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映画『犬王』感想 歯並びに対する解像度の高さ

こんばんわ。
公的書類なんとかかんとか出せました。
なんとなく捨てたいなぁとは思っていたけれど、処理後心の中の重しみたいなのが明らかに軽くなっていて、そんなに負担になっていたんだと静かに驚きました。


『犬王』良すぎ。


色々ごちゃごちゃ後から言いますけど、要するに『犬王』良すぎって話です。
すげぇ良かった。良すぎて、犬王と同じ雰囲気の作品あったら見たいな〜とアマプラ内探してて『平家物語』の1話無料見つけたのでこれも評判良かった記憶あるよな〜と思いました。まだ見てない。
あらすじとかは特に言いません。完全に視聴前の人には配慮していないチラ裏感想です。


見たのはつい最近なんですが、存在は知ってました。
ニュースにもなってましたよね。賞を取るかも的な。
あと、Twitterでの評判がめちゃくちゃ良くて映画館行くかどうか迷ってるうちに劇場公開終わってましたね。

名作とサブスクで出会うといつも思う、これを映画館の大スクリーン+大音量で観たかった。

いつも人生こんな感じです。後悔がマブダチ面してきて辛いです。

声優も話題になってましたよね。
アヴちゃんは女王蜂が知名度爆発する前から深夜のちょっとしたドラマのエンディングがやたら良くてメモってて知ってました。
森山未來さんに関してはなんか個性派俳優…。あ、モテキしてました…よね…?くらいの感じでした。
あと、一発でわかるいい声な津田健次郎さん。
その他にもキャストを改めて確認するとたくさん有名な俳優の方が声を当てていてビックリしました。


表題のやつ


リアルだなぁ〜と思いましたね。
フェチというわけでもないのに、私、なぜかコンテンツに触れた時に歯が気になる癖がありまして。

ドラマだと、例えば歯並びのクソ悪い登場人物がいてもそこに意図はなく役者さんの個性に過ぎないのですが(私が知らないだけで意図して歯にこだわってキャスティングされたドラマや映画もあるのかもしれませんが)、アニメはキャラクターを描くわけですからそこには当然意図が乗っかってくるわけですね。
こういうふうに書きたいという作り手の想いがそこにあってそうなっているわけで。

まぁ、ここまで言ってますし、なにより友有の口元にフォーカスされてるシーンが結構あるので気にならなくても皆さん気づくでしょうが。

友有、歯並びクソほど悪い。

すげぇリアル。そりゃあの時代の、しかも貴族でもなんでもない平民はアレが普通よな。
更には濃い産毛のような髭も口周りに生えてる。
ちょ、何百年時代先取りしてんのってくらい素っ頓狂な格好して歌ってんのになんであんなカッコよくてちょっと女性っぽい色気感じるんだろう。
不思議。
でもだんだん見慣れてくるとその歯並びの悪さすら友有の魅力みたいに見えてくるからホント友有座のバンギャの皆さん、沼深そうで大変だな。お疲れ様です。
繋がりの匂わせどころか、ファンの家からそのままライブ行くの好き。


あとは、アニメ的ファンタジーと創作とリアルが入り混じった配分の具合も絶妙で好きだなと思いました。

実在(リアル)した犬王という能楽師が、実はこうだったんじゃないか(創作)。そこに混ぜ込まれるアニメ的ファンタジー演出。
 
能のアニメって面白いのォ〜〜???

という舐めた私の偏見をかち割ってくれた。

「これを、いくら記録が残ってないとはいえ、能と言っていいのか?!すげぇ〜…オモロ…」になりました。

まず、インパクトがすごい。民衆が熱狂に巻き込まれるのも頷ける説得力のアヴちゃんもとい犬王の歌声。
完全にカリスマ。
一歩間違えば、嫌悪感すら抱かれそうなほど何もかも真新しい犬王らのパフォーマンスは、娯楽に乏しい室町時代の人々には鮮烈で刺激的な面白さだったでしょう。

で、そんな華々しい犬王らの結末。

今まで拾ってきた平家の無念。
なんの因果か、その平家と同じ道を辿る。
「祇園精舎の鐘の声」
から始まる平家物語のあまりにも有名な文言ですが、まさしくピッタリだと感じました。

正味、ふざけんなと思いましたよね。
自分のパートナーの推しグルを権力で潰すな!!!

後半マジで怒涛すぎてめちゃくちゃ泣きました。
伝説として語り継がれてもおかしくないライブ(舞台)を終えてやっと犬王の呪いも解けて、これからじゃん!?
路上ライブから始まって全国ツアー行ってメジャーデビューして、これからじゃん!?武道館も夢じゃないし、ドームツアーも埋めれるって!!!

もう、勘弁してくれ。友有の必死の訴えで泣き、兄者で泣き、引き摺られていく時の悲痛な叫び声で泣き、友有で有り続けたかったのに最後の最後に絶望してしまうところで泣き、一方何も知らず友と再び共に有るために人の理から外れた生き物だった犬王が人間の仕組みに組み込まれてしまうことをヨシとしたところで泣き。

そして、あんなにカリスマ性があって現代の私達(視聴者)が観ても新しくてすごかった能をやっていた犬王が舞う、私達がよく知る古典芸能の能の静かな美しさ。
あんなにすごいことできる人なのに多分もう一生やらないんだろうな、これからは悪霊の声が聞けたり、竜を降ろしたり、そんなファンタジーなことなんて一切起こらないんだろうな…という。

で、最後の最後にまた泣きました。
観て良かったなぁ…となる映画でした。


その他雑な感想

・ちびっこい犬王可愛いね。
・結局あのお面は何やったんですか?
・津田健次郎やっぱりいい声すぎ
・鯨1番好き。
・友有の前口上のような歌も好き。友有の歌声全然YouTubeに上がってないから、アマプラでシークバー動かして聴きたくなった時は聴いてる。
・犬王の二次創作で友有のやつ見ると偶に某漫画の前髪の方に空目する。けど、歯並びで気づく。
・ボラプ観てたからか、色々共通点勝手に見つけてた。
・ちょっと大きくなった友一が「父やん」って言ってるの好き。
・犬王の素顔、アレメイク無しのマジすっぴん?
・あんなに持て囃されてたのに四肢ぐちょぐちょに潰された友有にだれも声かけないの心がウッてなる


犬王と友有がずっと共に有らんことを。

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