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1-Eの住人より「肌を食べる」

狐目の美しい男の子が座っていた
私はこっそりそれを見ながら
その白い肌と取り替えたくなって
カッターを探しに歩いた

顔も思い出せない誰かに聞いた
「なりたい皮膚を食べれば
 食べた分だけその皮膚に近づく」
その人が怪しげだったことは覚えている

肉を食べてしまうと醜くなるらしい
なので慎重に剥がさなきゃいけない
自炊をするので魚を捌くのは慣れている
同じような要領でやれば良い

眠らせるための薬なら持っている
お茶の蓋を開けて数滴垂らす
男の子にそれをあげると
なんの躊躇いもなく飲んでいる

私は彼に興味が出てきて聞いた
「どこから来たの?」
彼は笑って答えた
「どこからか忘れちゃった」

男の子の話を聞いてゆくと
彼はまだ中学生らしい
私はふと考えた
大人になるとこの肌は汚くなるのでは?

気持ち良さそうな寝顔を眺める
髪がサラサラで私のよりも輝いている
ポケットから何かが落ちた音がする
私の持っているものと同じカッターがある

「君もあの噂を聞いたの?」
彼がこちらを向いて笑っている
私はそこまでしか覚えていない
怖くて怖くて それから鏡は見ていない

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