や首相が対象となる「公賓」。よりビジネスライクな「公式実務訪問賓客」などがあります。現在、日本では1年間に国賓は2件、公賓が2件、公式実務訪問賓客が7件程度となっています。このうち両陛下主催の宮中晩さん会が催されるのは国賓のときのみです。


 宮中晩さん会のドレスコード。相手国が王室の場合、「ホワイトタイ」という正礼装となることが多いです。もちろん相手国の意向も反映されます。先月のスペイン国王夫妻の際には「ホワイトタイ」でした。「ホワイトタイ」の場合、男性は燕尾服。女性は襟が深く開いたローブ・デコルテなどの、丈の長いイブニングドレス。女性皇族はティアラ着用し、男性も女性も勲章をつけています。


  さて、同じ国賓でも、王室ではないときや先方の希望などで、「ブラックタイ」で宮中晩さん会が開かれることもあります。この場合、男性はタキシード、女性はセミイブニングドレス。勲章やティアラの着用はありません。

  去年11月に行われた、国賓のシンガポール大統領の宮中晩さん会はブラックタイでした。スペイン国王の宮中晩さん会と比べるとずいぶん印象が違います。
 卓上の花は相手国に合わせて変えています。スペインのときは赤と黄色のバラの花。シンガポールは赤と白のバラとカスミソウでした。相手国の国旗の色をイメージした花が飾られるのだそうです。
 ところで、天皇皇后両陛下が国賓として海外へ訪問されたときの晩さん会はどんな様子でしょうか?


 今年3月にベトナムご訪問の際の晩さん会の映像を見てみましょう。ベトナム国家主席夫妻主催の晩さん会は中華料理のような丸テーブルでした。

ドレスコードは、男性は略礼装、女性は民族衣装の「アオザイ」でした。これに合わせて、天皇陛下はスーツにネクタイ、皇后さまは着物姿でのぞまれました。民族楽器の演奏もあり、アットホームな雰囲気でした。

晩さん会にもお国柄が表れます。

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