2022/10/9 リコリコとサイバーパンクと水星の魔女の話

サボり癖が重なって結局4か月ぶりの更新になった。今回は最近見たアニメの話。ちょいネタバレ含む。

前期話題になっていたリコリス・リコイルを観た。7月からかなり話題にはなっていたけれど当時はなぜか観ていなかった。ついったのタイムラインに出てくる「リコリコ難民 集団幻覚」「リコリコ 14話」というワードが気になってふと観てみたらいつのまにか最終話になっていた。思いのほか面白かった。

舞台は現代の東京。犯罪が表沙汰になる前に被疑者を殺害し日本の治安を守るエージェント、リコリスの物語。リコリスを操る機密組織「DA」、才能を持つ子供たちを支援する「アラン機関」やら色々な連中の思惑の渦中でリコリスの少女千束とたきなが百合百合する。

テロリストとして登場する真島とかいうやばい男がなかなかいいキャラしている。「バランスを取ること」が使命で、DAによって表向きクリーンとされている日本社会を混沌に陥れようとする。真島の使命が具体的に明かされていないタイミングで彼がスマホをビルの細い柵の上に器用に立てたのは彼の使命をほのめかす演出として上手いなと思った。真島はアラン機関に選ばれたアランチルドレンで、選ばれたのは異常なほどの聴覚の良さによるものと思うけれど、彼の使命である「バランスを取ること」との関係性は結局なんだったんだろう。聴覚⇒均衡というのが繋がらない。真島のバックボーンは詳しく知らないけれど、アランチルドレンが認識している使命は必ずしもアラン機関のものとは一致しないというだけかもしれない。考えてみれば、殺しのスペシャリストとしてアラン機関に才能を見込まれつつも最後まで決して人を殺さなかった錦木千束が良い例。

アドリブ?的なセリフの掛け合いと千束とたきなの関係の尊さが今作の一番の魅力だと思った。野良イッヌってなんだよ野良イッヌって。リコリコ喫茶パートは可愛さとコメディが詰まって良い。あと、最終話もよかったけど3話もよかった。千束がたきなを抱き上げる回は間違いなく良い回。リコリコが百合かどうかというのはネットで議論があるようだけど、とにかく千束とたきなの関係は非常によき、でした。


サイバーパンク:エッジランナーズを観た。制作はキルラキルやプロメアのTRIGGER。コンシューマーゲームで2020年末に発売されたサイバーパンク2077の世界が舞台。ゲームが発売した頃に制作が発表されたのをよく覚えている。

NETFLIXの配信限定というだけあってエログロ描写容赦なし。個人的にグロ体制は低い方だが(具体的には『ムカデ人間』が観れない)、TRIGGERの絵柄のせいか普通に観れた。表現に手心を加えない堂々とした作風のおかげか、なんか海外でも高い評価を受けているらしい。

面白かった。スラムみたいないかれた街でひもじい生活を送っている少年デイビッドが、家族を奪われ多額の借金を背負わされて社会のどん底にまで落ち、一端のギャングとしてサイバーパンクの暴力の世界にのめり込んでいく話。ボーイ・ミーツ・ガールでもあり、とびっきりのバイオレンスでもある。油断すれば蜂の巣、裏切りなんて日常茶飯事のやばい世界なのに、根っこの倫理観だけはまともさを保っているデイビッドとルーシー(ヒロイン)の関係性が美しい。バイオレンスなのにロマンチックなんだぜ、、何言ってるかわからないだろ?

ゲームを買えば最新のアップデートで憎きアダム・スマッシャーをぶち殺せるらしい。エッジランナーズのラストを観た後じゃ、あいつを木っ端みじんにするために衝動的にサイバーパンク2077を買ってしまう人の気持ちもよくわかる。


百合婚ガンダム、間違えた、機動戦士ガンダム水星の魔女を2話まで観た。ついにOPとEDが公開された。EDの「君よ 気高くあれ」を歌うシユイさんは今回メジャーデビューされる方らしい。作曲がryo(supercell)で、たしかにサビにsupercellみを感じてめちゃくちゃ好きだ。

世間では百合ガンダムだのと騒がれているが主人公のスレッタとヒロインのミオリネの関係はまだまだ浅い。ミオリネは1話の婚約エンドを経ても変わらずツンケンしていてスレッタに気はなさそう。でも、気がなくても放っておけないのかスレッタを気遣う描写も見られ、いい感じに二人の関係性が構築されつつある。プロローグで明かされた彼女達の家の暗い過去、OPでミオリネが見せた涙が今後の最高の曇らせ展開を示唆していて3話以降も目が離せない。

今作のガンダムには搭乗者の体を滅ぼすガンド・フォーマットなるものが搭載されており、存在自体が禁忌とされている。でも、ガンプラのラインナップを見る限りガンダムの証であるシェルユニットを持つ機体がかなりあるんだよな......(ダリルバルデ、ベギルペンデ......etc)。2話を見るに今後他の企業にガンダムの技術が開示されて血で血を拭う企業間抗争が勃発してしまうんだろう。宇宙世紀でもアナハイム・エレクトロニクスが同じことをやっていたよな、、死の商人はほんとどの世界線に行ってもダメ。

今月発売のNewtypeの特集を読んだら、水星の魔女は若年層を取り込むために色々と試行錯誤して今の形になったとのこと。女の子が主人公、舞台は学園とたしかにガンダムにしては新しい試みをやっている。水星の魔女が上手いのは新しい試みと従来のガンダムのエッセンス(凄惨な戦争ともいう)を上手く織り交ぜているところだと思う。1話だけ観たのとプロローグを観たのとでは水星の魔女世界の解像度が全然違う。王道ラノベを感じさせる学園パートと血生臭い戦争パートを両立させて新規と古参の心を掴もうとする制作陣はすごいことをやっていると思う。

しかし水星の魔女のキャラクターはほんと可愛らしいな、、スレッタ然りミオリネ然り、いやらしさを一切感じさせないデザインがなお尊い。男キャラも男前で強引なグエル、大人びた雰囲気のシャディク、王子様なエランと女性向け恋愛シミュレーションに必要な三拍子が揃っているので案外女性ファンも増えるんじゃないかと思う。今のところはキャラクターの仕草だけで癒しになるのだけれど、可愛らしい絵柄に油断してはいけない。多分水星の魔女が「ガンダム」だと気付かされる瞬間は1期の八合目にさしかかったあたりで訪れるのだと思う。本作の脚本を務める大河内一楼氏が16年前にコードギアスでやったことを忘れてはならない。

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